漫画愛が溢れまくる!漫画好きなら絶対読むべき作品っ『これ描いて死ね』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│自然に囲まれた伊豆七島で個性豊かな友達とちょっと変わった先生と漫画を描いていく漫画愛に満ちた少女の日々

あなたにはずっと大切にしている大事な漫画作品はあるだろうか?

本作の主人公である安海は伊豆七島に住む高校生。
商店街の貸本屋さんに通い、そこにあるすべての漫画を読んでしまっているほどの漫画好きな彼女が一番思い入れのある大好きな作品は「ロボ太とポコ太」。
学校の先生からは「漫画は何にもならない! 漫画は嘘!」と言われても、その漫画好きの気持ちは全く変わらない。
そんなある日「ロボ太とポコ太」の作者☆野0先生のSNSが久々に更新され、大好きな「ロボ太とポコ太」の新作をコミティアで頒布すると告知が入る。
大好きな作品の続きが読める、大好きな先生に会える。そんな期待を胸に意を決して怖がりながらも一人ビックサイトに向かう安海。
そしてついに☆野0先生と対面するのだが、そこにいたのは思わぬ人物で……。

自然に囲まれた伊豆七島で、個性豊かな友達とちょっと変わった先生と漫画を描いていく、漫画愛に満ちた安海の日々を描いたこの作品。

リアルに漫画の生みの苦しみにも触れかなり内容は濃い。
しかしその濃い内容が全くストレスなくどんどん頭の中に入ってくるのは、とよ田みのる先生だからこそできる技だろう。

│巻末の先生の過去を描いた読み切り「ロストワールド」も無茶苦茶傑作!!

安海の漫画への想いは漫画好きな読者ならきっと共感してしまうものだろう。
漫画の読み手から漫画の描き手に足を踏み入れていく彼女の姿は、なかなか熱いものがある。

そしてそんな彼女や彼女の仲間たちに漫画を教えていく先生の紹介も忘れてはいけない。
彼女の存在自体がネタバレになるので詳しくは話せないが、あくまで「趣味」で漫画を描かせようとする先生の優しさは心にしみるし、また偉そうに王様の目線で描いた漫画の感想を言う読み手である赤福さんの存在の考え方は大事な要素だと思えた。
この先生の過去を描いた読み切り「ロストワールド」が本作の1巻目には収められているが、これを読むとより『これ描いて死ね』の先生の言葉の裏にある意味が広がるので、この読み切りを読みもう一度1巻を最初から読んでみることをオススメしたい。

漫画好きの人ならば一度読んだらかなり刺さる事間違いなしの本作。
ぜひ気になった方はお手に取ってみて欲しい。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

これ描いて死ね

2巻 10月12日発売、1巻までレンタル中

著者:とよ田みのる
出版社:小学館

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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