夢中になる事間違いなし!予測のつかない異能×異形バトルの連続『六道闘争紀』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】
│異形なのにむちゃくちゃ綺麗でカッコイイ夢中になって読んでしまう王道バトル漫画！
この作品は「王道」×「異能」×「異形」バトル漫画。
一言で言うならば主軸にあるストーリーは王道の中の王道で、少年漫画好きならば誰もが求める熱い物語だ。しかしこの作品はなんていうか非常に特殊なのだ。
その部分はもう二つの要素「異能」と「異形」によるものだ。特に「異形」はこの作品独特の魅力として非常に大きい。
登場人物たちの姿形はもちろん、見せ方などもかなり工夫されており、それが大迫力と何とも言えない味となり一度読み始めると没入感を煽り読むことを止められなくなる。
また異形なのにむちゃくちゃ綺麗でカッコイイと思わせてくれる事も忘れてはいけない『六道闘争紀』のポイントだ。
作品の舞台は環境汚染や戦争で地表に住めなくなった世界。
そんな世界を生き延びた人類は地下で暮らすようになった。そうなってから何百年後かを舞台にそんな地下で行われている「六道トーナメント」という殺し合いありきのバトルトーナメントを描いたのがこの作品『六道闘争紀』だ。
六道トーナメントで戦うのは普通の人間ではない。機会を体に埋め込んで人体を変形させる手術を受けた者たちが異形の姿で戦うのだ。
この世界ではこのトーナメントが唯一の娯楽でありそこで優勝したものは巨額の富と絶対的な地位を約束される。
物語の主人公「縁」はそんな世界で生きるスラムの少年。
彼はゴミ山でトーナメントに敗れ捨てられた者たちの死体からその部品を剥ぎ取り売り食つないでいる、この世界で底辺のような生活をしている縁が六道トーナメント現チャンピオン「弥勒」との偶然の出会いをきっかけに、このトーナメントに挑みチャンピオンになる事を目指していく。
│裏切りや絶望的な困難はもはや日常茶飯事でいわゆる「俺ツエーもの」とは真逆にいる主人公「縁」
縁の行く道はいつも困難が多く決して楽な道は用意されていない。
裏切りや絶望的な困難はもはや日常茶飯事でいわゆる「俺ツエーもの」とは真逆にいる主人公だ。そしてそんな困難の中で彼が取る行動は、キラキラしたいわゆる主人公的なものではなく、人間らしく泥臭い部分も多く含まれている。
しかしその絶望の中でも生きることを諦めず、前を向き続ける彼の姿は読む者に勇気を与えてくれる。戦いの中で何度もピンチになりながらも勝利を得ていた昔読んでいた少年漫画の主人公たちのようにその姿には熱いものを感じずにはいられない。
これから縁にどんな未来が待っているのか。
不安と期待を旨にこの作品を楽しんでいきたいと思っている。
（文：仕掛け番長）
│仕掛け番長のおすすめ本
六道闘争紀
著者：小田世里奈
出版：講談社
【コンシェルジュ】仕掛け番長
栗俣力也（くりまた・りきや）。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』