マーダーミステリーをコミカライズ!? 新しい謎解きの楽しみ方!『約束の場所へ~或る少女の供述~』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】 Tweet │参加者が物語を複雑化していく!?参加型ミステリー体験「マーダーミステリー」あなたはご存じですか? マーダーミステリー略して「マダミス」は参加型リアル対人推理ゲームという、いわゆる人狼ゲームやリアル脱出ゲームと似て非なる体験型エンターテイメント。 登場人物、もちろん「犯人」や「被害者」も決まっているシナリオを、参加者それぞれがキャラクターとなり性格や事件当時の状況(何をしていたかなど)が書かれたシートを元に演じる。証拠を集め、時には密談や交渉、会議を重ね物語を紡いでいく。そしてこの「マダミス」の面白い所は、自分の好きなタイミングでそれぞれのキャラになりきり、嘘や隠し事をしていいというところだ。「犯人を捕まえたい」「犯人を逃がしたい」「誰かを犯人に仕立て上げたい」など、参加者の想いはさまざまであり、それにより同じシナリオで始めたゲームも全く違うものになったりする。(詳しく知りたい方は、『約束の場所へ』の巻末に著者のmononofu先生がとても分かりやすく漫画でマダミスを紹介しているので是非ご覧ください!) そんなマダミスのシナリオとしてあるゲームの一つが「約束の場所へ」であり、本作はそれをコミカライズした新しい形のミステリー作品だ。結論を言えばいたるところにあるマダミス要素により、読者が手軽に考察の楽しさを味わえる新感覚エンタメコミックスとなっている。 │ヒントは無数に散らばる。それぞれの会話、行動、状況証拠から導き出す事件の真相 一組のカップルを含む仲のいい大学生グループ。その中の一人の別荘にみんなで旅行に出かけたことが事件の始まりだった。 物語序盤、基本的にはヒロインである樋口夏希目線で物語は語られる。そのため夏希が得た情報がそのまま読者の得る情報となる。この情報の入り方と考察の手順がまさにマダミスを再現している。そして事件後は警察官の目線が加わり、人物の関係性など考察に使えるヒントの要素が加わってくるのだが、しっかりと伝えるために相関図を警察官が描いたシーンで「その相関図」を見開きで掲載するなど、考察の要素を大切に表現していくような構成が組まれている。 まさに謎解きをエンタメとして誰もが楽しめる「マダミス」のコミカライズならではの仕掛けと言えるだろう。そんな要素がこの作品には随所にみられ会話、行動、状況証拠から謎解きできる楽しさを伝えたい作者の想いがダイレクトに伝わってくる。 │この作品を面白いと感じたら「マダミス」を一度体験するべきかもしれない。新しい楽しみがきっとそこにある!! 体験型推理ゲームは、コロナ禍でもオンラインで楽しめることからその人気を高めている。この『約束の場所へ ~或る少女の供述~』をまずは読んで、ヒントから過程を立て検証し考察をしていくミステリーの楽しみ方を一度味わってみて欲しい。そして興味を持ったのならぜひ「マダミス」を一度楽しんでみる事をオススメしたい。 ミステリーの楽しみ方は無限大だとまた改めてその魅力の一端を味わえると思うのだ。 (文:仕掛け番長) │仕掛け番長のおすすめ本 約束の場所へ~或る少女の供述~ 1巻発売中 原案:Moaideas・張恆漫画:mononofu出版社:竹書房 商品検索 商品検索 作品詳細 【コンシェルジュ】仕掛け番長 栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』 Twitter(@maron_rikiya)