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看護婦のアナは一日の仕事を終え、愛する夫ルイスが待つ自宅へ。彼らが幸せな朝を迎えたそのとき、寝室には隣家の少女ヴィヴィアンの姿があった。それが本物の悪夢の始まりだった…。ルイスがその異常さに気づく間もなく、ヴィヴィアンは人間離れしたスピードで彼に襲いかかる。そのまま息絶えたルイスだったが、次の瞬間に息を吹き返す。そしてこんどはルイスが、アナに突進したのだ。パニックに陥りながらも屋外に逃げるアナ。そこで彼女はさらに恐ろしい光景を目にする。隣人が銃を向けあい、救急車が躊躇なく人を轢き殺して走り去り、アチコチで火の手が上がっている。いったい何が起こっているのか? アナは町で出会った4人の生存者とともに、巨大ショッピングモールへと逃げ込むが…。
│ゾンビ映画の常識を変えた作品
ホラー映画の中でもゾンビ映画はやっぱり特別。新しい作品はたくさんありますが、ゾンビ映画が生まれた初期の頃の作品はそれだけで魅力があります。今回はそれまでの「B級」というイメージだったゾンビ作品を一躍人気ジャンルに押し上げるキッカケとなった『ドーン・オブ・ザ・デッド』をご紹介いたします。
B級映画とは、短期間・低予算で作成され上映時間も限られた作品を指していて、初期のゾンビ映画はこうしたイメージが定着していました。最初に大衆向けにゾンビ映画の人気が出たのが本作『ドーン・オブ・ザ・デッド』の脚本も手がけるジョージ・A・ロメロさんの作品『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』なのだとか。いわゆるゾンビものの初期作品を彩る作品として有名です。
そうしたゾンビ映画が少しずつ作られていく中で登場したのが今回の「走るゾンビ」。それまではノロノロと歩くくらいのスピードのゾンビが一般的で、走れば勝てるというゾンビでした。ところが今回の作品に出てくるような走るゾンビの登場で、その考えは一変してしまいます。一度振り切っても走る走る…車に乗っても全速力で追いかけてくるのです。さらには車のフロントガラスもグーパンで割るくらい力強いです、シンプルに怖い。最新のゾンビは知能もあって武器を使ったりするものもいたりと、そうした個性派ゾンビの走りがこれなのですね。こうしてゾンビ映画はB級というイメージを払拭し人気ホラージャンルになっていくのでした。
本作の始まりは、突如ゾンビ化してしまった世界で看護師のアナはいつものように夜勤明け。やっと帰れる〜と外に出ると、いつもより騒がしい道ゆく人たち。そんなことよりも早く帰りたい! と車を飛ばすアナの行く手に走るゾンビが忍び寄るのでした。
│一つの場所が舞台でも飽きさせない工夫
病院からの帰り道、隣の家の仲良しの女の子と話すアナ。ローラースケートを一緒にやろうね〜なんて約束をしています。ゾンビ映画愛好家の皆さんはご存知ですね、ゾンビ映画に約束は御法度です。その日、アナは夫と仲良く眠っていると夜中に隣の家の女の子が。先に気づいた夫が「どうしたの?大丈夫?」と近づきます。すると、案の定ゾンビ化してしまっていた女の子が噛み付いてしまい、夫は失血死のようになって倒れてしまうのでした。救急車を呼ぼうにも電話は回線が混んで全く使い物になりません。すると電話をかけるアナの後ろで夫がむくりと起き上がるではありませんか! とっさに車の鍵をとって上手く家から抜け出していくのでした。常に車の鍵の位置を把握して、パッと取れるようにしておくのがこうした状況の時に大切ですね。
こうして車で逃げるアナですが、途中で警官と合流しその他にも妊婦さんやその旦那さん等、仲間を増やしてショッピングモールへ逃げ込みます。このモールへの入り方は便器を投げてガラスを割って侵入していました。いいですか、皆さん。便器は投げるものです。今後どこかにどうしても入らなければいけない状況の時はぜひ便器を投げてください。
このストーリーは特定の主人公を設けずに、アナが序盤はメインでしたがモールに入ってからは様々な人が並行して描かれています。モールというひとつの場所に留まる姿は、映画としては展開がなくつまらなく映ってしまいがちですが、いろんなキャラクターがいることでそれを解消しています。
特に私のお気に入りは、モールの屋上から双眼鏡で見られる程度に離れた武器屋にいるおじさん。モールに来るには遠すぎて危ないので、双眼鏡とホワイトボードを使ってコミュニケーションをします。糸電話みたいなアナログ会話がとってもかわいいです。
あとは犬ですね、チップスという名前のわんちゃんが大活躍するのでお楽しみにしてください!
そしてこの映画を観て驚いたのは、人間がゾンビになるまでの過程がものすごくリアルなことです。明らかに顔色が悪くなって肌は黒ずみ目は虚、そして一度死んだ後にいきなり起き上がってゾンビ化という流れがメイク技術も手伝って最高に怖いです。かなり大人数のゾンビが出てきているのに、どのゾンビも本当に怪我をしてぐちゃぐちゃになっているみたいで一人一人じっくり見たいくらいのクオリティです。
最後にゾンビ映画ごとに異なっていて面白い点として、なぜゾンビが生まれたのか? という原因です。『バイオハザード』シリーズであれば製薬会社が秘密裏に作っていたウイルスが漏れて拡散してしまったというようなものがありますが、この『ドーン・オブ・ザ・デッド』で言われているのは「地獄が死者でいっぱいになったから、死者が地上を歩くようになった」というものでした。科学的というよりは宗教チックな理由ですが、これはこれでとてもいい設定ですね。
最近ゾンビ映画を観ていなかったのでお気に入りポイントを詰め込んでしまいました!ぜひ気になった方はご覧ください。
製作年:2004年
監督:サラ・ポーリー、ザック・スナイダー
出演:ザック・スナイダー、サラ・ポーリー、ヴィング・レイムス、ジェイク・ウェバー ほか
【Editor】septmersfilms
三度の飯よりホラー好き。ホラーがないと夏が始まらないと思っている。たまにおしゃれ映画・アニメーションも嗜むが、基本的にゾンビ映画をみることで心を癒している。Twitterでは映画以外にも本業のマーケティング関連記事もつぶやきます! ぜひチェックしてください!
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