作品を魅力的にしているヒロインの秘密に迫ります!『ぐらんぶる』/漫画担当の吉岡公威先生インタビュー【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

井上堅二・吉岡公威/©講談社

アニメ化・実写映画化もされ『月刊good!アフタヌーン』にて大人気連載中の『ぐらんぶる』。
読み始めたらもう止まらない最高のダイビング×酒飲みライフを描いたこの作品!!
その人気は井上堅二先生の誰もを笑顔にさせ、時には熱い想いを引き起こす原作と、見惚れてしまうほどの神作画を絶え間なく連発する吉岡公威先生の高レベルな化学反応によるものだと思います。
今回はそんな吉岡公威先生に「ぐらんぶる」のヒロイン達という側面をあえてピックアップしてお話を色々お伺いして魅力的なヒロイン達をガッツリ深堀していきます!

【プロフィール】吉岡公威

現在、全裸系ダイビングコメディー『ぐらんぶる』(原作/井上堅二)と煩悩系お寺ラブコメ『てんぷる』を並行連載中。男女どちらのヌードにも定評のある講談社アフタヌーンの至宝。作中ではキレ顔が多用されるが、本人はいたって温厚。

Twitter(@kimitake_y)

│魅力的なヒロインを生み出すポイントは“リアクション”

栗俣(インタビュアー):酒飲みおバカギャグ漫画としての止まらない笑いや、伊織たちの時折見せるカッコよくも熱い一面が好評の『ぐらんぶる』。そして桜子というキラーヒロインの登場で、そこに新たな魅力が加わりました! 長期連載にも関わらずこのタイミングでも新たなファンをさらに拡大し飛ぶ鳥を落とす勢いとなっています。

『ぐらんぶる』におけるヒロインは「超絶可愛い見た目なのにみんな隙だらけ(欠点だらけ)」というストレートではなく変化球な魅力を見せるキャラクターが多いのですが、そんなヒロイン達を吉岡先生が描く上で考えられているポイントはどんなところにありますか?
ぜひ色々お伺いしたいです!

吉岡先生:一番気を付けている所は「リアクションをキャラごとに変える」ことです。
『ぐらんぶる』は男性陣が大暴れするのが主体のコメディなので、それを見た女性陣がどういうリアクションをするか、でキャラクターを立てていってます。
原作の井上さんが振ってくれたネタをこちらがリアクションをして受け取るという形ですね。変化球なキャラが多いのは井上さんのネタ振りが凄い球だらけだからだと思います(笑)。
男性陣のパワーに押されないように女性陣も表情が自然とパワフルな感じになってしまいました。

栗俣:そんな欠点だらけに思えるヒロイン達ですが、油断をして読んでいると急にむちゃくちゃドキッとさせられる瞬間が訪れるのです! この感じはまさに「恋する感覚」そのものではないかと思います。これは漫画という表現を最大限に活かしたゆえのものがと思うのですが、吉岡先生が「このヒロインのこのシーンはヤバイ!」と思う吉岡先生オススメのヒロインシーン3選をお伺いしたいです。非常に気になります!!

吉岡先生:ドキッとしていただけてるなら本当に嬉しいです。デビュー前は可愛い女の子が描けなくて四苦八苦しまくりましたので。

お勧めシーンですが、

【1】5巻の沖縄旅行で千紗が伊織に「伊織の奢りなら」と言うシーン
二人のなんとも微妙な距離感が現れていて良いシーンだなーと思いました。2度目の沖縄旅行にも繋がりましたしね。

井上堅二・吉岡公威/©講談社

【2】同じく5巻で、梓が「本気でしたいって言うならいいけど?」と言うシーン
梓が初めて女性らしさ全開の表情を見せてくれたのでお気に入りのシーンです。5巻は特に内容が濃くて良いですね。ほかにも良いシーンがたくさんあります。

井上堅二・吉岡公威/©講談社

【3】最後は11巻の、御手洗彼女の大橋さんが「いい子❤」と言うシーン
この表情すごく褒められました(笑)。こっち方面での「ドキッ」とする感じも「ぐらんぶる」らしくて良いのではないでしょうか。

井上堅二・吉岡公威/©講談社

栗俣:オススメのシーン全部私も好きな所です!! 5巻の沖縄旅行は本当に濃厚でドキドキ(色々な意味で)する場面の宝庫で女性陣の魅力と笑いが同時に襲ってくる感じで『ぐらんぶる』らしさの塊のような巻ですよね(笑)。

│描いていてとても楽しい桜子は、気持ちの良いキャラに成長

栗俣:そして17巻で一気に私をはじめ多くの読者の心を掴んだ桜子。登場時はここまで魅力的なヒロインに今後なるとは想像もしていなかったのですが、この展開は当初から予定されていたのでしょうか? また吉岡先生の考える桜子の魅力についてもお伺いしたいです!!

