大泉洋「僕は“面白いの奴隷”」『探偵はBARにいる』『水曜どうでしょう』いつも体当たりのワケ

大泉洋(クリックでフォトギャラリーへ)

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大泉洋のいるところ、笑いあり。バラエティ番組しかり、映画のイベントしかり、彼がいればいつだってそこは笑いにあふれている。その人柄が周囲を惹きつけるのか、役者業も絶好調。12月1日からは、人気シリーズの最新作『探偵はBARにいる3』がいよいよ公開となった。間違いなく、今や日本のエンタメ界を最も面白くしている一人と言える存在となった大泉洋。人を笑わせることに対する熱意、本シリーズでの体当たり演技など、彼からビシビシと感じるのは驚くほどのサービス精神。一体、その源とは何なのか? インタビューを試みると “面白いの奴隷”というほどの笑いへのこだわり。故郷・北海道への思いが、彼を支えていることがわかった。

『探偵はBARにいる』は「特別な作品。北海道に元気でいてほしい」

札幌在住のミステリー作家・東直己の「ススキノ探偵」シリーズを映画化した本作。主人公の探偵(大泉)が相棒の高田(松田龍平)とともに、依頼人を守るべく奮闘する姿を描く。大泉は脚本作りの段階から参加するなど、吉田照幸監督や脚本の古沢良太と密に話し合いを重ねてきた。「今回は、シノプシスみたいなものから見せてもらって。観客として一番、辛口の感想を言わせてもらいました。『1』よりも『2』よりも飛び抜けて、映画を観てくれたみなさんが“文句なく面白い!”と言ってくれる台本になるまで粘りたかったんです」。

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

そこまでのめり込むのも「『探偵はBARにいる』は特別な作品なんです。やっぱり僕の役者としてのステップ、階段を大きく1段あげてくれた作品ですから。感謝しかありません」と本シリーズには並々ならぬ思い入れがあるから。「探偵というキャラクターも大好き。やっぱり探偵って、男にとって憧れのキャラクターですよね。しかも僕が育ってきた札幌という街を舞台にしていて。そんな映画ってなかなかないですから。僕には北海道に常に元気でいてほしいという思いもあって、北海道に貢献できることがあれば、やっぱりそれはやりたい。映画を観て“ロケ地に行きたい”という人がいれば、すごくうれしいし。僕にとって、好きなものすべてが揃っている作品。どうしても他の作品以上に思い入れが強くなります」。

サービス精神の源は?「“面白い”と言われたら、やってしまう。“面白いの奴隷”」

4年ぶりの新作となったが、シリーズ恒例となった“探偵の拷問シーン”も健在。今回はなんと冬の海を舞台に、パンツ一丁で船の先端に縛り付けられてしまう。どれくらい大変だったのだろうか…? すると大泉は「これはね、やったものにしかわからない!」と魂の叫び。「完成作を観たときは、寒さってイマイチ伝わらないんだなと思った(笑)。吸い込んだ空気が鼻や喉を全部凍らせるような感じ。一瞬、息ができなくなるような寒さですよ」。

ぼやき節が止まらないが、それでいて“探偵の拷問シーン”も前のめりでやってしまう。そのサービス精神の源を聞いてみると、「やっぱりね、“その方が面白い”と思ったらやってしまう」と苦笑い。「僕は、どうしても“面白い”に勝てない。役者をやっていても、“かっこいい”はそこまで追求したいと思わないんだけど…」。

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

それはバラエティー番組でも同じこと。「特に、自分のレギュラー番組だととことんやってしまう。東京のバラエティーではあまりに芸人さん的な要求には応えられないんだけど、“札幌のレギュラー見られたら断れなくなりますよね(笑)だって北海道ではこんなことしてるじゃないですかーって(笑)『水曜どうでしょう』なんて本当にそうだし、今回のパンツ一丁もそう。“それをやると面白いと思うんですよね”と言われたら、やってしまうんです。僕にとって、“面白い”が最強。キラーワードだから、大変だと思ってもやる。“面白いの奴隷”だから、僕は(笑)」。

