2020年、小説読み書店員が選ぶこのマンガもすごい!!【6位〜10位発表】【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│「小説読み書店員」としてオススメしたい
 心に響いたコミック2020年TOP10をご紹介!【Part.1】

2020年も残すところあとわずか。

今年は『鬼滅の刃』の特大ヒットをはじめ、多くのコミックスが話題になった年だと思います。
コロナ禍で家でコミックスを読む機会が増えたことも理由としてあるかと思いますが、こんなにもコミックスの話題が溢れた年は今までなかったのではないでしょうか?
そして『五等分の花嫁』『約束のネバーランド』『七つの大罪』『ハイキュー!!』『鬼滅の刃』『あさひなぐ』『鬼灯の冷徹』『ヒナまつり』などなど人気作の完結が多い年でした。

そんな2020年に発売された多くのコミックスの中で「小説読み書店員」としてオススメしたい心に響いたコミック2020年TOP10をご紹介したいと思います!
あえて小説読みとしての目線での推しセレクト!!
「小説読み書店員が選ぶこのマンガもすごい!!」

│第10位:『死神様に最期のお願いをRE』

父、母、妹。家族を惨殺した少年A。あまりに残忍な事件。
その罪は16歳という年齢であっても許されないと死刑を言い渡される。
死を待つ彼、その彼の目の前に彼を確実に地獄に落とすため死神となった妹が現れる。
しかし少年Aは実はこの事件の犯人ではなく…。

この作品は、少年Aとその妹が自分たちの家族殺しをした犯人を追いつつ、それまでに色々な事件を推理、解決していくミステリー作品となっている。
死神の存在や死神の能力的な要素はあるが、それもルールが存在するものになっているため、読者にも推理が可能で非常に面白い作りになっている。
また原作者が『トモダチゲーム』の山口ミコト先生であり、期待にもれず、言葉などによる心理誘導での仕掛けや、やり取りもふんだんにあり非常に楽しませてくれる。
現在4巻まで発売中の期待の作品だ。

連作短編という形で描かれる、近未来SF恋愛漫画。
彼氏が死んで悲しむ彼女の元に脳味噌だけになって生きている彼氏だった。
彼氏とはスマホを通して「嬉しい」「悲しい」という単純な意思疎通が出来るだけだが、彼の死で絶望の中にいた彼女にとってはそれでも充分だった。
しかし時間が経ち彼女のその想いは大きく変わっていく…。

読んでいて何度か涙を流してしまった。
この作品は答えをわかりやすく提示したものではないので読む人によって得る感情は違うかもしれない。
想い出と現実とそこにある感情の揺らぎを描いた紛れもない名作。

 

死神様に最期のお願いをRE

4巻まで発売中

原作:古代甲
作画:山口ミコト
出版社:スクウェア・エニックス

│第9位:『メイコの遊び場』

学校に行った事が無い幼い少女メイコ。
彼女は左目に眼帯をしていて、その眼帯を外した目を見た男を自分自身の精神世界へ引き込む事が出来る。
引き込まれたものはそこでひどい目に合い現実世界では精神が壊れてしまう…。

1973年の昔の日本を舞台にメイコが近所の子供たちと遊ぶ前半と、
その遊びにより壊される大人が描かれる後半で1話が基本的には構成されており、
その時代背景もあって読んでいる間、終始不思議な空気感に包まれます。
幼い少女メイコが色々な事を知り、自分で考え少しづつ変化していく先にどんな明日があるのか。
結末は悲しさもあるけどとても素敵なものだったと思いました。
この作品はぜひ最後まで一気に読んで欲しい。1巻や2巻目までで読むのを止めてしまうのが非常にもったいない作品。

 

メイコの遊び場

全3巻発売中

著者:岡田索雲
出版社:双葉社

│第8位:『ガチ恋粘着獣 ネット配信者の彼女になりたくて』

配信者とその配信者に本気の恋をする視聴者の異常な愛を描いた物語。
ネット配信者に異常なほど本気で恋をした女子大生の想いはどこへ向かっていくのか。
「画面の向こうの配信者としての彼」への恋心と「現実の彼自身」への想い。
その交差により思いもよらない結末を迎える。

異常なほど誰かを好きなるという想いから生まれる物語は、その異常性からサスペンス的な要素が生まれ、どこか身近にあるような恐怖から多くの読者にとって魅力的なものになる。
この作品に寒気がするほどのリアリティを感じてしまうのは、ここに描かれている残酷な恋物語がきっと今はどこにでもある普通の出来事だと思えてしまう部分があるからだろう。
SNSでファンビジネスの在り方が大きく変わった今、この作品は決してフィクションではないのだ…。

 

ガチ恋粘着獣 ネット配信者の彼女になりたくて

1巻発売中

著者:星来
出版社:竹書房

│第7位:『その時の彼女が今の妻です』

短編で描かれる後に妻となる女性との出会いの瞬間。
本当に瞬間のみ切り取られた数Pの物語なのだがこれが非常に面白い。
出会いの瞬間は偶然でしかない、しかしその偶然の中にある小さなドラマが二人の関係を作るという当たり前だけど忘れがちな恋が始まる瞬間を描く。
どこかありがちで、でも意外性も抜群なそんな瞬間を25組以上(!?)も収めた、なんだか心が温まって悶えたくなるような1冊だ。

 

その時の彼女が今の妻です

発売中

著者:音井れこ丸
出版社:KADOKAWA

│第6位:『死んだ彼氏の脳味噌の話』

連作短編という形で描かれる、近未来SF恋愛漫画。
彼氏が死んで悲しむ彼女の元に脳味噌だけになって生きている彼氏だった。
彼氏とはスマホを通して「嬉しい」「悲しい」という単純な意思疎通が出来るだけだが、彼の死で絶望の中にいた彼女にとってはそれでも充分だった。
しかし時間が経ち彼女のその想いは大きく変わっていく…。

読んでいて何度か涙を流してしまった。 この作品は答えをわかりやすく提示したものではないので読む人によって得る感情は違うかもしれない。
想い出と現実とそこにある感情の揺らぎを描いた紛れもない名作。

 

死んだ彼氏の脳味噌の話

発売中

著者:Ququ
出版社:KADOKAWA

│次回は5位〜1位を発表!!

というわけで前半6位までの発表でした。
「死んだ彼氏の脳味噌の話」はあまり展開されているのを見かけず目にする機会も少ないかもなのですが本当に本当に素晴らしく多くの人に読んで欲しい作品なんですよね。

5位から1位は次回!!

(文:仕掛け番長)

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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