叶う事が許されない片想い『また、片想う。』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│三角関係のドキドキのラブコメと思いきや…別れはいつだって突然に訪れる

幼なじみの関係を続けてきた三人、物語の主人公で女子高生の清瀬、そんな清瀬に小学生のころから毎日のように告白を続け、今ではそれが日常になっている男子高校生の野方くん、そしてそんな二人を見守っている男子高校生の元明。

いつも一緒に楽しい日常を過ごしていた幼なじみの時間は、清瀬が後輩から告白をされる事で少しずつ変わっていく。後輩からの告白を清瀬は断ったものの、その一件をきっかけに清瀬と野方くんはお互いを今まで以上に意識するようになり、二人は晴れて付き合うようになる。清瀬は幼なじみから恋人への関係の変化に戸惑いつつも、自分から手を繋ぐなど少しずつ想いをつのらせていく。

恋人という関係を意識して初々しい行動を見せる清瀬が可愛すぎて、想いがようやく形になった喜びが溢れている野方くんが幸せそうでもうたまらない、読んでいるこっちまで恥ずかしくなってしまうようなドキドキの初デート。
しかしその夜、野方くんの元に元明がやってきて実は自分も清瀬が好きだったという事を伝えるのだ。そして元明は清瀬に好きだと告げる。

元明からの告白を受けどうしたらいいかと悩む清瀬。
元明から告白されるシーンで清瀬がどこか嬉しそうにも見える事から、ここから清瀬を中心とした三角関係がこの後繰り広げられていくのかと思った矢先、物語は今までが全てプロローグでしかなかったことを告げるのだ。

翌日、野方くんが事故にあって亡くなった事が告げられる。
突然いなくなってしまった事で清瀬は今更ながら彼への自分の大きな想いに気が付く。

この作品は死んでしまった彼への、もうどうしようもない片想いの物語なのだ。

│叶う事が許されない片想いというのはなんでこんなにも人の心を掴むのだろうか

物語はここから大きく動き出すのだが、ここまででも充分興味を持っていただけると思うので、あえてこれ以上の紹介は避けたいと思う。
色々な形の片想いがこの作品には描かれているが、叶う事が許されない片想いというのはなんでこんなにも人の心を掴むのだろうか。

死に別れだけでなく、叶うと誰か大切な人を不幸にしてしまう想いや、自分も含めた大事な関係を壊してしまう想いなど誰しも少しはその想いを持った経験があるからなのかもしれない。

もし気になったらぜひお手に取って欲しい。
全3巻で読みやすくオススメの作品だ。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

また、片想う。

全3巻発売・レンタル中

著者:タチバナロク
出版:KADOKAWA

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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