VTuberが作家デビュー!? 2次元の女性の思い描く青春小説!『くちぶえカルテット』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│むりやり!? VTuberをやらされたプロのシナリオライター「モノカキ・アエル」

2次元と3次元が全く異なる混じり合う事のない世界だったのは数年前まで。近年それは思いがけない形で覆された。“VTuber”という存在。それをもう知らないという人は少ないのではないだろうか。YouTubeを主戦場として活躍する2次元の存在、キズナアイやミライアカリ、ときのそらなど多くのVTuberは3次元に住む多くの人間を虜に絶対的なアイドルとして私たちの生活の一部になっている。

2020年10月8日にそんなVTuberからついに作家としてデビューを迎える女性? がいる。

「モノカキ・アエル」

彼女はその名が表す通り「モノカキ」としてゲームや漫画のシナリオを書くプロのシナリオライターなのだが、1年ほど前、彼女は無理やり会社に「VTuberになれ」と言われ、自身の夢である小説を出版することを餌にVTuberとなった社畜の鏡のような存在なのだ。詳しくは下記の動画を見て欲しいのだが最初の紙芝居アニメの茶番劇の後にやらされ感半端ないVTuberモノカキアエルが登場して自己紹介をする。

やる気の無さがだんだんクセになって可愛く見えてくるがそのうち「歌ってみた」などちゃんとVTuberらしい事も頑張るアエルちゃんに心を打たれる方も多いだろう。「会社に言われたらやるしかないもんなー」「そういうもんだよなー」なんて共感しながら思わず涙が出たり。スイーツ発言してOL感出した後の好きなゲーム「鉄拳」の一言でリア充感無くなる感じになんだかほっとしたり…。と投稿動画を見つつ「その社畜感になにそれ、この子会社に騙されてない!? 大丈夫? 本当にに本出せるの??」なんて不安になったりもしていたのだが、この10月ついにそんなモノカキアエルちゃんのデビュー作の発売がきまったのだ!!

完全に運営に騙されているのかと思ってたよ!!(笑)

│デビュー作のタイトルは「くちぶえカルテット」

どストレートな青春小説なのだからたまらない。眩しくてドキドキしてまさにアオハル。きっとモノカキアエルちゃんは自分が本当は過ごしたかったキラキラの青春時代を思いながらこの小説を書いたんではないだろうかと変な涙を流しながら読んでしまったのだが、これねー、本当によかった。真っ黒な社会で生きる人にこれを読んで明日をキラッキラに塗り替えてしまうような作品で「くちぶえ最近吹いてないなー」と下手クソなくちぶえをついつい空に向けて吹いてしまうような厨二心をくすぐられる、青春時代を思い出すような素晴らしい作品。

VTuber作家としての彼女の今後の活躍を期待したくなるデビュー作。次はどんな作品を書くのか、次回作が気になる新人作家が少なくなった中で確実に注目の若手作家だと最後に断言しておく。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

くちぶえカルテット

2020年10月8日(木)発売

著者:モノカキ・アエル
出版社:実業之日本社文庫

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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