初恋の彼女の死と本当の彼女を知る恋愛ミステリー『青年少女よ、春を貪れ。』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】 Tweet │淡い恋の物語とその裏側に隠れている悲しい少女の物語 好きとは何かを悩む、まだ恋を知らない中学生、勝之。田舎に住む彼の通う学校に東京から転校してきた美少女、百々瀬ハル。ハルの母親は、子供との関係を描いたエッセイ漫画を大ヒットさせた漫画家で、その作品の中で自由奔放に描かれていた娘がハルであり、また自身もインスタグラマーとして活躍するまさに特別な存在の彼女。ふとしたきっかけから仲良くなった勝之とハル。そんなとある日、下校中に突然男性がハルを呼び止める。中学生の二人よりかなり年上に見える彼は、ハルに何故ラインの返事をしてくれないのかと異常な形相で迫る。間に入りハルを守る勝之。その場から離れ少し落ち着いたところで事情を聞くと、さっき現れた大人の男はハルの元カレだというのだ。高校生に大学生、学校の先生、一番上は40代の男性まで色々な人と付き合ってきたと、まるで勝之の知るハルとは別人のような顔で話し始める彼女。そんな彼女に「嫌だ」と一言伝えてしまう勝之。それから数日が経ち、勝之はハルを雪の降る屋上に呼び出し先日のハルへの言葉を謝罪する。友達が色々な人と付き合ってても何とも思わない。なのにハルに対しては嫌と思ってしまった。それは自分の問題なのに、ハルにあんな言葉を言ってしまって本当にごめんと真剣に伝える勝之。それはハルにとって一番嬉しい告白。その告白から2人は唐突に付き合う事になる。それはハルが亡くなる3週間前の出来事だった。 │これは初恋を過去に出来ない一人の男が、その初恋の彼女の死と本当の彼女を知る恋愛ミステリー作品なのだ 物語の舞台はそれから10年後、社会人となった勝之にハルの命日の前日に突然「ハル」から着信が入るところから始まる。これは初恋を過去に出来ない一人の男が、その初恋の彼女の死と本当の彼女を知る恋愛ミステリー作品なのだ。SF要素はなくリアルな表現で物語は描かれていく。ハルは当時どのような状況だったのか、何故ハル自身を描いているはずの母親のエッセイ漫画に出て来るハルはここまで実際のハルと違う人物に見えるのか、など死んだ理由以外の謎も多くあり、その全てが気になり読む手を止めることが出来なくなる。最後に待ち受ける真実は一体どんなものなのか。その答えは作品を実際読み、ぜひあなた自身の目で確かめて欲しい。 (文:仕掛け番長) │仕掛け番長のおすすめ本 青年少女よ、春を貪れ。 4巻まで発売・レンタル中 著者:山田シロ彦出版社:集英社 商品検索 商品検索 作品詳細 【コンシェルジュ】仕掛け番長 栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』 Twitter(@maron_rikiya)