【インタビュー】 トータルテンボス 余裕すぎる、適当すぎる!? 全国ツアー

毎年全国ツアーを行っているトータルテンボス。地方を回りながら、家庭も持つ藤田憲右と大村朋宏は、若手芸人からは「本当の勝ち組」とも言われている。8月から始まる今年のツアー「餡蜜」の出来具合を本人たちに直撃した!

「“本当の勝ち組”って、誰が書いたんだろ?」トータルテンボス

トータルテンボス

「笑い飯に対抗して」 47都道府県ツアー

――漫才ツアーは毎年されているとのことですが。

藤田:はい。もう9年目ですね。

――それはもう、ライフワークになっている感じでしょうか。

大村:そうですね。年行事みたいなものですね。

藤田:でも、ここ4、5年で、ようやくスタイルが定着してきたかなといった具合です。

大村:最初は手探りのツアーだったんです。47都道府県を漫才ツアーで回ろうという企画みたいなものだったんです。結局4年くらいかけて回りきったんです。

タイトルの「餡蜜」。特に意味はない

タイトルの「餡蜜」。特に意味はない

――4年で回ろうというのは最初から決めていたんですか?

大村:いや、何も決めてないです。特にゴールも決めず、計画もなしで、行ける範囲で行っていたら4年かかっちゃった(笑)。

――最初にこの漫才ツアーをやろうと思ったきっかけはどういった思いからだったんですか?

大村:単純に当時「M-1」の時代で。2004年に決勝に行きまして、2005年に落ちまして。2004年に決勝に行ったときは、これから毎年、笑い飯のように常連になるんだろうなと思っていて。でも翌年選ばれなかったんです。なんでだとなって。笑い飯と何が違うんだということを考えたんです。

――なるほど。

大村:当時、笑い飯はツアーをしてたんですよ。だからツアーをすれば面白くなれるんじゃないかと会社に打診したら、当時のマネージャーが「笑い飯を超えたいなら全国だ」と言い出して。47都道府県回ろうということになったんです。なのにそのマネージャーは俺たちの担当からすぐに外れて(笑)。

――漫才ツアーはオール新ネタなんですか?

大村:そうですね。1年スパンになってからは。

――準備とか大変なんじゃないでしょうか。

大村:僕ら、最終日をゴールにしているんです。

藤田:うろ覚えでやるんですよ、毎回。

藤田:だから初日で、4割くらい覚えて、次の日は5割くらいにしようかと思っていたら喧嘩して4割のままになっちゃって地獄だったり(笑)。

自信を失くしたら「名古屋に行く」

藤田「僕らの成長を見守るように、リピーターがいる」

藤田「僕らの成長を見守るように、リピーターがいる」

――お客さんで何回も見に来る人はいるんですか?

藤田:リピーターは多いです。成長を見守るように。

大村:僕らと一緒に回るという感じの人もいますよ。

――結構場所が離れていても関係なく?

藤田:だいたい関東で、静岡来て、名古屋に来て、東京にくる感じです。

大村:去年のツアーで、8か所くらい同じお客さんいましたよ。

藤田:でも終盤なんてほとんど変わらない。もう固まっているし出来上がってるから、絶対につまらないと思ったんですけど。

大村:まぁ、その人も旅行を兼ねているんだと思いますしね。楽しみもあるんでしょうし。

――全国を回られているんですけど、地方によってお客さんのノリとか反応って違うと思うんですけど、どうですか?

2013年ツアーのDVD。ご当地ごとに違う、笑いのツボ (c)2014 吉本興業

2013年ツアーのDVD。ご当地ごとに違う、笑いのツボ (c)2014 吉本興業

大村:この中では福岡と名古屋がテンション高いですね。

藤田:名古屋で受けなかったらもう芸人やめたほうが良い(笑)。

大村:自信がなくなったときには「名古屋行こう。それで滑ったらやめような」って、2人で話し合ってるくらいの土地なんですよ。

藤田:リカバーできますからね、気持ちが。

大村:東北になると、別に悪い意味ではないんですけど、テンション低いですね。ちゃんと微笑んでるんですけど、まぁそういう土地の風習とかで声を上げて笑わないんだな、とか。

静岡県なんかも意外とそうなんですよ。それはお高くとまるとかじゃないですけど、品を重んじるのかはわからないんですけど、ゲハゲハ笑わないんですよ。だから、芸人に聞くと「静岡にはあんまり行きたくない」って、よく聞きますね。

藤田:大阪はやっぱり「面白いものは面白い」「つまらないものはつまらない」でしっかりと深い感じですね。逆に沖縄は浅いですからね。こんなんでウケんのかって。深くやってると理解できてない。

――ややこしいこと言うとだめ、みたいな?

