【インタビュー】『ルームロンダリング』主演・池田エライザ「自分に来る役は、きっとみんながその時想像してくれた私」

2018年1月、長編初監督の中江和仁長澤まさみ×高橋一生らを迎えた『嘘を愛する女』から約半年。7月7日(土)から公開となる『ルームロンダリング』は、先の『嘘を愛する女』同様、TSUTAYAが主催する映像企画発掘コンペ『TSUTAYA CREATORS' PROGRAM FILM』から誕生した作品だ。ワケあり物件を浄化(ロンダリング)するため、住人として物件を転々とする主人公の八雲御子(やくもみこ)を演じるのは池田エライザ。こちらも長編初監督となる片桐健滋とのタッグでクスッと笑えるコメディが誕生した。

近年女優としての活躍もめざましく、ドラマや映画にも引っ張りだこの池田。映画で言えば秋までですでに公開作が6本と、スクリーンでその姿を見る機会が増えてきた池田に想いを聞いた。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―主演作がオリジナル脚本でかつ、初の長編監督の片桐さんでした。ご一緒してみていかがでしたか?

片桐さんの中にある『ルームロンダリング』という小さな惑星を一緒に作り上げていくような感覚でした。自分で脚本を書いたにもかかわらず私たちの声を聞きながら一緒に考えてくれたりして、現場でも「(完成したものは)素敵な映画になるだろうな』と感じていました。初めてのオリジナル長編ということで「これでいいのかな?」といろいろ悩んでいたみたいですけど、お互い支え合いながら撮影を進めていけたんじゃないかと思っていますし、片桐さんとの関係はすごく素敵なものになったと感じています。

―では、片桐監督ならでは現場の空気感はありましたか?

カメラの絵の中に違和感を覚えたら真っ先に走ってくるのが片桐さんで。現場ではではカメラ横にずっといて、一番近いところで芝居を観てくれていて、彼自身もエモーショナルな気持ちで「自分がルームロンダリングの世界にいる」っていう気持ちで撮ってくださっているんだなって感じがしました。

―今回ご自身とても御子や世界観(脚本)に思い入れを持たれているようですが、気に入ったポイントはどんなところでしょう?

内弁慶なところ?(笑)。悟郎さん(オダギリジョー)と一緒に行ったごはん屋さんでのコミュ障っぷりとか…でも身内といる時は達者に喋るんですよね。「言うこと言うじゃない!」って。御子ちゃんって、他人と向き合うのが怖かったり勇気が出なかったりするけど、自分のテリトリーにいる人には思ったことを言えるっていう、ヒューマニズム溢れるキャラクターだと思いますね。台詞は信じられないくらい少なくて「大丈夫かな?」って思うくらい(笑)でしたけど、観て分かる面白さがあるのが御子ちゃんの良いところだし、演じていて楽しかったところでもありました。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―実際、御子が内向的なという意味で、ご自身と近い?

はい。でも、みんなが持っている陰の部分かなと思います。なんか認めたくない、向き合いたくないとか、前に進みたくない…とかそういうことってあるじゃないですか。御子ちゃんはそういう部分をいっぱい背負っているんですよね。みんながみんな円満な家庭で育ったわけじゃないし、抱えているものはそれぞれあるし。御子ちゃんは不運なことが続いて辛かったんだろうなって思いますね。

―資料では、監督が自分を御子に投影したとも拝見しました。御子をやるときに、片桐さんから何かオーダーはありましたか?

二人が考える御子ちゃん像はあまりブレていなかったので、そんなにチューニングし直すことはなかったです。声の感じや話すスピード、考えている間とか…細かくきっちりではなく「御子ちゃんはそのままみんなに影響されればいいと思う」って。

―では衣装周りなど外見面ではどうでしょう?

提案したのはキャリーバッグの色味くらいかな?? ヘッドホンも衣装も部屋の美術も含めて最初から全部完璧でした。どんどん御子ちゃんが出来上がっていくのが楽しかったですね。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―オリジナルでない場合、起用ポイントはすでにファンの頭にある「原作のイメージ通りか」だと思いますが、本作では自分たちからキャラクターを出していけますもんね。その意味でも思い入れが違いますか?

思い入れはそれぞれ(の役で)あるんですけど、自分が主演させていただく映画で、こんなにもみんなが一生懸命「素敵な映画にしよう!」と本気で向き合ってくれていることに幸せを感じていました。みんな『ルームロンダリング』という本が好きで、現場で穏やかな時間を共有しながらもワンシーンワンシーン丁寧に作っていく感じが宝だなって思いましたね。いろんな現場があっていろんな監督がいていろんな役の作り方があるのを日々感じているんですけど、ルームロンダリングはみんながその惑星にいた感じがします。

―現実の世界と幽霊の人達がいる世界で、共演されて印象的なキャラは…?

