<インタビュー>東京カランコロン “前衛だけど王道”が目指すポップミュージックの地平

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さまざまなジャンルの要素が混在する奔放なバンドサウンドをマニアックに完結させるのではなく、徹底的にポップであろうとする歌をより忘れがたいものにするためにクリエイトする。

その独創的な楽曲は、リアルがファンタジーに反転する瞬間を切り取っているようでもあり、あるいは、かつてはとても大切にしていたはずなのに長らく触れずにいた記憶や感触を呼び覚ましてくれるような趣がある。
そして、彼らの何ものにも束縛されない、しかし全方位に開かれたポップミュージックは、それが鳴り響くフィールドを選ばない。言わば音楽を音楽として受け止めるすべてのリスナーに向かっている。

東京カランコロンとは、そんな5人組のロックバンドだ。“前衛的だけど、王道”と自認する彼らの音楽性はどのように築かれているのか。結成当初からの中心メンバーである“いちろー”と紅一点の“せんせい”という2人のフロントマンに語ってもらった。
(インタビュー・文:三宅正一)

バンドの総意として今までになかったポップミュージックを作りたいという思いがある

—東京カランコロンのサウンドってすごく情報量が多いじゃないですか。いわゆるプログレ的な要素が強くて。それをいかにポップに昇華できるかというスリリングな勝負をしていると思うんですけど。

いちろー(Vo&G):音楽の趣味はメンバー全員バラバラでもあり、みんないろんなものを聴くんですね。だから、ひとつのジャンルに固執することがなくて。ただ、バンドの総意として今までになかったポップミュージックを作りたいという思いがあるんですよね。音楽的なアレンジがどれだけ振り幅に富んだものでも、日本のポップスとして成立することを意識してます。前衛的なんだけど、王道というか。

─楽曲制作のイニシアチブはいちろーさんが握ってるんですか?

いちろー:だいたい僕がメロディを作ってるんですけど、メロディは基本的にシンプルなものが好きなんですよね。そのルーツにあるのは80年代後半から90年代の歌謡曲やJ-POPで。子どものころから聴いてきた音楽の要素が自分のメロディにも反映されていると思います。でも、かといってサウンドも含めてそのままJ-POPっぽいことをやるならバンドでやる必要はないし、そういうことはソロのシンガーソングライター時代にやっていたので。せっかくバンドをやるならメンバーの人数分の脳みそが入った音にしたいから。みんなの趣味や出したい音を模索していくなかで、そこにいかにストレートでシンプルなメロディを乗せていくか。そういうチャレンジをいつもしていると思います。

笑いながら話してるときに5人でひとつのものを作り上げる
文化祭みたいなバンドやなって思うんです

—メンバー全員の趣味趣向を交わらせて調和させるのってすごく難儀なことでもあると思うんですよね。ともすれば破綻しかねないわけで。制作過程での衝突はないんですか?

いちろー:曲によって僕がイニシアチブを強く握ることもあるし、最初から曲の完成形が僕の頭のなかにあるというパターンもあります。その一方で、みんなの意見をどんどん取り入れていくパターンもあって。そこで思うのは、僕らはアレンジにかける時間がすごく長いんですよ。たぶんほかのバンドに比べたら細かいことを延々と話し合ったりしてます。

せんせい(Vo&Key):うん、やってるね。

いちろー:“ここをもう1小節長くするか、しないか”みたいなことを何度も話し合って。あとは、僕がメロディを0から100まで作った状態でメンバーに渡すことってそんなにないので。そうすると自然とみんなのアイデアが入りやすいというか。

せんせい:私たち2人は衝突することがけっこうあって。それぞれのいいと思ってるものが違ったりすると、2人とも我が強いから“いやいやいや”ってなる(笑)。ほかの3人のメンバーは私たちを立てようとしてくれるので、両方の意見を尊重して間に入ってくれるんです。

いちろー:僕が、曲の着地点が見えていないときとかね。

せんせい:そういう話も真剣にするんです。

いちろー:するね。スタジオでいろいろ試しながら、みんながイメージする着地点を一致させていく。そのイメージが違った状態で“これでいいよね”って妥協すると、ホントの正解は見出だせないから。

せんせい:でも、昔に比べて今はやっぱりいちろーさんが持ってる世界をいかにみんなで共有できるかということに大切にしてますね。そうしたほうがバンドとして濃い状態でひとつになれると思うし。

—せんせいは、当初はサポートメンバーとしてカランコロンに加入したんですよね。そこからフロントマンとしてバンドの最前に立つようになるまでに、このバンドの面白さをどんなところに感じましたか?

