漫画家・鳥飼茜が今、時代に選ばれる理由とは?【2017年マイベスト漫画】-TSUTAYAマンガ通おすすめ

漫画家・鳥飼茜が今、時代に選ばれる理由とは?【2017年マイベスト漫画】

 

2017年もあと少し。今回は、私が大好きな漫画家さんでもあり、今年最も勢いを感じた鳥飼茜先生の作品5選を紹介したいと思います。

今年多数の作品を発売し、同時に連載を3作描き、数々のメディア等にも多く露出され活躍されていました。男女の普通では隠してしまうようなリアルな感情や、痛く苦しくなるような容赦ない描写を漫画で表現されるのが鳥飼先生の特筆すべき所ですが、登場する人物一人一人に対して焦点をあて、単純に一方的ではなく多角的に人物像を描かれる作風が、小説を読んだり映画を見ている気分になります。

容赦しない物理的な暴力描写や心理描写が、手加減無しで続きます。

『先生の白い嘘』(鳥飼茜 著、講談社 刊)

先生の白い嘘 』( 鳥飼茜 著、 講談社 刊)

【 人物像が丁寧に深掘りされているのが ポイント】
鳥飼先生の作品で随一の人間の怖さを感じる作品。とにかく重いです。緊張の糸が切れる事ない展開に、読み進めるうちにどっと疲れてしまいます。

この漫画では男女の性の不平等さや、絶対にリアルではみたくない、居合わせたくない、苦しくも容赦しない物理的な暴力描写や心理描写が手加減無しで続きます。しかし、それだけではなく登場人物の「善」と「悪」双方について、「なぜそうしたのか」の理由も丁寧に深掘りされて描かれている部分が凄いです。鳥飼先生の真骨頂と言える作品です。

【あらすじ】
原美鈴は24歳の高校教師。生徒を教師の高みから観察する平穏な毎日は、友人・美奈子の婚約者、早藤の登場により揺らぎ始める。ふたりの間に、いったい何があったのか?男と女の間に横たわる性の不平等をえぐる問題作。

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心に刺さって、でも切なくて、何度も読み返したくなる。

『おんなのいえ』(鳥飼茜 著、講談社 刊)

おんなのいえ 』( 鳥飼茜 著、 講談社 刊)

【 人物像が丁寧に深掘りされているのが ポイント】
人生という未来に起こりうるかもしれない普遍的な出来事を鳥飼先生のフィルターを通して生々しく描いた作品です。セリフに共感できる部分が沢山ありました。

「年だけは立派に大人になってって気持ちは昔のままやのにどんどんまわりにおいていかれる」っていう象徴的なセリフがあるんですが、人それぞれそんな劣等感を持ち、自分を保ちながらなんとか必死に生きている、生きないといけないというメッセージが伝わり共感しました。

【あらすじ】
29歳。3年物の彼氏に振られて残ったのは“家族”でした。友達よりも気楽、けど時にめっちゃ憎らしい。そんな“女家族”の物語。「さらぴんの生活、始めよーやあ!」姉妹と母親、“おんなだけ”の家族物語。

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友達ゼロ同士の女3人

『地獄のガールフレンド』(鳥飼茜 著、祥伝社 刊)

地獄のガールフレンド 』( 鳥飼茜 著、 祥伝社 刊)

【 人物像が丁寧に深掘りされているのが ポイント】
鳥飼先生の作品の中ではコミカルな要素もある作品。何も面識がない女性3人のルームシェア生活を描く、読んでいるとまるでガールズトークの場に居合わせてしまっているかのように気まずく感じました(居合わせた事はないですが。笑)

3人それぞれの背景や処遇や選択して来た人生も違う人同士が、ルームシェアして距離感を取りながら「家」という閉じた世界で行うやり取りが読んでて面白い作品です。

【あらすじ】
友達ゼロ同士の女3人、同居開始! バツ1シングルマザー・加南(31)、 セカンド処女のまじめOL・悠里(28)、超モテ股ゆる女・奈央(36・家主)は一軒家でルームシェアを始めた。いい加減なチラシのもとに集った3人の共通点は「友だちがいない」。女たちの食卓ではおしゃべりが止まらない!

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男と女の間にある深い溝に横たわる真実の物語。

『ユー ガッタ ラブソング 鳥飼茜短編集』(鳥飼茜 著、講談社 刊)

ユー ガッタ ラブソング 鳥飼茜短編集 』( 鳥飼茜 著、 講談社 刊)

【 人物像が丁寧に深掘りされているのが ポイント】
4つの短編の内、『You've gotta ラブソング』を紹介します。この作品は凄まじく刹那い。夕日で美しく金色に染まる川辺で、彼氏が彼女とキスを交わすシーンが後半に出てくるのですが、彼氏が彼女との永遠を願えば願う程、彼女の体が段々と醜くく朽ちていってしまいます……。「永遠」という時間の美しさと醜さをコントラストでみせる事で、とても儚く刹那い物語になっています。

【あらすじ】
主人公や趣向を変えて鳥飼茜が男と女の間にある深い溝に横たわる真実の物語を描いた短編集。主婦の危うい心の機微を描いた『いきとうと』、女子高生の淡い恋が可愛らしい『家出娘』、ラストの鮮烈なイメージが印象的な『白鳥公園』、別れた男女の再会の意外な結末を描く『You've gotta ラブソング』。

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“運命の出会い"って信じますか?

『ロマンス暴風域』(鳥飼茜 著、扶桑社 刊)

ロマンス暴風域 』( 鳥飼茜 著、 扶桑社 刊)

【 人物像が丁寧に深掘りされているのが ポイント】
風俗に通う男性の生々しい気持ちの揺れを描いた作品。読み終わった後、男性はメンタルをやられますのでご注意を。

現実世界においても、出会いは風俗ではないにしろ、男性にとってはこの作品で描かれている事は他人事ではないはずです。こんな男性の気持ちを振り回す小悪魔的な女性、まわりにいませんか?(笑)男性は承認欲求が強く、それは恋愛においても相手に受け入れられる事で自分を保てている部分は大きいと思います。それを裏切られた時の絶望感たるや……。でも男性はまた同じ事を繰り返してしまう生き物なんですけど……。そんな男性の気持ちをうまく描いた作品です。

【あらすじ】
高校の臨時教員であるサトミンは、講師の契約期限が迫り、学生時代に付き合った彼女と別れて以降独り身が続いている。婚活では非正規職であることを理由に相手にされず、恋愛に対して自信を喪失中。しかし、気分転換に行った風俗で出会ったせりかに、お金や肩書など関係ない“運命の出会い”を感じる。客と風俗嬢の関係からスタートした2人の仲の行く果ては……。

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【書店員】湊 健一郎

【書店員】湊 健一郎

映画・本・音楽・アイドルなどを主に好んでいます。
先日、秋元康さんがTV番組の中で『人生はどれだけの事を「目撃できたか」が大事なんだ』と仰っていました。私もそうでありたいし、又沢山のお客様に良い作品を目撃して頂ける様日々お仕事させて頂いております。

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