考察が止まらない! 今読んで欲しい恋愛ミステリー漫画!『ドミナント』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│物語の底が見えない。世界が鮮やかに彩られていく中に見え隠れする不協和音

中高一貫校に高校から進学した宇野せいかは、すでに出来ている人間関係に馴染めず疎外感を感じていた。そんなある日、彼女が帰りにふといつもは行かない学校の反対側を散策すると、静かで雰囲気のいい林の中のような場所にある一軒家にたどり着く。
その家の外におかれたテーブルと椅子で居眠りをしている男性に気づき声をかける彼女。
この出会いから物語はゆっくりと動き出していく。

自分の通う高校の卒業生という事から、この男性を先輩と呼ぶようになる宇野。
そんな偶然の出会いから、学校生活に疎外感を感じていた彼女は学校帰りに頻繁にこの家に来て、先輩からギターを習う事が習慣となっていく。

元々おっとりはしていて明るい性格の彼女がギターを楽しそうに弾いている姿は、なんだかとても楽しそうで先輩もそんな彼女と居るのが嬉しそうで、とても微笑ましい日々が過ぎていくのだが、しかしそんな心地よい時間の後に突然描かれる、先輩の家に夜来る宇野とは違うもう一人の女性と先輩との時間は、想像しがたい目を背けたくなるようなものだった…。

│読んでいる中で感じる違和感。恋愛? ミステリー? 考察が止まらない伏線の数々

全体的にとても柔らかい印象を受ける物語で、各話の間に描かれているおまけ漫画もとても面白く非常に明るい印象の作品なのだが、先輩が家に宇野を上げる時に「扉を開けたまま」にする事を強調したり、「防犯ブザーをいつでもならせるように」と注意をするなど不穏な描写が時々あったりする。
そして1巻最後の先輩の家に夜くる女性の行動……。

それらの伏線ともとれるシーンが垣間見えるたび、この後この物語にどんな展開が待ち受けているのかを考えずにはいられなくなるのだ。

この『ドミナント』のあらすじにはこの作品は「プラトニックラブサスペンス」と書かれている。

いったいどんな結末が待ち受けているのか。
気になった方はぜひ一度この作品を手に取ってみて欲しい。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

ドミナント

1巻発売中

著者:五十嵐純
出版社:KADOKAWA

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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