その笑いへのこだわりは、「物心ついたときから」だそう。「子どものときからずっと、人を笑わせることしか考えていなかった。だったら芸人さんになればよかったという話なんだけど、芸人さんになれるなんて思ってもいなかったから」と振り返るが、ではどのように今の道を選び取ったのか。大泉は「じわじわーっと」と表現する。

『水曜どうでしょう』のレギュラー放送終了を聞いたときは、「眠れなかった」

「役者やタレントになる」と想像もしていなかったという大泉。「本当に恵まれている」とこれまでの道のりを噛みしめる。「僕は、夢も持っていなかった。小学校の文集では“ハリウッドの大スターになる”なんて書いているんだけど、中学校1年生の文集では、“NTTの社員になりたい”って書くほど、あっとい間に現実を見ている(笑)。“オーディションを受けて役者になってやる!”とか、そんな大それたことも考えていなかったですね。大学時代に“アルバイトでテレビに出ない?”と言われて、“テレビには興味があるな”と思って出てみたら、それがずっと“じわじわーっと”つながっていったという感じで。本当にありがたいことです。サラリーマンになっていたら、本当に使えない男だったでしょうから(笑)」。

大泉と言えばこのポーズ、という人も多いのでは?

大泉と言えばこのポーズ、という人も多いのでは?

この世界に入った当時のスタンスは、“現状維持”。「続けていることが楽しくて、楽しくて」と“面白い”を一つ一つ、つなげていった彼だが、やがて「そんなに甘い世界でもなさそうだ」と気づくときが来る。「20代の後半ですね。もう普通の仕事には就けない、後戻りはできない。本腰を入れなきゃと思って。さらにその頃、『水曜どうでしょう』のレギュラー放送が終わってしまうんです。ディレクターからその話を聞いた日は、やっぱり眠れなかったですね。どうなっちゃうんだろうって。これは甘い世界じゃない。“もう一歩進まなければ”と思って、東京の仕事をするようになったんです」。

『探偵はBARにいる』は「続けられる限り、続けたい」

『水曜どうでしょう』のレギュラー終了をきっかけの一つとして、自分の身を置く世界の厳しさ、そして人との出会いの大切さ、ありがたみを実感した。「僕は、人との繋がりがすごく好きなものだから、始めたことを終わらせたくないんです。北海道のバラエティだって辞めたくない。なんとか続けていきたい」としみじみ。『探偵はBARにいる』についても、「続けられる限り、続けたい」とキッパリと語る。

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

(C)2017「探偵はBARにいる3」製作委員会

「映画で毎回、面白いものを作るのは、本当に大変なこと。ヒットしないことには次は作ってもらえないし、プレッシャーもある。だからこそ、とことん妥協せずにやって、新しいものを作っていかないといけない。でも、僕にとって苦労してでも続けたいと思える作品なんです。それにね、探偵を演じているときって、僕はすごく幸せなんです」。話を聞けば聞くほど、魅力があふれ出す。愛される秘訣を尋ねてみると、「僕は世界中に愛されたいと思っているから!愛してもらわないと」と大泉節を炸裂させつつ、「でもね、人を傷つけるようなことや、人が嫌がるようなことはしたくないなと思っています」とニッコリ。笑いにこだわる、優しい男。日本中が釘付けになるのも納得だ。

(取材・文:成田おり枝 撮影:KEI)


映画『探偵はBARにいる3』
公開中

監督:吉田照幸
脚本:古沢良太
出演:大泉洋、松田龍平、北川景子、前田敦子、鈴木砂羽、リリー・フランキー
田口トモロヲ、志尊淳、マギー、安藤玉恵、正名僕蔵、篠井英介、松重豊
野間口徹、坂田聡、土平ドンペイ、斎藤歩、前原滉、天山広吉、片桐竜次

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大泉洋

生年月日1973年4月3日(45歳)
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