最初の1ページ目からいきなりクライマックス。
長い旅の末たどり着いた、魔王との死闘のシーンから始まるこの作品。

チェスのコマを模った小さな戦士たちを使役して戦う大賢者は、勇者や聖女たちパーティの仲間たちと共に強大な力の魔王に立ち向かって行く。
しかし、大賢者の頭の中は魔王の事よりも自分以外のパーティメンバーが「デキている」事への怒りで頭がいっぱいだった。
勇者は聖女と、聖騎士は大魔導士と…。
大賢者は強力なコマ、クイーンを呼び出し魔王にトドメの一撃を放つ。

彼はひとりでも魔王を倒せてしまうほど、強くなるために沢山修行した。
人里はなれた山奥で神の力を持つと言われる師匠の元で死ぬような努力をした。
こんな魔族との戦争の中、強くなればいい女性に出会えて幸せになれると思ったから彼は頑張ってここまで強くなったのに、5人の仲間の中で自分だけが一人ぼっち…。

魔王を倒し振り返ると、そこには抱き合い喜ぶ二組のカップルが…。
そんな時、魔王を倒したことで異世界への扉が大賢者の前に現れる。
実は彼は19年前にこの異世界に飛ばされてきた少年だったのだ。
大賢者はそそくさと元の世界に帰ろうとするが、しかしそこでまさかの「実はあなたが好きでした」という聖女と大魔導士の告白が彼に訪れる！
19年間そんな浮いた話がなかった彼。
ワンチャンあるのか!? とこの世界に戻ろうとする彼を、勇者と聖騎士は必死に異世界への扉に押し込む…。そして大賢者が去った後には彼の服だけが残されていた。

時は現代。
ゴミ捨て場にすっぽんぽんで倒れる大賢者。
しかもこの世界が元の自分の世界である事はわかるのに、なぜかこの世界にいた頃の記憶がなにひとつない。
そんな彼の前に一人の女性が現れる。その瞬間、彼の彼女に関する記憶がよみがえる。
「かなこちゃん」
彼女は彼が19年前に異世界に行った時の幼馴染。
彼は異世界に行った時の15歳の姿。そして彼女は34歳になっていた…。

│なぜこちらの世界にいたときの記憶がないのか？ 気になるポイントが多いのに可愛すぎるヒロイン達と津波の様に押し寄せるバトル展開に目が離せなさすぎる!!!

『異世界帰りの大賢者様はそれでもこっそり暮らしているつもりです』は、19年間異世界で恋人ができなかった大賢者と、とある宿命を背負った彼の幼馴染・加奈子、そして二人を取り巻く仲間たちの超ドタバタファンタジーラブコメアクション漫画なのだ！

この作品、とにかく楽しめる要素が多い。
まず異世界物と現代ファンタジーの両軸に、日本の妖怪などの和風テイストを加えたかなり濃いメインストーリー。
そしてヒロインは歳もタイプもキャラも非常に幅広く、例えば加奈子の娘の麻也は登場時ですらケモミミ、刀、女子高生、シッポ、魔力…。と要素が多いのに、その後もさらに物語が進むごとに要素を加えヒロイン属性強化がされまくっていく。
3話で大賢者と麻也を襲った黒髪巫女服の某ヒロイン？ に関してはの後に訪れるギャップ展開にやられてしまうラブコメ好きも多いのではないだろうか？

そしてそんなに濃いメインストーリーと濃いヒロイン多数登場なのにも関わらず漫画としてのまとまりはピカイチで、熱くなり笑え夢中になれる作品になっているのだ!!

ちなみにかなり考察要素も多く、伏線もしっかり貼られたストーリーとなっている事もポイントが高い。

絵もかなり綺麗で、もはやオススメ出来ないポイントが見つからないほどのこの『異世界帰りの大賢者様はそれでもこっそり暮らしているつもりです』
「異世界転生もの」というジャンルが苦手という人にこそ読んで欲しいこの作品。
気になった方はぜひ一度手に取ってみて欲しい！

（文：仕掛け番長）

│仕掛け番長のおすすめ本

 

異世界帰りの大賢者様はそれでもこっそり暮らしているつもりです

3巻までレンタル、発売中

原作：木野二九
漫画：岡崎純平
キャラクター原案：日下コウ
出版社：講談社

商品検索

商品検索

作品詳細

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也（くりまた・りきや）。TSUTAYA IPプロデュースユニット　企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter（@maron_rikiya）