最悪でゲスな殺人鬼 vs 記憶が数十分しかもたない探偵!?「殺人鬼にまつわる備忘録」【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│最近じわじわと全国的にヒットの兆しを見せている小説「殺人鬼にまつわる備忘録」

最近文庫で全国的にヒットの兆しを見せている小説がある。小林泰三先生の書くミステリー小説「殺人鬼にまつわる備忘録」がそれだ。

小林泰三先生は「玩具修理者」や「アリス殺し」など多数のヒット作を生み出している人気作家。個人的には「大きな森の小さな密室」で見せたその時代のミステリーファン、例えば名探偵コナンや金田一少年の事件簿などを読んだり、アニメで見ている読者が引っかかりミステリー小説の面白さを味わえる仕掛けなど先生の見せる粋な部分にとても惹かれる大好きな作家のひとりだ。

そんな私が「殺人鬼にまつわる備忘録」を読んだのは去年の秋から冬にかけての頃だろう。

│熱い名物書店員の紹介で出会ったとんでもない推理小説

TSUTAYA西五反田店の名物書店員、文庫担当の宮内さんに猛烈なオススメをしていただき手に取った。

彼女は興奮気味にこう紹介してくれた。

「この作品は『最悪で小説史上最もゲスな殺人鬼』と『記憶障害を持っていて数十分しか記憶が持たない探偵』の頭脳バトルのようなミステリーなんです!! とにかくめちゃくちゃ面白いんで読んでみて下さい!!」

思わず読まずにはいられないその紹介の熱量に押され読んだのだが、これが想像の斜め上を行き過ぎて一周回ってど真ん中に刺さってくるほどのとんでもない作品だった。

まず殺人鬼は「面倒くさい」を理由に人を殺してしまうような人物であり、なおかつ人の記憶を書き換える能力を持っているのだ。最悪な性格と異常なほど強力な能力…。推理小説の殺人鬼で最強クラスの犯人だろう。そして探偵は想像以上にポンコツレベルの記憶障害で、時々自分の今の状況すらわからなくなってしまうのだ! 推理小説の探偵としてあり得ないほどのハンデを背負っているわけなのだが…。

この作品の焦点は「記憶を書き換えてしまう性格最悪な殺人鬼」の罪を「記憶を保っていられない探偵」は一体どうやって立証するのかだ。その結末は100人読者がいたならば100人全員が想像できないような展開が用意されている。

本気で小説を夢中になって読みたいそんなときが誰にでもあると思う。まさにそんなときにぴったりの一気読み作品「殺人鬼にまつわる備忘録」ぜひ気になった方は手に取ってみて欲しい。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

殺人鬼にまつわる備忘録

発売中

著者:小林泰三
出版:幻冬舎

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

一覧に戻る