世の中から切り離されてしまった生き方が不器用な二人の物語『雪と墨』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│登場人物達の生き方に感動が止まらなくなる!! 50人を殺した大罪人と家督争いに負けた令嬢の物語

田舎の村で50人を殺した罪で市中引き回しに水攻め火あぶりその後斬首、首は海に捨てられることになっている罪人ネネオ。
そんな彼を莫大な金額で買い取ったご令嬢フレイヤ。

彼女はビジネスで失敗し家督争いに負け北方の僻地へ引っ越す事になっていた。
彼女の家は影響力のある大財閥。彼女の失敗により景気が悪くなり職を失ったものから恨まれ、ひどい仕打ちも受ける事がある彼女は引っ越しへの荷物持ちと護衛としてネネオを買い取ったのだった。

笑わない能面の様な表情のフレイヤ、そして悪態を付き粗暴な態度をとるネネオ。
世の中に居場所がないような二人はこの度でお互い本当の相手を知っていく事になるのだが…。

漫画好きの間で話題になっている『雪と墨』
その繊細な人物描写と漫画表現の融合でみせる物語に私も心を奪われ夢中になって1巻を読んだ。
お互いの事を知っていく中でお互いに誰よりも大切な存在となっていく二人。
そして50人殺しの真実とそれによりネネロが心に抱えている重いもの。

フレイヤの婚約者であり自他ともに認める変人ハルバードも加わり物語は想像もつかない展開へと進んでいきます。

1巻としてはもちろん、1話1話を読み終えたときに心に残る感情がとても多く、時には暖かく、そし寂しい気持ちにさせられるこの『墨と雪』
気になった方はぜひお手に取っていただきたい傑作コミックスです。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

雪と墨

1巻まで発売中

著者:うの花みゆき
出版社:講談社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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