帯に書かれた言葉が読後、あなたに刺さる…。『録音された誘拐』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│『誰よりも耳がいい』そんな探偵助手の女性が活躍する探偵小説!

例えば「ものすごい頭脳の持ち主である」「常識にとらわれない発想が出来る」「目が以上によく人に見えない細かな変化も見逃さない」「触れる事でそこに残された残留思念が視える」「時間を何度も巻き戻せる」などなど…。
探偵小説の主人公である探偵は、色々な自分の武器を駆使して犯人を追い詰めたり事件の真相を解いたりしていく。
その推理の過程は読む者の好奇心をあおり、作品世界に夢中にさせていく。

今回紹介したい『録音された誘拐』は「誰よりも耳がいい」そんな女性が活躍する探偵小説だ。
物語は探偵事務所の所長が誘拐されてしまう。
耳がいいのが取り柄の助手山口美々香は、微妙な違和感を聞き逃さず真実に迫っていく。

誘拐犯 vs 探偵たちの攻防に手に汗握り本を読む手を止められない。
そして迎える結末には誰も予想できない驚きの秘密が隠されていた。

│この真相は、たぶん、あたなたには聞こえない

この作品は大好評だった著者の短編集『透明人間は密室に潜む』に収録された「盗聴された殺人」に登場した探偵コンビの続編として書かれた長編小説となっている。
もちろんこの作品1作でも楽しめるのだが、先に短編を読んでいる人の方がより物語を堪能できるようになっている。
これはストーリー的なものというよりも、キャラクターの認識の差によっておこるものだったりするのがこの作品の肝だろう。

帯に書かれた「この真相は、たぶん、あたなたには聞こえない」という文言に思わず本を閉じた後ため息が出た。

騙されていたのは誰なのか。登場人物の誰か? それとも読者? もしくは「全員?」

最近の新刊の中でむ抜きに出た面白さを見せつけられた『録音された誘拐』もし気になったならばせひ読んでみる事をオススメしたい。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

録音された誘拐

発売中

著者:阿津川辰海
出版社:光文社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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