その歴史なんと約100年! ゾンビの進化をまとめて気づく、初期作品の魅力…映画『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』

│ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド

今よみがえる、すべての始まり。

<あらすじ>
父の墓参りの途中、バーバラと兄のジョニーは生ける屍(ゾンビ)に襲われる。兄を殺された恐怖と悲しみの中、バーバラは近くの民家に逃げ込む。民家には新たに黒人青年のベンが逃げ込み、地下室には若いカップルのトムとジュディ、クーパー夫妻と大怪我を負った娘が潜んでいた。外部との連絡も取れないまま、周囲はゾンビの群れに取り囲まれていた。ドアや窓を塞ぎゾンビの侵入を防いだうえで脱出の方策を探るベンに対し、救助が来るまで地下室に籠ることにこだわるハリーが対立する。ゾンビたちが人間を食い殺していることをテレビで知ったバーバラたちは、最寄りの避難所への脱出を試みるが、ガス欠のトラックに給油しようとした際に漏れたガソリンに引火してトラックは爆発炎上し、トムとジュディが焼死してしまう。
停電となり情報も得られなくなった中、ベンが玄関先で燃やしていた椅子も燃え尽きたことで牽制されていたゾンビたちが次々に押し寄せる。さらに塞がれていた窓は次々に破られ、状況は絶望的に悪化していく。

│ゾンビ映画の歴史とは?改めて調べると…面白い!

兼ねてからゾンビ映画が好き、と言ってきましたが、以前の『ドーン・オブ・ザ・デッド』の記事を書いているときにゾンビ映画の変遷に触れてみて「ゾンビって奥が深い! 歴史をちゃんと知りたい!」と感じました。いろいろなゾンビの種類がいますが、どういう順番で生まれてきたのか…? 自分のためにまとめていこうと思います!(諸説ありますので一例として楽しんでいただければ幸いです!)

そもそもゾンビとは? という問いについてですが、リビングデッドとも呼ばれる通り、人間が一度死んでしまった後に何かの理由があって生き返ったもののことを指します。映画史への登場として一番古いものは、『恐怖城(ホワイト・ゾンビ)』と言われており、公開は1932年なのだとか! 今から100年近く前からゾンビキャラクターは映画に登場していたのですね! そして現在ではよく知られている「噛まれたら感染する」という要素を入れた、いわゆるゾンビジャンルとしての始まりが今回ご紹介する『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』だったのです。ジョージ・A・ロメロ監督が追加したスパイスは、それまでは襲われて殺されてしまう恐怖でしたが、そこに自分もゾンビになってしまうかも!? という新たな恐怖を入れたことは革命になったとも言えます。

父親のお墓参りのため片道3時間かけて車を運転する兄のジョニーと妹のバーバラ。思い出話をしながら、軽い口論もしながらの仲良し兄弟の2人はやっとのことでお墓についてお花を手向けます。話しているうちに「あそこにいるおじさんがお前に襲いかかってくるぞ〜」なんてお兄ちゃんが脅かします。しっかり者の妹は失礼な兄の態度を謝りに男性の元へ。すると本当に男性が襲いかかってくるではありませんか!
驚く妹を助けるために兄とその男性が取っ組み合いになり運悪く頭をぶつけて倒れてしまうジョニー…。後ろ髪を引かれつつも、身の安全のために兄を残して走って逃げるバーバラでした。その後、一軒の家を見つけてその中に逃げ隠れながら集まる人たちとこのゾンビの混乱の中を生き抜いていきます。ラストまで目が離せないこの作品こそ全てのゾンビジャンルの始まりと言われています。1968年公開の作品で「逃げる、隠れる、倒す」という基本的なゾンビ映画要素を満たしているのが驚きです。何年たっても色あせない作品はやはり基礎がしっかりしているのですね。

