最後には衝撃のどんでん返しも…この夏一番おすすめのホラー漫画!『過去が殺しにやって来る』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│鳥肌が立ってしまうのを止められない全身がゾッとする『過去が殺しにやって来る』

過去に起こした過ちが今、悲劇を生み出してしまう。
そんなホラー短編を集めた『過去が殺しにやって来る』
リアルで緊迫感のある漫画を得意とする小池ノクト先生だからこそかけた鳥肌が立ってしまうのを止められない全身がゾッとするような1冊だ。

唯一の4話収録となっている「ハスカップ・スシ・マサカー」は、23年ぶりに家族と共に故郷の町にとある理由でおじいちゃんに会いに帰省した女性美咲を主人公とした物語。

実家までの道のりに車を走らせる家族三人。
23年という月日が立ち元々活気のある町だった故郷には以前の面影はなく、空地ばかりのいわゆる寂れた町そのものなっていた。
あまりの変化に驚きながらも実家の寿司屋のあった場所に到着する家族。
しかしそこもすでに家はなく、あったのは火事で燃えた残骸のみだった。

火事からはもう相当経っているであろう様子を見て、実家がこんなになっているのに何で何も知らないの? と美咲は戸惑い、父に問いかける。しかし父はイラつくばかりで答えを教えようとはしてくれはしない。
少し目を離したすきに車のタイヤに悪戯をされてしまい動けなくなる3人。
父親は怒り、その悪戯をした犯人を追って行ってしまう。
車で父を待つ美咲と母。そこで美咲は母から自分たちがこの実家から出ることになった本当の理由を聞かされる。
そのあまりにひどい事実に動揺を隠せない美咲。
そんな時、前から人影が近づいてくるのが見えた。父だと思い車を出て人影に近づいていく母。瞬間、美咲の目に映ったのは母に大きな包丁が振り下ろされる姿だった…。

│見どころは、この母を殺した殺人鬼に美咲がどんどん追いつめられていく恐怖、そしてその中で起きる彼女の心情の変化

この「ハスカップ・スシ・マサカー」の見どころは、この母を殺した殺人鬼に美咲がどんどん追いつめられていく恐怖、そしてその中で起きる彼女の心情の変化だろう。
特に後者は本当に凄く、ここまでホラー作品のヒロインの魅力というポイントを描き切った作品は今までなかったのではないだろうか、と感じてしまった。

そして最後にはこの町で何が起きどうして残虐な事件が起きてしまったのか? 殺人鬼の正体は? そして1話目の最初の何気ない会話の中の伏線など漫画作品ならではの楽しみも用意されている。

そんな「ハスカップ・スシ・マサカー」の他にも3編の1話完結型のホラー作が収められている本作。どの作品も1本目に負けない怖さと最後に待つ驚きがたまらないのだ。

今年の夏も色々なところで怖いもの特集を見かける。
今回紹介した『過去が殺しにやって来る』のように漫画でもぜひ恐怖体験を味わってみて欲しい。きっと動画で驚くそれとは違ったゾッとする怖さを実感できるはずなので。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

過去が殺しにやって来る 小池ノクトホラー短編集

発売中

著者:小池ノクト
出版社:少年画報社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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