泣き虫でバツイチの闇深なヒロインの純粋な恋心!!『バツイチで泣き虫なおとなりさん』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│泣き虫で自分に自信が持てないバツイチの落合さん。彼女の視点で描かれた恋の物語

この作品は、バツイチで自分に自信が無くて泣き虫な落合さんと、そんな落合さんの隣に住む沢渡くんがたまたま隣同士に住んで、出会ってからを描いた物語だ。

自分の居場所、安心してそこに自分がいてもいいと思える場所を探している。
そんな女性目線の物語は最近読者に求められる傾向にあり、ヒット作が多数生まれ始めている。
本作『バツイチで泣き虫なおとなりさん』もそんな側面を持つラブコメ作品。

元旦那と別れ、引っ越してきた落合さん。
引っ越してきたばかりの彼女に対する沢渡くんからの印象は暗い人。夜になると、彼女のすすり泣く声が隣の沢渡くんの部屋まで聞こえて来たりしていた。

落合さんは元々の性格もあるかもだが、別れた旦那から自分の行動を攻められる事が多かったような描写が作中何度も描かれ、おそらくそれも原因の一つとなり自分の行動に自信が持てないでいる。自分自身を攻めてしまい暗い方に考えを持って行ってしまう、そんな思考をしている。また彼女にはその自信のなさからゆえの病んでいるくらい好きになってしまうと極端な行動を取ってしまう、いわゆるヤンデレのような節がみられる。

そしてこの作品の面白さは、それらの行動を取る彼女の行動の理由を彼女の目線で描いているところなのだ。

│闇深に想うかそれを純粋と思うか全ては相手次第

この作品を読んで、やはり人には相性があるなと改めて思った。
作中に「波長が合う」という言葉があるが、落合さんの行動は間違いなく沢渡くんのことを考えてのものだし、それをしっかりそうだと沢渡くんは認識出来ているがそれが落合さんの元旦那はそうは捉えられず、そのズレが二人の関係を壊していったのだと思う。

好みや趣味が合う、合わないではなく、例えば不安になることの自分の中での物差しが同じだったり、行動の原理が近かったりそういう事が一緒にいて幸せになる人を選ぶうえで大切なのだと落合さんを見ていると思えてくる。

ちなみに落合さんの視点で描かれているためそれが普通でカッコイイ行動に見えるが、沢渡くんもなかなか特殊な人間だと私は思うし、その辺がリアルに感じられるポイントがまた面白く感じる。

この作品自体も読む人によって感じ方が大きく変わる1冊だろう。
ぜひそれぞれから見たこの2人のラブストーリーを楽しんでもらえたらと思う。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

バツイチで泣き虫なおとなりさん

発売中

著者:十五夜
出版社:KADOKAWA

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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