正体不明のSNSで大人気の少女が始める残酷な鬼『舞璃花の鬼ごっこ』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

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 今の時代だからこそ読むべきミステリー小説。

SNSなどネット上の存在、例えばYouTuberや歌い手などに想いを向けている人は多いのではないだろうか?
アイドルなども同じだが「外向けに見せているキャラクターとしてのその人」を信じ、その存在を好きになるという経験がないという人の方が少ないのではないだろうか?
当たり前の事ではあるが、そんな人の大半はその人が普段はどんな人でいつもどんなことを思って行動しているか、またその人の過去などのバックグラウンドは知らないでいる。

『舞璃花の鬼ごっこ』はそんなSNS上のアイドル的、わかりやすくイメージするならVTuberの様な存在である舞璃花と、彼女のファンである引きこもりがちな4人が起こしたとある事件について書かれた小説だ。

舞璃花の巧みな誘導により一人の人間を精神的に追い詰めていく4人。
その行動の裏にある舞璃花という存在の真実と真相。

今の時代だからこそのリアルに感じずにはいられない結末には、思わずゾッとしてしまう事だろう。

著者である真下みこと先生は心理描写が非常に上手い作家さんで、彼女の書く作品はまるで登場人物と感情がシンクロしてしまうような没入感を与えてくれる。
この『舞璃花の鬼ごっこ』は複数人の目線から物語が書かれていくのだが、その登場人物すべてに対して高いレベルで感情移入させられてしまい、その中で迎える結末は……私にとっても、もはや言葉にするのも難しいほどの衝撃だった。

真下みこと先生の代表作と言えば第61回メフィスト賞を受賞した『#柚莉愛とかくれんぼ』だろう。
その作品との関連性を感じずにはいられないタイトルが付けられた本作『舞璃花の鬼ごっこ』。
気になった方はぜひ一度読んでいただきたいと思う。

最後に「鬼ごっこ」ーこのタイトルの意味にも注目して読むと、よりこの作品を楽しめるという事を付け加えておきたい…。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

舞璃花の鬼ごっこ

発売中

著者:真下みこと
出版社:TOブックス

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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