100股ラブコメ? 違う。100人の彼女を幸せにする最強の少年漫画だこれは!『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│ラブコメには負けヒロインが存在するという当たり前でだけど切ない展開

ラブコメという漫画の性質上、そこには“選ばれしヒロイン”と“選ばれなかったヒロイン”が存在する。
勝ち負けという概念が最終的にハーレム状態に終焉を迎えさせる。
現実ではないからこそのハーレムラブコメであると同時に、誰もが身近に感じる「恋愛」という要素ゆえに最終的にだれか1人が選ばれることをどうしても意識して読者は作品を楽しんでいる。そのため、この「誰かが選ばれる」という結末は読者が望むべき結末だと私は思う。
誰も選ばず最後を迎える作品はずっと自分の中で物語を紡げる楽しさはあるもののどこかで主人公が誰を選んだのかは心に引っ掛かり続ける。

しかしだ。

それがわかっていながらも自分の推しが選ばれない結末は、やはりそのヒロインの事を思うと切なく、どこかでその推しが幸せになる未来を願ってしまうものだと私は思う。この想いに答えるように『ぼくたちは勉強ができない』や『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などのように色々なヒロインルートを描いて下さる作品も増えてきているが、その中で、なんと負けヒロインが存在しない100人の運命の人が存在する究極のラブコメがじわじわと人気を上げ、重版が止まらない凄い状態になっている。

│次にくるマンガ大賞2020で1位! といっても過言ではない2位をとった『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』

高校で初めての彼女を作るぞ! と意気込む主人公、愛城恋太郎の前に現れた恋の神様が彼に突然、伝えたのは「普通の人は1人に1人の最高の関係になれる運命の人が彼には100人いて、しかも運命の人と出会った人間はその運命の人と愛し合って、幸せになれなければなんやかんやあって…死ぬ!」という衝撃の運命。

100人の運命の人全員と愛し合って幸せにしないとあかんというとてつもない展開なのだが、この漫画の凄いところは各ヒロインの可愛さもさることながら「主人公」恋太郎の本気でヒロインたちを幸せにしようとする真剣な行動に、この作品を読んだ人は大抵この恋太郎をむしろヒロインたちのように好きになってしまう事なのだ。

むしろ恋太郎がこの作品のヒロイン的立ち位置と言っても過言ではないほどに。
その証拠に私の周りにはこの作品を好きで恋太郎を好きな女性読者が多数いたりする。

そう、言うならばこの漫画は100股男のハーレムラブコメではなく。この作品は100人のヒロインを本気で愛し絶対に幸せにする熱い男が頑張る最高のラブコメ少年漫画なのだ。

重版を繰り返しまさに「次に来はじめている」この作品。
気になった方はぜひ読んでみて欲しい。恋太郎は期待を裏切らない。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

君のことが大大大大大好きな100人の彼女

3巻まで発売中

著者:野澤ゆき子、中村力斗
出版社:集英社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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