ショッピングモールが女子高生3人を乗せ宇宙へ飛び出す!?『われわれは地球人だ!』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│ショッピングモール「パンゲア」宇宙に向け進めっ!!

12月25日OPENする巨大ショッピングモール「パンゲア」。
OPEN前日の24日の夜、様々な理由からそのショッピングモールに3人の女子高生が忍び込んだ。
このショッピングモールを作った会社の社長の娘である飛野火乃子、サブカル臭漂いまくりな奈々鉢弓、両親の不仲に悩んでいる春畑未々美。
そんな3人を乗せたまま突然ショッピングモール「パンゲア」はすさまじい爆音とともに離陸し宇宙へと飛び出してしまったのだ。突然のトンデモ展開に戸惑う3人。

しかも館内を見回ると宇宙に飛び立ったのは確かなのに電機も水道も使えるし食料もどうやら補充され続けるという謎現象がこのショッピングモールには起きている。

さらに色々なお店が入っているショッピングモールなので娯楽もたっぷりあり、寝床も確保でき生活をする事には困らない状況であることが判明する。
奇妙に思いながらも持ち前の性格で3人はそれなりにこの状況を受け入れていく。
3人を乗せそのまま宇宙を進む「パンゲア」
そしてついにとある星に到着する事になるのだが……。

│ドラえもんにあったワクワクやドキドキがこの作品には現代味を添えて詰まってる!!

ショッピングモールが宇宙に飛び出すというトンデモ展開から始まる『われわれは地球人だ!』には、漫画好きが長年愛してきた漫画ならではのSFの楽しさが詰まっている。

それは宇宙に対してのロマンだったり、こんなことがあったらいいなというストレートな想いだったり。ドラえもんやキテレツ大百科を読みながらワクワクしたあの頃の気持ちがそのまま現代に再現されたのがこの作品なのだ。
そして私が好きなそれらの作品にあるどこか現実に対しての皮肉がきいていてハッとさせられる感じも、もちろんこの作品はしっかり与えてくれる。

例えば初めて「パンゲア」が着陸した星は、言葉が兵器になってしまい言葉を捨ててしまった宇宙人が暮らしているのだが、さらっと描かれたこのエピソードには深く考えさせられることも多かった。
そして作中で答えは出されていないが、3人の女子高生とショッピングモールとの出会いがこの星をどんな風に変えていくのか。思わず想像を巡らせたくなってしまう。

今でも、藤子不二雄や手塚治虫作品を本棚から引っ張り出し繰り返し読むという人は多いのではないだろうか。
それはストーリーとして完結していても作品として、そして読者にとっての物語としては完結をしないという漫画そのものの作りによるものではないだろうか。

100%答えを出さない。想像し自分で考える楽しさが昔の漫画には多かったように思う。
そんな漫画を好きな方にこそ『われわれが地球人だ!』を強くおススメしたい。

きっと満足いただけるだろう。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

われわれは地球人だ!

1巻まで発売、レンタル中

著者:高橋聖一
出版社:双葉社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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