思いもよらない結末が毎回待つ!衝撃の1話完結型コミックス『フォビア』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│1話完結型のホラー漫画『フォビア』ゾッとさせるだけではない思いもよらない結末と中毒性の高い漫画表現で読者を虜にする!

嫌われるのが嫌で誰のいう事でもきいてしまう女の子。
彼女は昔、主人公が黒髪のロングの髪の毛を褒めた翌日、髪を短髪に切り上げると主人公に自分の髪の毛を差し出してきた事があった。

そんな彼女は高校生になり、より周りからの彼女への要求もエスカレートしていく中で、主人公は彼女の本性に気が付く。
そして彼女と距離を取るようになった主人公に彼女がとった行動とは?
そして迎える結末には思わず声を漏らしてしまうほどの衝撃が待ち構えていた…。

そんな背筋がゾッとするようなエピソードから始まる『フォビア』2巻。
1話完結型で現代の怪談ともいえる話を描く本作。

何とも言えないどろどろした恐ろしさが独特で唯一無二の作品なのだが、特に2巻は収録の全編を通し自分の知らない間に他人に侵されていく恐怖、自分勝手な人間のおぞましさを描いており非常に面白いものになっているのだ!

今回はそんな『フォビア』をご紹介しよう。

│【オススメポイント 1】1話完結型で毎回思いもよらない驚きの結末が待ち受けている

『フォビア』は毎回1話完結型の短編集だ。
その結末には、毎話短編で描くにはもったいないような驚きが用意されている。
例えば『世にも奇妙な物語』や漫画で言えば『アウターゾーン』のようなイメージをもってもらうとわかりやすいかもしれない。

ちなみにその結末は救われない残酷なものが多くついつい身構えて読んでしまうのだが、時にはそんな読者の心を逆手にとったラストが描かれる事もあり、思わず笑顔になってしまうものや、涙が自然と流れてきてしまう様なエピソードまで…。

感情の揺さぶりが非常に上手く、読んでいて全く飽きがこないものになっているのだ。

│【オススメポイント 2】ゴトウユキコさんの引き込まれ、溺れてしまうような絵の世界観

漫画を担当するゴトウ ユキコさんは「R-中学生」「水色の部屋」など、多くの作品で漫画読みを虜にしてきた漫画家さんだ。
ゴトウユキコ先生の描く世界は、何故か誰もが一度は犯してしまう過ちのような、一度手を出したら溺れてしまう事がわかっているのについ手を伸ばしてしまう様な魅力がある。
正しく伝わるかを恐れずにいうならば“背徳的な感情を刺激する”という様な表現が言葉としては近しいかもしれない。

そんなゴトウユキコさんの絵の世界観が原克玄さんの原作と最高のケミストリーを見せ、今までなかったような漫画の読み味を実現させているのだ。
怖いだけではない、ゾッとするだけでは終わらない『フォビア』の面白さはこの2人だからこそ出せたものだろう。
まさに一度味わったら抜け出せない底なし沼のような世界観が完成されている。

『フォビア』は「怖い話」というカテゴリーの漫画になるだろう。
しかしただゾッとさせるだけではない、思いもよらない結末があるというポイントは、ジャンルにこだわらず多くの人が楽しめるものになっている。
また中毒性の高い漫画表現で、1話完結型にも関わらず次の話が読みたくて仕方がなくなるという連載作品としての完成度も高い作品だ。

この作品をあなたの漫画ライブラリーにぜひ加えていただきたいと私は思う。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

フォビア

2巻までレンタル・発売中

原作:原 克玄、作画:ゴトウユキコ
出版社:小学館

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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