巻を重ねるごとに読者の熱量が異常に上がっていくまさに大火のようなコミック「炎炎ノ消防隊」【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│オススメポイントの大渋滞! 進めたいポイントが多すぎる!!

小学生のころ、授業でバックドラフトという映画を見た。どんな授業で何のためだったかそしてまさかの映画の内容まで全く覚えていないのだがこの映画を見て消防士にあこがれた事だけははっきり覚えている。

なぜこんな話をしたかというと今回紹介するのはこの消防士をテーマにした漫画だ。

人体発火現象。何の変哲もない人が突然発火してしまう世界で消化活動を行う消防官たちの物語。…と普通の作品紹介的に始めようと思ったのだが、困った。この「炎炎ノ消防隊」、オススメレビュー書くのがめちゃくちゃ難しい!! とにかくオススメしたい切り口が多すぎるのだ。

主人公森羅の熱い思いやその生い立ちからの紹介はヒーローへのあこがれの熱量とその人生のバックグラウンドの濃厚さだけで数千字は書けてしまうし、キャラクターというラインからの紹介はメインどころだけでも騎士王を自ら名乗るアホアホなアーサーや熱心なファンが多い「ラッキースケベられ」というキラー体質をもつ環それぞれの話だけでも何時間で話せる。というかどのキャラを切り口にしてもいくらでも盛り上がれてしまう恐ろしい作品だと思っているし。

そして何より一番の作品の魅力であるその何重にも伏線が張り巡らされたストーリーだろう。その他イラストの見せ方の独特な表現や癖になるセリフ回しなどなど…。凄い、切り口の説明の前半だけでレビューが終わってしまいそうになった…。

書店員としてオススメポイントが多いのはすごく嬉しい事なのだがもはやここまで大渋滞してしまう作品は珍しいのではないだろうか?

│炎炎ノ消防隊は最強の伏線漫画。ストーリーの進行に準じて今読んでいるその展開すら意味が変わってしまう!?

炎炎ノ消防隊を店舗で販売をしていて「珍しい作品だ」と思ったポイントは他にもある。巻を重ねるごとに読者の熱量が異常に上がっていくのだ。

これはキャラクター毎のバックグラウンドの深堀による登場人物への思い入れが深まっていくところによるものもあると思うのだがそれ以上に、わかりやすい表現で描かれているため気づきにくいが異常なほど濃密なストーリーが読む者の好奇心を掴んで離さないのだろう。

例えば「どこまでの巻を読んでいるか」でそれぞれ孤立した話の展開の意味すら変わってしまうのだ。

何を言っているかわからないかもしれないが、伏線を凄いレベルで組んでしまっている作品と考えてもらうとわかりやすいかもしれない。「スロースターター」なんて言葉でこの作品を語っている人を知っているがまさにその言葉はいい得ていると思う。まさに最新刊まで読まないともったいない作品だろう。

最新25巻はまさに世界がひっくりかえるような展開を迎えている。「こう来たか!」となると同時に「という事は…?」とさらに好奇心をあおられてしまった。ぜひこのタイミングで1巻から一気読みを推奨したい!

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

炎炎ノ消防隊

25巻まで発売中

著者:大久保篤
出版社:講談社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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