せんせい:お客さんが、私が歌うことを喜んでくれるのがうれしいというのもありますけど、メンバー5人でしょうもない話をして、何気ないときにみんなで歌ったりするのも楽しいしいんですよ(笑)。昨日もスタジオやったんですけど、スタジオ終わりで“明日のライブの登場の仕方どうする? 俺がこうするからこうして”って笑いながら話してるときに5人でひとつのものを作り上げる文化祭みたいなバンドやなって思うんですよね。たまにケンカもするけど、次の日にはケロッとしてるし。プライベートで遊んだりはしないんですけど、常にどこかで繋がってる感覚があるんです。この関係を壊したくないと思ったときに“私がこのバンドを背負っていかな”とも思ったし、もっといろんな人に東京カランコロンの音楽を届けたいと思ったんですよね。

—音楽的な面ではどうですか?

せんせい:好きなことができるんですよね。曲作りしてるときも好き放題弾かせてもらえるので。でも、メンバーが5人もおるから私が弾かんでも成立するときもあって。歌に集中したいときは“弾けへん”って遠慮なく言える。だから楽しくてしょうがないです(笑)。

30分のなかで何かを残すために楽曲が色モノになってはいけない

—ニューアルバム『UTUTU』には亀田誠治さんや蔦谷好位置さんなどJ-POPのフィールドにおける名うてのプロデューサーが参加しています。刺激や学びも多かったのでは?

いちろー:そうですね。僕らはずっと感覚的に音楽を作ってきたんですけど、たとえば蔦谷さんは理論派のプロデューサーなので。自分たちとは音楽の向き合い方が真逆の方だからこそいろんなことを学べたし、今作に活かされてる部分がすごくあって。具体的に言うと、こういうふうにするとラジオ乗りがよくなるとか、理論的にポップスをとして成り立つ方法論を教えてもらったんですよね。これまで僕らはずっとライブに重点を置いて制作してきたところがあって。CDとしてリスナーを楽しませるためにはこういう工夫も必要なんだっていうことを理解できたのは大きかったですね。

—今のメジャーのバンドシーンって大型フェスの30分でどんなライブをしたかでリスナーに判断される状況があるじゃないですか。そうすると、どんどん楽曲至上主義とは違う方向にいってしまうのではないかという懸念を個人的に抱いていて。そのあたりはどう思いますか?

いちろー:ちょうど最近そういうことを僕らも話していたんですけど。そこで思うのは、自分たちは色モノになってしまってはいけないということで。30分のなかで何かを残すために楽曲が色モノになってはいけないと。そのために楽曲にちゃんとポピュラリティというものが土台になきゃいけないと思うんですよね。もちろん、ライブアプローチも大事です。ただ、楽曲よりもライブパフォーマンスが先行したらダメなんじゃないかなって。あくまでライブは自分たちがスタジオワークで作った楽曲を肉体で表現することが素敵なのであって。そういう意味では、メロディやポピュラリティに関してはほかのバンドに負けてないという自負があるから。今作で亀田さんと制作した「ヒールに願いを」というバラードはそういう意識があるからこそ生まれたものでもあります。そこを崩さずに面白いことをやっていこうねってみんなで話してます。

—今後、バンドでこういうことをしてみたいという展望はありますか?

いちろー:作家さんと一緒に架空の映画のサントラを作るとか、そういうこともやってみたいですね。音楽以外のフィールドにいるクリエイターと交わってみたいなという思いがあります。

せんせい:うん。私もライブの舞台装飾にもっとこだわってみたいと思っていて。今、SEKAI NO OWARIがライブのステージセットに巨大樹を立てたりしてるじゃないですか。私もあれに近いことをずっと前からイメージしていて、“あっ!”って思ったんですよね。東京カランコロンもそういうステージ装飾に負けない音楽を鳴らしてるという自信があるから。映像も含めてひとつのエンターテイメントとして成立させられるライブをやってみたいですね。

いちろー:6月7月にあるホールツアーではそういうことも意識したライブができたらいいなと思ってます。

◆プロフィール

いちろー(Vo&G)、せんせい(Vo&Key)、おいたん(G&Cho)、佐藤全部(B)、かみむー氏(Dr)の5人で、2009年5月に活動をスタート。
2012年8月、ミニアルバム『ゆらめき☆ロマンティック』でメジャーデビュー。

◆リリース情報

UTUTU

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2015年1月14日発売

CD+DVD:AVCD-93007/B 3,500円(税抜)
※DVDは、Music Clip集の他「クラブでワンマ ん」@SOUND MUSEUM VISION LIVE映像など豪華76分収録!
CD:AVCD-93008 2,500円(税抜)

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東京カランコロン オフィシャルサイト

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