藤田:そうですね。大阪でめっちゃウケるやつは、沖縄だと理解されてない。

「おじさんならではの言い回し」ができるようになった

――今回のネタはもう出来上がってるんですか?

藤田:まだあと2ヵ月(編集部注:インタビューは6月)もあるんで。

大村:本当に準備を始めたぐらいです。

――2ヵ月だったら全然余裕なんじゃないですか?

大村:例年よりはスタートが遅いんです。本当は2個くらいできていたんですけど。

藤田:でもなんとかなるんですよ。作っていけばいいんですよ、本番で。

――それは凄いですよね。掛け合いの中から生まれてくるんですね。

藤田:生まれてきますね。本番で新しくノリが出たりすることもあります。最近でもルミネtheよしもととかに出ていて、10年くらい前からやっている、こすり倒しているネタもちょっとやり方とテンションを変えてやってみたら新しいノリができましたから。

――やっぱそういう完成されていると思ったものを……。

大村:完成とかないですから。

藤田:何をもってゴールなのかはわからないですけど、形としては完成しても、やり方の完成はないと思います。年を取れば取るだけ、その時のトレンドみたいなものが入ってくるから。おじさんならではの言い回しとかね。見た目も変わってくるじゃないですか。「おじさんがこれ言ったら面白い」というのもあるし。

――それは芸歴を重ねてらっしゃるからできることなのかな、と思うんですけど。

藤田:たとえば、去年博多華丸・大吉さんが『THE MANZAI』でやっていたネタを若手がやっても面白くないと思う。お2人さんだから面白かったというだけで。

――じゃあ同じネタでも、1年やると全然違うということなんですね。

「自分たちが飽きるから、同じネタを色々変えて楽しんでいく」(大村)

「自分たちが飽きるから、同じネタを色々変えて楽しんでいく」(大村)

大村:だと思います。単純に僕らが飽きちゃうから色々変えて楽しんでいく、というのがお客さんにも良いように作用するんです。そのまま飽きている感じでこなしてやっちゃうとやっぱり面白いネタでもちょっと笑いも減ってくるんです。そういうのを見ているとやっぱり楽しむってことは大切だなと。

ツアーの面白さは「どれだけ“シングルカット”できるか」

――毎年そのツアーを終えられてからの、楽しみといいますか、何か、醍醐味はありますか。

藤田:だいたいツアーが12月近くに終わります。それから翌1月、ルミネtheよしもとにでるときにツアーでやってたネタがどのくらい残っているのかが醍醐味というか楽しみでもあります。多少削って劇場仕様にしてやるんですけど、今年はこれとあれは残ったんだなーと。

――落ちていくネタがあるということですか?

大村:当然ありますよ。

藤田:だいたい6本くらいツアーで作るんですけど、半分以上は落ちます。音楽のアルバムに例えると、「単独ツアー」は「アルバムツアー」みたいなもの。一般受けしそうなキャッチーなものからディープなものまで全部やる。でも「フェス」に出るときにやるのはシングルカットできるようなキャッチーなもの2曲だったりするじゃないですか。

大村:そのシングルカットできる曲が何曲できるかですよ。

藤田:去年は6本やったんですけど半分くらい覚えていないよな(笑)。

――(笑)

大村:だから、シングルカットできるネタを多くしていくことは、意識しつつもディープなお客さんをも楽しめるネタも用意して、できればその両方を満足させるネタをつくっていきたいです。

(文:神田桂一)

トータルテンボス全国漫才ツアー2015「餡蜜」

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