吉岡先生:桜子はいつか再登場させたいですね、くらいの話は出ていたと思いますが、まさかここまでのキャラになるとは想像していませんでした。井上さんも恐らく想定していなかったのではないでしょうか。
最初は憎まれ役での登場でしたが、再登場してからの伊織との掛け合いは吉岡も大変楽しく描かせて貰っていたので、メインヒロインレベルに昇格したのはとても嬉しいです。
桜子の魅力は女性陣で唯一伊織たちとクズな話題で盛り上がれるキャラなので描いていてとても楽しいです。それでいて恋愛に関しては愛菜ばりに乙女な部分もありますし、したたかだけど、それは本気度の現れなので、再登場してからの桜子は嫌味さがなくむしろ気持ちの良いキャラに成長しましたね。そこが魅力ではないでしょうか。

井上堅二・吉岡公威/©講談社

栗俣:まさに本気度の現れであるしたたかさに私もグッと心を掴まれましたっ!! そんな桜子をはじめヒロイン達の今後も色々気になるところです。今回は『ぐらんぶる』をヒロインという側面で色々お伺いさせていただきましたがそんな『ぐらんぶる』の今後の展開はどうなっていくのでしょうか? 注目すべきヒロインなど、しゃべれる範囲でお伺いさせて下さい!

吉岡先生:今後の展開ですが、全く知りません(笑)。多分井上さんも知らない…? いや知っていてほしいですが(笑)。個人的に描きたいシーンは御手洗の彼女の結婚式ですね。なんかすごいことになってくれそうなので。あとは愛菜の友達3人娘が何かしら活躍してくれると嬉しいです。愛菜含めお気に入りの四人組なので。

│別連載の『てんぷる』(お寺漫画)は『ぐらんぶる』よりも…より恋愛&女性!!

吉岡公威/©講談社

栗俣:吉岡先生は『ぐらんぶる』と同時に『てんぷる』というラブコメ作品も連載されています。こちらもむちゃくちゃ刺さるヒロインが多数登場する作品です。『てんぷる』をまだ読んでいない『ぐらんぶる』のヒロイン好き読者へ、『てんぷる』のオススメポイントをお伺いしてもよろしいでしょうか? ちなみに私は「ミア」がめちゃくちゃ大好きです!!

吉岡先生:『てんぷる』のおすすめポイントですが、やはりお寺漫画ということで、ありがたい教え、清らかな心、そして煩悩を退散できる気高い魂。それらが一切手に入らないことにあると思います。ええ、ただのおバカなコメディ漫画なのでお気楽に楽しんでもらえたらと思います。
『ぐらんぶる』よりはもう少し恋愛色を重視しているのでそちらを楽しみたい方はぜひぜひ。あと男性の裸より女性のおっぱいが見たい方もぜひぜひ。

ミアがお気に入りということでありがとうございます。彼女はなかなか凄いキャラに仕上がったなーと作者ながらに感心することがあります。
彼女の天真爛漫さに度々助けられることもありました。
天真爛漫すぎて少し心配になることもありますが。正直自分の頭の中も心配になることもありますが。
ミアがお好きな方は今後の展開でまた少し彼女が動くことがありますので是非楽しみにして頂けたらと思います。

吉岡公威/©講談社

栗俣:『ぐらんぶる』『てんぷる』両連載ともこれは目が離せないですね! ミアの今後の展開楽しみすぎる!! では最後に『ぐらんぶる』読者、そして吉岡先生のファンの皆様にメッセージをお願いいたします!!

吉岡先生:いつも「ぐらんぶる」を読んでいただきありがとうございます。応援メッセージ等なかなかお返事できておりませんが、いつも楽しく拝見させていただいてます。今後も、頭空っぽになれて楽しい漫画を描くべく全力で突っ走りたいと思いますのでお付き合いいただけたらと思います!

3月7日(月)に『ぐらんぶる』18巻が刊行予定です。海には潜りませんが、大学生らしい青春模様が詰まった一冊になってますのでぜひご覧いただければ。よろしくお願いします!

栗俣:吉岡先生、ありがとうございました!

│仕掛け番長のおすすめ本

ぐらんぶる(18)

原作:井上堅二 漫画:吉岡公威
出版:講談社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

一覧に戻る