考察要素もふんだんに!実はむちゃくちゃ奥の深いラブコメ!!『煩悩☆西遊記』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】 Tweet │4巻まで読んだらもう読むのをやめられない!? ギャグの中に伏線が隠されまくり!?超傑作ラブコメディだこれは! 結論から言おう。4巻を閉じたとき思わず騙されていた。まさかこの漫画にこんな思いにさせられるとは…最高すぎた。本作『煩悩☆西遊記』はむちゃくちゃ強くて万能すぎる三蔵法師が可愛い女の子の悟空、猪八戒、沙悟浄と旅をする西遊記をラブコメ風にアレンジした物語。旅の途中に出てくる妖怪もみんな美少女。そんな状態で煩悩に負けずに天竺までたどり着けるのか?そんなギャグ強めの物語が毎回描かれていく。あまりにキレのいいギャグ漫画で毎回アホやなぁ~と楽し読める本作だが、ラブコメ要素として悟空、猪八戒、沙悟浄それぞれの心の中にあるしこりに対してのエピソードが描かれる事は珍しくはなかった。そのたびにそれぞれの想いに煩悩に負けずに寄り添う三蔵法師と3人は交流を深めていく。しかし読み進めていくうちに、彼女たち3人の心にあるその闇が簡単なものではない事に読者は気が付いていく。永遠を生きて多くの悲しみを抱えてきた悟空。求められると断れない自分を愛せない猪八戒。何度も失いながらそのただ一人のために繰り返し悩み戦いその結果記憶を失った沙悟浄。ネタバレになるので詳しくは描けないが、それら3人の抱えるものが4巻にて3人の過去編として描かれるのだが、これが思わず1巻から読み直さずにはいられない超濃厚な物語となっているのだ。ギャグ要素として描かれていたそれぞれの行動や言動。例えば1巻から繰り返し描かれている、三蔵法師の手を握るとなぜか記憶を失い無表情であり続けるはずの沙悟浄が「にへっ」と笑みをこぼしてしまい、その可愛い笑顔の破壊力に三蔵が抱きしめたいと煩悩を抱いてしまうというお決まりのパターンがある。これがまさかのとんでもない悲しさを含む伏線であったなんて本当に驚きを隠せない。さらにこの過去編が物語にまだまだ隠されている大きな謎がある事も示唆していたり・・・。 │ヒロインのうちの誰が選ばれるか?ではなく主人公が誰も選ばない事がハッピーエンド??? また、ラブコメとしてもこの作品は新しい挑戦をしている。1巻の最終話で、自分の将来が見えるというお香の効力で三蔵は将来3人に本当の自分を受け入れて欲しいという様な場面が訪れ、そして誰かが自分の子を産むという夢をみる。もちろん三蔵は誰とも恋仲になるわけにはいかない立場。しかし3人の心を癒すためには…そして彼は決意する。彼女たちの心を救う事、そして誰とも恋仲にはならない事を。ヒロインのうちの誰が選ばれるか?ではなく主人公が誰も選ばず、尚且つ3人の心を救えるのか?そんな事を考えながら読むラブコメはなかなかない。表紙や帯、1話を読んだだけではこの作品の本当の面白さはわからないだろう。ぜひ4巻までまずは読んでみて欲しい。ラブコメ好き、伏線好きの漫画読みならば『煩悩☆西遊記』ハマる事間違いなしだ。 (文:仕掛け番長) │仕掛け番長のおすすめ本 煩悩☆西遊記 5巻までレンタル・発売中 著者:クリスタルな洋介出版社:小学館 商品検索 商品検索 作品詳細 【コンシェルジュ】仕掛け番長 栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』 Twitter(@maron_rikiya)