度々SNSで話題に!! 世にも奇妙な1話完結型の人体×ホラー漫画!『フランケン・ふらん』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│見た目的なグロさもさることながら欲に対して皮肉がきいた、人間の醜さを浮き彫りにするような1話完結型漫画

芋虫になった女の子の漫画というと「アッ!」と思い浮かぶ人は多いかもしれない。
今回紹介する『フランケン・ふらん』は度々SNSなどで話題になっている作品だ。
天才的な外科的技術を持つ斑木博士の弟子のようであり、娘のような存在である博士の最高傑作「ふらん」。欲に溺れた人間たちの願いをふらんが天才的な医療技術で叶えていくというのが作品の中心にある物語だ。
本作は基本1話完結。見た目的なグロさというものも非常に強い要素として存在するが、それ以上に人間の欲に対しての皮肉がきいた話が多く、人間の醜さについて描かれているのが作品のポイントになっている。

先ほどSNSなどで度々紹介される作品と書いたが、その時によく紹介されている”芋虫になった女の子の話”は1巻収録のEp.2の内容となる。
とても可愛い女子高生が、好みでないクラスメイトの男子から告白され、冷たく振った直後にひき逃げに遭う。彼女に死んでほしくない男子は、必死にふらんに彼女を救って欲しと懇願する。

しかし車との衝突の激しい衝撃で、とてもではないが助かる見込みはない。
そこで彼女を助けるためにふらんが手術を行う。その結果が体を芋虫にするという何とも奇怪な方法だった。
可愛い少女の顔にリアルに描かれた芋虫の体が付いているというシーンは非常に衝撃的で、このシーンがフックとしてSNSで紹介される事になっているのだが、実はこのシーンはまだこの物語の序盤で、この後芋虫になった彼女を必死に介護し、それでも愛し続ける彼の姿が描かれていく。芋虫はやがてさなぎになり変体する。ふらんは彼女をしっかりと元の体に戻すために芋虫の体に手術していたのだ。
しかし感動のラストを迎えるのかと思いきや…昆虫は何のために変態するのか?
まさにそのあと『フランケン・ふらん』らしい結末へと進んでいく。

│毎話そのアイデアだけで小説1本書けるのに、と本気で思ってしまうような物語を展開する『フランケン・ふらん』

一番有名な1話という事でこの話を紹介させていただいたが、実は私が一番好きな話は7巻収録のEp.47の“ゾンビの話”だ。
この話はゾンビをテーマに描かれていつつ、パニックモノ好きの心理を上手く皮肉った話となっており、いっぽう側からのものの見方をする事がどれほど怖い事なのか。
そして正義という心理の根本にある稚拙さをこれでもかと見せつけるような最期を迎え、非常に面白いお話になっている。

『フランケン・ふらん』は8巻、そして続編の『フランケン・ふらんFrantic』が5巻まで現在発売中だ。「毎話そのアイデアだけで小説1本書けるのに」と本気で思ってしまうような物語を展開する、非常に濃厚な作品。あなたもこのコミックスを読んで、お気に入りの「1話」をぜひ探してみて欲しい。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

フランケン・ふらん

1巻発売中

著者:木々津克久
出版社:秋田書店

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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