意外性の連続? 心理的考察要素を持つラブコメ『弱キャラ友崎くん』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│ちょうどアニメは終わってしまったが、4月のこの時期に読むべきだと声を大にしていいたい日常攻略系ライトノベル!!

冴えない、教室の隅にいるような少年が、一人のカーストトップ万能美少女の手ほどきを受け、クラスの中心グループにのし上がっていく───

一言でいえばそんな物語がこの『弱キャラ友崎くん』だ。

日本屈指のゲーマーである友崎は、現実ではボッチの冴えない高校生。
彼は「人生はクソゲーだ」と言い切って現実を諦めていた。
ある出来事から彼は、自分が唯一認める実力をもつゲーマーが学園のパーフェクトヒロイン・日南葵だと知る。彼女は友崎と同じくらいゲームを極めてなお「人生は神ゲー」と言いきる。
彼女は「この人生のルールを教えてあげる」と友崎に人生の指南を始める…。

人は見た目が9割。印象ひとつで人の自分に対しての行動は180度変わる。そんな多くのビジネス書で語られてきたような内容を、ラブコメという物語を舞台として実演し、それにより主人公の環境が変わっていく。
毎回日南から与えられる目標は、一見とてもボッチ男子高校生である友崎にはとてもじゃないがクリア不可能なものに思える。
しかし実はそこにはコツがあり、そのひとつひとつをしっかりと意識し、目標に対して取り組んでいく事で確実に人生は変わっていくのだ。

以前大きなブームになった「もしドラ」的な要素があると言えばイメージが付きやすいかもしれない。

しかし、この作品の魅力はそれだけではない。
あくまで真ん中にあるのは「ラブコメ」という物語のため、多くのヒロインなど登場人物が作品に登場するのだが、これがとても癖のある人物たちなのだ。
それこそ、いわゆる面倒くさくない理想のヒロインなんてこの物語には一人も存在しない。
悩ませてくる、イライラさせる。それこそゾッとしてしまうような顔を覗かせるヒロインも中にはいる。

まるで現実のように登場人物一人一人に考えがあり、それに準じて行動をしている。
その結果がたまたま『弱キャラ友崎くん』という物語になっている。
そんな風に感じてしまうほどだ。

だからこそこの作品、そして登場人物一人一人に愛着が湧き、自分の想いも重ねてしまう。

色々な要素が詰まり、続きが気になって読むのをやめる事が出来なくなるほど面白い『弱キャラ友崎くん』。ぜひ気になった方はまずは1巻だけでも読んでいただけたらと思う。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

弱キャラ友崎くん

9巻まで発売中

著者:屋久ユウキ
出版社:小学館

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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