恐ろしいほどの美しさと怖さを持つ「涙子」の真実とは?『涙子さまの言う通り』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】 Tweet │昭和初期を舞台とした異様な雰囲気をもつ山本ルンルン最新作 橋のたもとで体中噛み跡だらけ、かた目がえぐられた身元不明の少女の水死体が発見される。彼女が首に下げていた身なりにそぐわない紋章の入った貴金属。その紋章からとある新興宗教の教祖、犬養涙子が怪しいと少し風変わりな警部補、沢渡は目をつけるが…。山本ルンルン先生の新作『涙子さまの言う通り』は昭和初期を舞台とし、異様な雰囲気を漂わせるホラーミステリー作品だ。水死体を見て「絵画みたい」というなんとも沢渡警部補らしいセリフから幕を開ける第1話。犬養家に女中として引き取られた少女、摩利伊。孤児だった彼女は犬養涙子というお嬢様に使える日々の中で、その涙子が教祖である「慈愛の涙」という新興宗教、そして涙子自身のゾッとするような恐ろしい一面を少しずつ知ってくことになる。そして最後には彼女も…。この摩利伊の物語は、好奇心を煽られその先にある怖さに心を掴まれてしまう、たとえるならば昔のホラー少女漫画の様な魅力が詰まっている、とても完成度の高い1話となっている。しかし、このお話は涙子の慈愛の涙の教祖としてのおぞましい物語の序章にすぎない。涙子に関わってしまった色々な人物、沢渡警部補、時には涙子本人など多数の目線から描かれていく新興宗教「慈愛の涙」の正体。そして身の毛がよだつほどの怖さと美しさをもった涙子の謎。今じわじわと口コミで話題になっている本作。読んで欲しいオススメの1作だ。 (文:仕掛け番長) │仕掛け番長のおすすめ本 涙子さまの言う通り 1巻発売中 著者:山本ルンルン出版社:KADOKAWA 商品検索 商品検索 作品詳細 【コンシェルジュ】仕掛け番長 栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』 Twitter(@maron_rikiya)