ゴリラが主人公!? 感情移入しすぎて何度も目頭が熱くなる!!『ゴリラ裁判の日』【TSUTAYAの名物企画人“仕掛け番長”のススメ】

│第64回メフィスト賞受賞作! 発売直後から大きな話題になっている本作の魅力とは?

この本を読み始めて1分もたたずに、私は驚くと共にこの作品に非常に強い興味を持つことになった。自分の過去を女性が語っていく冒頭。
段々と感じる違和感。そしてその違和感の正体はすぐに明かされることになる。

この語り手はなんとゴリラなのだ。

『ゴリラ裁判の日』は、手話で人間とコミュニケーションが取れるゴリラのローズが大切な夫を銃殺されるという悲しい事件にあい、動物園を相手に裁判を起こすという物語。

私はゴリラが出てくる小説やゴリラを中心とした物語は読んだことがあっても、ゴリラ自身の目線で、一人称がゴリラである作品は今まで読んだことが今までなかった。
もしかしたら人間が主人公ではない小説を自然と避けていたのかもしれない。
なぜか。
それは「主人公が人間でないと感情移入できないのでは?」という思いからだろう。

しかし、この作品を読み始めすぐにそれが杞憂だったことに気が付かされる。
むしろゴリラが主人公である事で逆にそう思っている読者こそ、この小説の凄さや面白さを感じてしまう様な物語だったのだ。

この小説を読み考えさせられるのは、そういった自分の属する何かとそれ以外の差別やそれを否定してしまう心とは何か、そして大きな意味での「人」とは何か。
ローズの心境や置かれた状況をゴリラである彼女に圧倒的な没入感で感情移入しながら追体験する事で、それらについて本気で考えさせられるのだ。

この作品を読んでいる途中に目頭が熱くなり唇をかむことが何回もあった。
私と同じように、自分自身の経験とローズの気持ちが重なり心が熱くなるなんて方も少なくないのではないだろうか?

ここまで多くの感情を揺さぶられる作品、めったに出会えるものではない…。

第64回メフィスト賞を受賞し発売直後から話題になっている本作。

気になっている方はぜひ一度読んでみて欲しい。
この『ゴリラ裁判の日』は間違いなくあなたにとってもかけがえのない体験を与えてくれるはずだから。

(文:仕掛け番長)

│仕掛け番長のおすすめ本

 

ゴリラ裁判の日

発売中

著者:須藤古都離
出版社:講談社

“仕掛け番長”栗俣力也

【コンシェルジュ】仕掛け番長

栗俣力也(くりまた・りきや)。TSUTAYA IPプロデュースユニット 企画プロデューサー。
TSUTAYA文庫、コミック、アニメグッズの企画を担当。10年以上のキャリア持つ書店員でリアル店舗からヒット作を次々と生み出す事から仕掛け番長と呼ばれる。人生のバイブルは『鮫島、最後の十五日』

Twitter(@maron_rikiya)

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