驚き不回避。最強の伏線漫画!!『iメンター すべては遺伝子に支配された』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】 Tweet │遺伝子情報に支配された世界は理想の世界なのか? どんな病気になりやすいか、太りやすいか、何が苦手で何が得意か。その全てが遺伝子からそもそも決まっていると書かれた本を読んだことがある。それが本当か嘘かわからないが、もしもそれが本当だとするならば、その遺伝子からどのような行動をとれば最も自分自身という人間を活かせるのか知りたいと思うのは私だけではないだろう。 また子供の才能を伸ばしたいと考えればその才能が何なのか、伸ばす方法は? なども知りたくなるし、もっと言えば幸せに過ごせる結婚相手を遺伝子から間違えないように知る事が出来れば…。なんて考えも浮かぶかもしれない。 今回紹介する作品はそんな「遺伝子からの解答」を誰もが手軽にスマホのような「iメンター」という端末から手に入れられるようになった世界の物語。 │夢も恋も「失敗しない」世界の恋の物語 1話の主人公は中学生のころ小説家になりたかったがiメンターの適正値が3%しかなかったためその夢をあきらめた青年「甲介」。小説家の夢をあきらめたあと甲介は人生はiメンターのおかげで失敗のないものになっていた。この世界では恋も結婚も相性度によって選ぶ。甲介は90%を超える数字はなかなかでないと言われる相性度で、91%という彼女と出会い付き合いだしたが1週間で振られていた。 しかしそれも仕方がない。彼女は相性度92%の男と出会ってしまったのだから。それの沿えば幸せになれる事が約束されるがゆえに1%でも人生に影響してしまうiメンターの数字。 しかし甲介には実は小学校の頃この相性度が100%と表示された同級生がいた。その同級生の彼女と降られて飲み明かしていた飲み屋でたまたま再開し、その数字を体現するかのように関係を深めていく2人。 しかし甲介が改めて彼女との相性を確認するとそこに記された数字は3%。相性度には結婚した相手が最低でも3年間婚姻関係が維持できる健康状態である事という幸せの定義がある。彼女は3年後に生きている可能性が3%しかなかったのだ。そのため相性度が著しく低く表示されていたのだ。 彼女といても幸せにはなれない。iメンターの数字は明確な答えを示している。しかしこの後、甲介は意外な行動にでるのだが…。 │遺伝子に支配された世界の恋の物語の裏側に隠されたある「もう一つの物語」 短編の形で1話は恋の物語が描かれる。その結末は最高に幸せで泣けるものになっているので、もはやここまでで充分オススメしたい作品なのだが、実はこの後に思いもよらないどんでん返しが待ち受けていたりする。 この作品の2話目は「表側の物語」と「裏側の物語」が同時に1つの物語として進行しており、それが2つの視点で描かれることによって伏線が浮かび上がり、真のストーリーが顔を見せる作りになっている。1話目もそうなのだが、読者の目を意識しつつ描かれた作品なのだ。 この作品は一体どんな結末を迎えるのか、私は想像がまだつかない。1巻に描かれた物語たちは1巻だけでも幾度もその姿を変えているが、もしかしたらまだ真の物語を見せてはいないのではないだろうか? 1話完結でありながら連続ストーリーものであり、また伏線の仕込みも高レベルで行われている。伏線漫画やどんでん返しが好きな読者なら間違いなく読むべき1作だろう。 (文:仕掛け番長) │仕掛け番長のおすすめ本 iメンター すべては遺伝子に支配された 2巻まで発売中 著者:小出もと貴出版社:講談社 商品検索 商品検索 作品詳細 【コンシェルジュ】仕掛け番長 栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』 Twitter(@maron_rikiya)