名作映画『羊たちの沈黙』では分からなかった、知られざる連続殺人犯の素顔…ドラマ『ハンニバル』

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│ハンニバル

<あらすじ>
ミネソタ州で女性ばかりを狙う連続殺人事件が発生。FBI捜査官のジャックは、FBIアカデミーの講師ウィルの能力に注目し、捜査への協力を依頼する。ウィルは殺人犯に共感し、頭の中で犯人の動機や感情を再現できる特殊な能力を持っていた。だが、その能力ゆえ彼の精神は不安定であり、ジャックは高名な精神科医であるハンニバル・レクター博士にウィルの精神鑑定を依頼する…。

│ハンニバル・レクターの原点

今までは映画作品のみをご紹介してきましたが、今回は初の試み!ドラマ作品をご紹介いたします!

その作品は『羊たちの沈黙』でお馴染みのハンニバル・レクターを主人公にしたドラマ『ハンニバル』です。

『羊たちの沈黙』では連続殺人事件の犯人捜査をしているFBI訓練生にアドバイスを与える元精神科医として登場した猟奇殺人犯ハンニバルが、今回のドラマではその精神科医をしていた時代に巻き戻った過去ストーリーとなっています。映画版のように拘束される前の、患者を自身の事務所に呼んで診察をする彼は何の問題もない民間人のように見えますが、ハンニバルを知っている人にはそう見えないですよね。笑

精神科医をする傍らで性別年齢問わず連続殺人を繰り返し、殺した人の臓器を持ち帰っては完璧な料理スキルでおしゃれなご飯を作って食べる毎日を過ごしていました。ここは映画版とも通じるところがありますね。

ドラマ版のストーリーはもちろんハンニバル・レクターがメインで登場するのですが、彼と張るメインキャラクターとして出てくるのがウィルというFBIアカデミーで講師を務める男性です。自閉症の一種で犯人の残した証拠から、事件現場を見るだけで犯行の手段やこの場所でどういうことが起こったのかということが分かる能力を活かしてFBIで講師をしている彼は、ある時FBIの行動分析課長のジャックに連続殺人事件の現場へ呼び出されました。

若い女性ばかりを狙う連続殺人犯の正体は誰なのか?FBIの捜査官たちに連れられながら現場に向かったウィルですが、複数の現場を見ることで精神状態が不安定になってしまいこのままでは捜査に協力するのは難しい状況になってしまいます。

そこで登場するのがハンニバル先生です!ウィルにこのまま捜査に協力してもらえれば連続殺人事件の犯人が分かりそう……!ジャックはウィルの能力を使い続けるためにハンニバルも事件現場に同行させてしまいます。隣にいる人が誰なのかも知らずに。

│肉と魚で対照的な2人

数多あるサイコスリラー作品の中でも上位の人気を誇る悪役のハンニバル。映画版を演じたアンソニー・ホプキンスはこの映画でアカデミー賞を受賞しました。「人を食べる」という意味のカニバルと韻を踏んだ名前の彼、その存在は殺人犯であり精神科医、そしてグルメな紳士という複雑なものです。この難しい役を映画で完璧に演じた彼に驚いたのを今でも覚えています。

映画版で初めてハンニバルが登場するシーン、極悪な殺人犯が集められた刑務所で他の受刑者は大声で脅したり、攻撃的な行動を取ったりしている中、1人だけスラリとただ立っているだけなのにめちゃくちゃ怖い存在なのが彼でした。『ワンピース』だったら覇王色の覇気を出しまくっているタイプのキャラですね。

そんな彼がまだ捕まる前の時代をドラマで演じるのが北欧の至宝ことマッツ・ミケルセンです。アンソニー・ホプキンス演じるハンニバルがこれだけ人気になった後に演じることにかなり懐疑的だったそうですが、引き受けてくれて本当にありがとうと思うほどこちらも完璧な悪役でした。

常にスーツをきっちり着て、完璧な料理テクニックで人肉をつかったシェフ顔負けの凝ったメニューを作り上げワインを片手にお客様のお相手をする。彼の出てくるシーンはどれも音がないようなピリッと締まった雰囲気で溢れていました。

そんなハンニバルと対になって活躍するのがヒュー・ダンシー演じるウィルです。彼は魚釣りが趣味であり、道端で野良犬を見つけると家に呼んで一緒に住むような優しい男です。まさに命を救う力を持った人、ハンニバルとは正反対ですね。2人のコンビは危うくも絶妙なバランスで事件を解決していきます。

『ハンニバル』で印象的だったのは役者さんも去ることながら、出てくる死体のリアルさが凄まじすぎて美術スタッフさんの能力に脱帽でした。毎話、猟奇的な殺人犯が出てくることから死体もただ切られたりしているだけではなくて組み立てられたりしているのでそれを作り上げる根性がすごい。1番は人間トーテムポールですね。これの迫力は他のものと一線を画していました。グロテスク表現が苦手ではない方にはぜひ、細部までみていただきたい造形です。

さらにはその犯行の非情さを引き立てる音楽もマッチしていました。ある事件の後にハンニバルがピアノを弾いて場面転換をするという演出が入るのですが、BGM挿入+ハンニバルの異常さの現れを一緒に表現している見事な切り替えで鳥肌が立つほどでした。

ストーリーの残虐さに演出も相まって、唯一無二のサイコホラードラマになっていました。シーズンは3まであり、1話45分ほどなので1日1話観るくらいでちょうどいい長さでしょうか。次々と展開するストーリーに最後まで釘付けになること間違いなしです! ぜひ鑑賞ください!


HANNIBAL / ハンニバル シーズン1(全6巻)

製作年:2013年
出演:マッツ・ミケルセン、ヒュー・ダンシー、カロリン・ダヴァーナス、ヘティエンヌ・パーク ほか

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【Editor】septmersfilms

三度の飯よりホラー好き。ホラーがないと夏が始まらないと思っている。たまにおしゃれ映画・アニメーションも嗜むが、基本的にゾンビ映画をみることで心を癒している。Twitterでは映画以外にも本業のマーケティング関連記事もつぶやきます! ぜひチェックしてください!

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