夫を思うやさしさに気づいた瞬間に涙が流れる『僕の妻は感情がない』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】 Tweet │優しい物語にふと感動し、心が癒される。あなたに寄り添う作品 『僕の妻は感情がない』このタイトルからあなたはいったいどんなストーリーを思い浮かべるだろうか?はじめてタイトルを見た時、これはなかなか想像力を掻き立て興味を引くタイトルだと率直に思った。この作品は、表情がほとんど変わらない家事用ロボットである妻と主人公の夫婦生活の日常を描いた作品である。 1巻目発売当時、私は本作を何気なく手に取り読みだしたのだが、特に悲しいシーンでないはずなのに読んでいて涙が突然流れて止まらなくなった。演出的な泣かせ要素なんてものは一切なく、誰かが死ぬなどの急展開もない。そこにあるのは、家事用ロボットであるミーナとミーナを中古で買った主人公のタクマの二人の日々を過ごしていく中でのお互いの想いやり、相手に想われたいと思う些細な瞬間なのだ。しかしこの「些細な瞬間」がありえない程感情を揺さぶってくる。 この作品を読んで「このなぜか泣いてしまう」というのはどうやら私だけではないらしく、漫画好きの知り合いも同じことを感想として話していた。 ミーナはロボットだ。表情を作る事が出来ない彼女が単純に彼を想う気持ちからとる行動は、現代の情報量が多くなりすぎてなんだか煩わしい人間関係に疲れている現代人にすっと響くのだと思う。 優しい物語にふと感動し、心が癒されるそんな作品は決して多くはない。疲れたなと感じたときにぜひこの作品を読んでみて欲しい。あなたにそっと寄り添うそんな作品だと思うから。 (文:仕掛け番長) │仕掛け番長のおすすめ本 僕の妻は感情がない 2巻まで発売中 著者:杉浦次郎出版社:KADOKAWA 商品検索 商品検索 作品詳細 【コンシェルジュ】仕掛け番長 栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』 Twitter(@maron_rikiya)