『しあわせは食べて寝て待て』このタイトルにすべてが詰まっている【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│幸せになりたいときに読んで欲しい優しさ溢れる漫画

喉がイガイガするっていつも思っている人は多いのではないでしょうか?
私もそんな1人で少し喉の調子がいつも悪い気がしてます。

『しあわせは食べて寝て待て』

この漫画は、少し体の調子を崩してしまい、昔のように普通には働けなくなってしまった女性が主人公です。

普通に働くのが好きでバリバリ働き夢もあった中で、突然長い時間は働けなくなってしまった彼女。
元々働いていた会社は働き辛くなってしまい、今はデザイン事務所の事務で週4日パートとして働いています。
そんな彼女は経済的な理由から引っ越しを決意するのですが、その引っ越し先出会った少し不思議な雰囲気のある優しいおばあさんと若い男の人との日常がこの作品には描かれていきます。

そこにあるのは食べ物にまつわる小さな幸せ。

例えば喉のイガイガには杏が効くよと教えてもらったり、一緒に美味しいお肉を食べたり。
例えばいつものお茶も少しの工夫でほんの少し世界が華やいだり。そんな些細なお話。

でもそのひとつひとつがとても素敵に読者の心も癒してくれるのです。

「薬膳」と聞くと少し身構えてしまう私もいたのですが、ここに描かれたそれらは全く難しくなく「少しやってみようかな」と押し付けがましくなく描かれているため、素直に試したくなってしまいました。

そして『しあわせは食べて寝て待て』というタイトルもとてもいいんですよね。
どうしても幸せになりたいと焦って、周りと自分を比べてしまう。そのせいでさらに焦って、なんだかドツボにハマっていく…。
でも本当は幸せなんて人それぞれの気持ちにあるものだから、比べられるようなものではないんですよね。
それこそ毎日美味しいなーって思えるものを食べて、今日も疲れたなーって気持ちよく寝ているうちに隣にあるものなのかもしれないな、とふと気付かされました。

この作品は、なんだか難しい事を考えたくないけどそれでも前に進まなければならない、そんなあなたにそっと手渡したい一冊です。
優しい毎日に気づかせてくれて背中を少しだけ押してくれるような物語。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

しあわせは食べて寝て待て

1巻発売中

著者:水凪トリ
出版社:秋田書店

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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