現代に猟奇殺人者達が蘇る。衝撃のリアルホラー開幕!!『シリアルキラーランド』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│10年間母親の首を持ち去った犯人への消えない想い。少年と母親を襲った猟奇殺人者の魔の手…

10年前。家のインターホンが鳴った。
母親から「お父さんかも」と伝えられ幼い子供であった「想」が急ぎドアを開けたその瞬間、彼は背中を突然刃物で刺され思わず玄関に倒れ込んだ。
倒れながら痛みをこらえつつ彼は母親を呼ぼうとするが、そんな時彼の目の前に転がってきたのはさっきまで一緒にいたはずの母親の生首だった。

この10年前に起きた猟奇殺人事件から奇跡的に生還した想。
犯人はこの10年逮捕されておらず、また犯人が持ち帰った母親の首も同様に未だ見つかっていない。
彼は犯人を知るため、猟奇殺人者を主人公とした小説を書く毎日を過ごしていた。
人は理解できないものに恐怖をする。だからあの事件を克服するためには猟奇殺人者を知る事が必要、そう考えた彼はその方法として小説を書く事を選んだのだ。

そんな日々を過ごす想にある日真っ黒な封筒が届く。
そこには何か意味深なメッセージが書かれていたのだが、犯罪被害者という立場からこういったことはよくあるため、気にもとめなかった想。

しかしこの手紙がきっかけとなり、彼の人生は一変していく事になる。
それはこの手紙のせいなのか、それとも彼自身が遅かれ早かれそうなっていたのか…誰も今まで見たことがない猟奇殺人者たちの殺し合いが幕を開けるのだ。

│説得力のある漫画表現により実現した猟奇殺人者の本当の怖さを伝えるシーンの数々!

黒い封筒の手紙を受け取ったものは、過去の猟奇殺人者たちに精神を乗っ取られ猟奇殺人に手を染めていく。そんな中でジャック・ザ・リッパ―の手紙の対象となりながら精神を乗っ取られる事なく「襟峰想」でいる想。そんな彼が、自分の母親を殺したものへの復讐をなんとしてでも行おうとする物語が、この『シリアルキラーランド』だ。

その設定や思わずゾッとしてしまうほどのリアルな描写、スリリングな猟奇殺人者同士の対峙するシーンなど読みどころが非常に多く面白い作品なのだが、特に私が心を惹かれたのは2巻目の後半だ。

主人公である想と「転生した悪党」の一人であるチャーリーと名乗る僧侶との会話のシーン。チャーリーは想の反応や会話から他のものでは見抜けなかった、想自身がジャックに乗っ取られていない事実に気が付く。
彼は想に、なぜ彼は他の現代人とは違い乗っ取られる事が無かったのかを話始める。

ひとつひとつ彼の心を捉え開いていくようにゆっくりと…

言葉巧みに人を操るタイプのキャラクターが登場する漫画は多数存在する。
しかしそこに表現的なリアリティを感じる事はなく、そういう人物だという設定が事前にあるからそうだと読者が認識できるというものがほとんどの作品のパターンだろう。

しかし『シリアルキラーランド』のこのシーンは、ここだけ読んだ100人が100人このチャーリーと名乗る僧侶を前情報など無くても人を操る才能を持った凄い人物だと感じてしまう。それは目の動き、表情の作り方、裏で何を考えその結果どんな言葉を選んでいるか。
人を洗脳するタイプのシリアルキラーの怖さがこのシーンには考えられないほど込められている。そしてその結果…。

ぜひこのシーン、実際にコミックスで読みその凄さを味わって欲しい。
『シリアルキラーランド』は現在2巻まで発売中だ。
ぜひ気になった方はお手に取っていただけたらと思う。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

シリアルキラーランド

2巻までレンタル・発売中

著者:小池ノクト
出版社:秋田書店

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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