現在『月刊good!アフタヌーン』にて連載中の『とりま、風呂いかね?』。
可愛い女の子×お風呂漫画と思いきや「!?」な展開で1話目から読者の心をしっかりつかんだこの作品。そんな1話を最後まで読んでから1ページ目を見ると、とある映画のオマージュでこの物語のその後の展開を表していたなど、漫画好きのツボをしっかり押さえているなど注目ポイントも多い。今回はそんな『とりま、風呂いかね?』について著者であるイシイ渡先生に色々聞いちゃいます!
│ハマっていたTVドラマからSF要素を加えるヒントを思いつく
栗俣(インタビュアー):『とりま、風呂いかね?』は女子高生二人を中心とした「お風呂」×「SFもの」という全く新しいジャンルを切り開いた作品ですよね。まずこの作品の注目ポイントとしては「読むとお風呂の知識がめちゃくちゃわかる!」というものがあります。1話目でのサウナからの水風呂、そこからの休憩所での「頂きました…っっ!」の流れのように、読者が気持ちよさそうなヒロインの姿を見て思わず自分も試したくなってしまうようなお風呂知識の数々が! やはりイシイ渡先生ご自身もお風呂が大好きなのでしょうか? また作品の中で色々出て来るお風呂知識の中で先生がこれだけはまず試して欲しいと思うものを教えてください。
イシイ先生:はい! 著者の二人ともサウナ・お風呂好きです! 週に1回は、銭湯通いをしています。是非やって頂きたいのは、サウナ→水風呂を3往復して、ととのった後にお湯に浸かること。血の巡りが良くなって肌が敏感になってるのか、お湯の温かさをじんじん感じることが出来てとても気持ちいいです。あとは夏のサウナ。冬は外が寒いのでサウナに入っている時間と水風呂に浸かる時間を調整しないとととのい辛いので、サウナ初心者の方は夏の方がととのいやすい気がします。是非試して頂きたいです。私も初ととのいは夏でした(笑)。あ! でも、人それぞれの体質があるので、辛かったらすぐに出てくださいね。無理なくサウナを楽しみましょう!!
渡先生:3話のよもぎ湯は、実際に乾燥よもぎを購入し、自宅で試してみました。最初はよもぎをそのまま袋にいれて、湯に浮かべていたのですが、どうも香りがでず…。熱湯で煮出した原液を使う方法を知り試したところ、作品に描いた感じを出せました。ぜひお試しください(笑)
©イシイ渡/講談社
栗俣:もうお話からお風呂愛がめちゃくちゃ伝わってきますね!! 聞いてるとなんだか私もお風呂が恋しくなってまいりました! よもぎの煮だした原液を使うといいんですね。。。試さなければ(笑)
そしてやはり忘れてはいけないポイントがSF要素。ヒロインの一人である朱美は銭湯を守るためにやってきた未来人で、「未来の銭湯」がこの作品の肝となり、もう一人のヒロイン・姫子の行動や想いによる未来への影響など考察要素が加わることで「お風呂もの」という日常要素が強いにも関わらず、続きが気になり読むのを止められなくなります。お風呂ものにこの本格的なSF要素を組み合わせて作品を描こうと思ったのはなぜでしょうか?
渡先生:元々は、「サウナ・お風呂×女子高生たち」というテーマで日常物のコメディ漫画を描こうとしていたのですが(サウナブームにあやかりたいという下心です笑)、企画してみて、何かパンチが足りないなと。この頃、ちょうどNetflixでドイツ製ドラマ『ダーク』にハマっており、本作はタイムトラベルとミステリーを組み合わせた非常に重厚な作品です。私たちのコメディもタイムトラベル要素を加えると、物語の縦軸としてグッと魅力を増すのではないかと考えました。連載開始前は、SF要素はこれまで書いたことはなく、タイムトラベル要素を加えるのか、私たちも迷っていましたが、担当編集のクワさんが背中を押してくれました。
©イシイ渡/講談社
栗俣:担当編集者さんナイスですね!!「お風呂・サウナ×女子高生×SF」なんてジャンル今まで読んだことが無かったので、私はもうそのSF要素が入ってきた瞬間の衝撃で一気にこの作品にハマってしまいました! そして本作に登場する2人のヒロインめちゃくちゃ可愛いですよね! 1人目はこの作品で大きな鍵を握る「明馬姫子」ですが、彼女はどんな女の子かご紹介いただいてもよろしいでしょうか?
©イシイ渡/講談社
イシイ先生:バレンタインで好きな子にチョコを渡す時、真っ赤になりながら仏頂面で「義理だから気にすんなっ」と言って下手くそな手作りチョコを渡す女の子です。
渡先生:最初は、ギャルのつもりで描き始めましたが、描いてみると実は内面は情に厚い、下町の女の子、という感じになりました。
栗俣:凄いイメージわかります! そういう感じがむっちゃ魅力的なんですよね!! そしてもう一人のヒロイン、未来からきた少女「由布院朱美」は、お風呂への愛と知識が溢れんばかりの女の子です。
©イシイ渡/講談社
渡先生:未来のお風呂は現代とがらりと変わって銭湯そのものがなくなってしまったため、彼女は現代のお風呂への愛や憧れが止まらないです。時々見せる、現代っ子とはズレた反応やリアクションを楽しんでもらえればと思います。
イシイ先生:「これ、温泉たまごが中に入っているのよ。体にとてもいいの」とおぞましい形のチョコを満面の笑みで渡してくる(悪意はない)女の子です。
栗俣:フラットな見た目と相まってそのズレた感じがいいんですよね~!この2人のヒロインの掛け合いが何とも言えず癖になるんですよね!
│銭湯界全体に迫りくる危機まで!? 今後の気になる展開は
まだまだ始まったばかりの『とりま、風呂いかね?』ですが、これからどんな物語が展開されていくのか楽しみです! 現在と未来、そしてまだ見ぬお風呂知識。読者としても非常に楽しみなのですが、今後の展開について今しゃべれる範囲でお伺いしてもよろしいでしょうか?
渡先生:銭湯を継ぎたくないといっている姫子の心情は、どう変わるのか。由布院と姫子の関係性は、どう変化していくのか。そして、由布院家の謎やタイムスリップの秘密。明馬湯だけじゃない! 銭湯界全体に迫りくる危機。今後の展開は盛りだくさん考えていますので、お楽しみください。
栗俣:最後に『とりま、風呂いかね?』読者、そしてイシイ渡先生のファンの皆様にメッセージをお願いいたします!! また、今後の作品展開で注目してほしい点があれば教えてください!!
イシイ渡先生:いつも読んでくださりありがとうございます。姫子と由布院、そして明馬湯のメンバーに迫りくる危機を、コメディ要素たっぷりで乗り越えていきますので、今後ともキャラクター応援よろしくおねがいいたします。
担当編集:『とりま、風呂いかね?』コミックス1巻は2月7日発売です!! 是非ご一読ください! 作品の最新情報が気になる方は是非イシイ渡さんのTwitter(@ishimo1121)へ!
栗俣:イシイ渡先生、今回はありがとうございました!
(文:仕掛け番長)
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【コンシェルジュ】仕掛け番長
栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』
Twitter(@maron_rikiya)