│ゾンビ映画の歴史は続く……

『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の公開後、70年代にはジョージ・A・ロメロ監督のゾンビシリーズ2作目の、その名も『ゾンビ』が公開されました。ゾンビが蔓延した世界で生き抜く姿を描いた作品としてその後『死霊のえじき』の3つ目まで続きます。この3つ目の作品が出た80年代にはサム・ライミ監督の『死霊のはらわた』も登場しています。最近では『スパイダーマン』や『ドクター・ストレンジ』などの作品が有名ですが、そんな監督のデビュー作はゾンビなのですね! 90年代になると、変わり種ゾンビがたくさん出てきて『ペットセメタリー 』のような動物がゾンビになっていたり、香港ではキョンシーが生まれたりしています。余談ですがゾンビといえばアメリカ! というイメージだったのですが、実はイタリアやドイツのような国でも制作されていてガラリと考え方が変わりました。ゾンビという呼び方もアフリカ地域での神様の呼び方が語源とも言われているようで、世界中でゾンビという存在は成長していったのですね。

2000年代になっていくと今でも大人気の『バイオハザード』の映画が公開されます。日本で生まれたゾンビゲームがこんなにビッグネームになっているのは日本人として嬉しいですね。その他にもイギリスゾンビといえば、な『ショーン・オブ・ザ・デッド』も00年代です。ロメロ監督の作品をオマージュしたこの作品はゾンビコメディというクスっと笑える魅力があふれています。ゾンビ作品一覧を見てみるとロメロ監督に倣っているのか○○・オブ・ザ・デッドという名前の作品が多いこと……! ゾンビジャンルを作り出した元祖の作品が愛されているのが分かります。その他にもこの年代ではスペインで制作された『REC』も私のお気に入りです。ゾンビ×POV(一人称視点撮影)という、今までの映画には新しい恐怖がここでも生まれていて進化が止まりません!

2010年代になると『バイオハザード』の続編が続きゾンビ知識が一般へ浸透していったことで、『ロンドンゾンビ紀行』のような作品も生まれます。この作品では登場人物がゾンビを倒す方法(頭を狙え、噛まれるな)をみんなが前提知識としてもっている状態になっていて「ゾンビ作品」の広がりを感じました。他にも『ワールド・ウォーZ』や韓国ゾンビといえば今や有名な『新感染』なども同時期に公開されています。どちらもゾンビのクオリティが高く、日常生活から一気にパニックになっていく様子がリアルすぎて何度も夢にみてしまいそうな完成度で、いつになってもたまに観返したくなるお気に入りです。ここまでくると従来のノロノロのゾンビというよりは走ったり道具を使ったり? という狂暴タイプのゾンビが増えてきて絶望感マシマシです。

日本制作のものでは2018年に『カメラを止めるな!』が社会現象になってゾンビが苦手な人にも広がっていきました。怖すぎる…という魅力もいいですが、ゾンビはコメディとも相性がいいのがニクいところですね、パニックなのにケラケラ笑えるブラックジョークがとてもツボです。日本の制作で本気ゾンビといえば『アイアムアヒーロー』が個人的には一番です。生きていたころの習性で動くゾンビもかわいいですが、身体能力が高すぎるゾンビにはゾワゾワが止まりませんでした。

ここまでまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。本当にたくさんの作品があって検索をしながら「観たいゾンビ映画リスト」へもたっぷり追加しました。これから2020年代はどんな作品が出てくるのでしょうか! 欧米だけではなく、最近はアジアホラーの質がぐんぐん上がっているのでゴリゴリのホラーも軽いコメディもたくさん生まれることを願って!これからもゾンビラブを伝えていければと思います。


ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド

製作年:1968年
監督:ジョージ・A.ロメロ
出演:ジュディス・オディア、デュアン・ジョーンズ、カール・ハードマン、キース・ウェイン ほか

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【Editor】septmersfilms

三度の飯よりホラー好き。ホラーがないと夏が始まらないと思っている。たまにおしゃれ映画・アニメーションも嗜むが、基本的にゾンビ映画をみることで心を癒している。Twitterでは映画以外にも本業のマーケティング関連記事もつぶやきます! ぜひチェックしてください!

Twitter(@septmersfilms)

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