みんな印象的ですよ!(笑) あんなにちっこいはぐむ(御子の幼馴染みで、事故死した小学生)が20歳のお芝居をしていたり、清彦さんの公比古さん(津軽出身のパンクロッカー)が方言を完璧に自分のものにされていて、なんて言っているかわからなかったり(笑)。本当にアザができるくらい体張っていた光宗さんの悠希の「タバコ買ってきてくんない?」っていう擦れてる感じとかもそうで(笑)。みんながキャラクターを貫いてきているので、誰も忘れないですね。健太郎くん、オダギリさん、木下さん、奥野さん、つみきさん、トモロヲさん、渡辺えりさん…出てくるみなさん超いい芝居をしているというか、キャラクター毎にグッとくるポイントが絶対にあるんです。なので私は、一人のお芝居をする者として毎シーンすごく興奮していました。

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

(C)2018「ルームロンダリング」製作委員会

―たしかに皆さん強烈すぎですね(笑)。入り口は「内向的な女の子がワケあり物件に住んで」ということですけど、結果家族の話になっていきますもんね。「お母さんに会いたい!」という御子を吾郎は見ていて…といろいろな要素が上手く混ざっているなぁと。

ひとりひとり、確固たるキャラクターがあって、でも台詞の節々で温かい部分を御子にすっと出してくるんですよ。なので「御子!」ってみんなが呼んでくれる優しさは、本当にそっと触れてくれる暖かさがありますよね。

―確かに、いいですよね。

『ルームロンダリング』には、キュッと心を掴まれる台詞がいくつもあるんですよね。お化けたちは騒いでる時に突然不意を突いてきたりするので、ちょっとズルいなって思います(笑)。

―そして、片桐さんはもともと「映画にならなかったら漫画にしたい」と言っていたくらいで、コミックビームでは作品が連載中(※コミックの上巻が発売中)ですよね。

読んでますよ! 追ってます。

―まんまですよね。

まんま(笑)。「目がどろーんとしているところがいい」って(笑)。それ、褒めてるの?(笑) みたいな。でもまさに私、目がどろーんとしていてますからね。胸まで大きく描いちゃってて。

(C)HANYUNYU Jun「ルームロンダリング」製作委員会2018

(C)HANYUNYU Jun「ルームロンダリング」製作委員会2018

―片桐さんは『ルームロンダリング』に対する興味の持たせ方が上手いですよね。なかなか映画にいきなり…という人でも先に漫画から御子というキャラクターや世界観を知ることができますし。

そうですね。羽生生先生(代表作「恋の門」など)が頑張って命削って描いてくださっているんで…。映画を観て漫画を読むと、公比古の登場にびっくりすると思います。笑っちゃう(笑)。そんな仕掛けもあったりしますし、映画とのギャップは楽しんでほしいですよね。

―では最後に。今年、出演映画が6本(※インタビュー時点で)と大活躍の中、この作品もありますよね。改めて女優の池田エライザとしてこの状況をどう思っていますか?

関わった作品を観てもらえるように宣伝したり、その作品で好きになってくれた人たちが今後も観てもらえるように頑張ったり…とにかく自分が携わったもの全部に貢献したくて。特に主人公は責任重大だと思っているので。忙しいと、いろんなことをコンスタントにこなしていくようになっちゃうと思うんですけど、そうじゃなくて、現場で感じたことを忘れないようにちゃんと脳に焼き付けて、いざという時に「ありがとう」って心から言えるように、風化しないようにしたいですね。もちろんこういう役をやってみたいという野望はたくさんあるけど、その時自分に来る役がきっと、みんながその時想像してくれた私なんだなと思うので。基本的には目の前にある仕事に対して誠意を持って取り組むことだけなのかなって思います。あとは日本で映画がどんどん面白くなっていけばいいなとも思うし、それに便乗していきたいですね。


映画『ルームロンダリング』
2018年7月7日(土)より新宿武蔵野館、渋谷HUMAXシネマ、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー

コミックビーム連載中「ルームロンダリング」
単行本(上巻)発売中!!

TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM FILM 2015 準グランプリ作品

出演:池田エライザ、渋川清彦、健太郎、光宗薫/オダギリジョー
監督:片桐健滋
脚本:片桐健滋・梅本竜矢   
2018年/109分/日本/カラー/DCP/シネマスコープサイズ/5.1ch
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
配給:ファントム・フィルム

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