26人の作家が同じ1行から紡ぐ全く違うどんでん返し。『黒猫を飼い始めた』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│26作全て最初の1行は「黒猫を飼い始めた」
 しかしそこから紡がれるのは驚きだったり感動だったり涙だったり…。

これは本当に凄い本だと思う。
『黒猫を飼い始めた』は、会員制の読書クラブMRC(Mephisto Readers Club)で連載された、26人の作家が全く同じ1行から書き始めるショートショートを1冊にまとめたものだ。

1本のお話は5分ほどもあれば読めてしまう6~7Pほどのものなのだが、26本どの作品もその作家さんらしさを感じさせつつ、全く予測も出来ないような展開が書かれていく。

例えば青崎有吾先生の『飽くまで』は2行目でその1行目を利用し、主人公となる男性の“自分にとって大事なものを失うという喪失感を感じる事に快感を得る”という異常な性格を見事に表し、その後その快楽の中毒なっていき、失う行為のエスカレートしていき……というまさにどんでん返しを見事に体現したような作品になっているし、潮谷験先生の『妻の黒猫』は、飼わなければいけなくなった理由が物語の思いもよらない結末にリンクし、最後のどんでん返しまで「黒猫を飼い始めた」という1行がカギになっておりゾクッとさせられる。

参加作家もさすがMRCというべき豪華でバラエティに富んだ方々で、驚く事に26作品そのすべてにおいてまったくもって似通っている読み味のものがないのだからたまらない。

個人的にはミステリー色の強い作品に興味をそそられたが、そんな「驚き」だけではなく恋愛や感動、中にはたった5分で思わず涙を流してしまう様な作品もあった。

同じ「黒猫を飼い始めた」という人生の分岐点から、それぞれの登場人物たちはどのような物語を経験する事になり、そしてどんな結末を迎えるのか。

読書が苦手、本を1冊読み終えたことがない。
そんな方も本を読む楽しさを味わえるであろうオススメの1作。
気になった方はぜひお手に取ってもらえたらと思う。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

黒猫を飼い始めた

発売中

出版社:講談社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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