最新話更新のたびトレンド入り! 超話題作『タコピーの原罪』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│まるで『ドラえもん』などを思わせるような、小学生と不思議な道具を使う不思議な存在との出会いから始まる物語は、その小学生しずかちゃんの自殺という衝撃の展開を見せる。

小学生の女の子「しずかちゃん」が空き地の土管に隠れていたタコみたいな見た目の生物と出会う。それは宇宙にハッピーを広めるために旅をしていたハッピー星人だった。
名前は「んうえいぬkf」
しかし、しずかちゃんは言いにくい名前なのでその見た目から「タコピー」と名付けた。
タコピーは不思議な道具「ハッピー道具」の数々が使えるのだ。

しずかちゃんは小学校四年生。学校では酷い虐めにあっていて、パパはいない。家には大きな犬チャッピーを飼っており、しずかちゃんはチャッピーが大好きでチャッピーだけがココロのよりどころになっている。そんなある日、エスカレートする虐めからチャッピーはいなくなってしまう。そしてしずかちゃんは首をつって自殺してしまう。

その光景にショックを受けるタコピーは、不思議な道具「タイムカメラ」を使う。
このカメラに保存できる写真は1枚だけ。
でもその写真を撮った瞬間に戻ることが出来るのだ。
タコピーはしずかちゃんが死ぬ前に時間を戻す、そして何故しずかちゃんは死なななければならなかったのかを知るために彼女と一緒に学校へ行くことにする。
しずかちゃんに明日こそ笑ってもらえるようにーと。

そして学校に行ったタコピーはしずかちゃんの虐めグループの中心にいる「まりなちゃん」と出会うのだ。

ここまでが物語の導入部分となる。
まるで『ドラえもん』などを思わせるような、小学生と不思議な道具を使う不思議な存在との出会いから始まる物語は、その小学生しずかちゃんの自殺という衝撃の展開を見せる。

│次の展開が予想しやすい設定をベースに置きながら次の展開が全く予想できないという、いい意味で読者を裏切り続ける衝撃の展開。そして数多く潜ませてある考察要素と伏線の数々。

この作品は、連載開始後瞬く間に新しい話が更新されるたび必ずと言っていい程トレンドになるほどの人気作になっていった。
このタコピーの物語は、ここからさらに深みを一層増していくような展開へと足を踏み入れていく。「しずかちゃん」という存在そのもの。
しずかちゃんを虐める「まりなちゃん」という少女を形成しているもの。彼女自身、そして彼女の母親や父親。そして「タコピー」を取り巻く真実。

次の展開が予想しやすい設定をベースに置きながら次の展開が全く予想できないという、いい意味で読者を裏切り続ける衝撃の展開。
そして数多く潜ませてある考察要素と伏線の数々。

リアルタイムの連載で読む漫画の楽しさを再確認させられているかのような面白さが、この作品には詰まっているのだ。
またこの『タコピーの原罪』のコミックスは1巻ではなく上巻として発売されている。

長編ではなく短編であり、完結までの流れがすでに決まっている事を嫌でも認識させられ、もうすぐ毎週タコピーの続きが読めなくなる寂しさを今からすでに感じていたりする読者も少なくないだろう。
いったいどんな結末が用意されているのか。
上巻を繰り返し読み作品を深く理解しながら終わる寂しさと共に完結を待ちたいと思う。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

タコピーの原罪

上巻発売中、下巻2022年4月4日発売

著者:タイザン5
出版社:集英社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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