ストーカーに閉じ込められ絶体絶命!? 愛は犠牲か、努力の結晶か…映画『ペット 檻の中の乙女』

(C)PET FILM PROJECT, LLC

│ペット 檻の中の乙女

監禁≫飼育≫予測不可能な反撃!?

<あらすじ>
動物保護センターで働く青年セス。バスで偶然同級生だったホリーを発見し、声をかけるが彼女はセスを全く覚えておらず邪険にされてしまう。悔しい思いをしたセスはSNSで彼女のことを調べ上げ、バイト先を突きとめ執拗に彼女に取り入ろうとするが、逆に馬鹿にされる始末。思いつめたセスはホリーの家に侵入し待ちぶせ、帰宅した彼女を拉致し、自分の働く動物保護センター地下の檻の中に監禁。状況把握もできないまま監禁されたホリーは下着1枚の姿で、ペットさながら飼育されることに。飼い主気分を堪能していたセスだったが…。

│高校時代の憧れのあの子を監禁!

10月になると、ハロウィーンシーズンということで通常よりもホラー作品が出回るような気がしてこの時期はウキウキが止まりません!いつものお友達が仮装してパーティーに参加をしたり、クリスマスとは違った少しダークなワイワイ感が独特ですよね。いつもは明るい映画を観ている人も、この季節は少しホラーに手を出してみるのもいいのではないでしょうか! 今回ご紹介するのは、そんなハロウィーン気分でみてしまうと観る人によってはトラウマにもなってしまうかも? なあまりライトには観られない監禁ホラーものです。(この導入は軽くみられるホラー紹介じゃないのかという気もしますが、いい作品を見つけてしまったので止められませんでした……)

主人公のセスは、動物保護施設で働いていますが時給9ドルのアルバイトのような業務をしています。一緒に働く獣医からは「そんな歳になっても自分がしたいことができないような仕事をしているのが悪い」というようなことを言われてしまい、自分の無力さに脱力していました。今日もまた、可愛がっていた一頭の犬が殺処分になるのを止めることも、自分で引き取ることもできずに見殺しにするのでした。

ある日、仕事の帰りにいつも乗っているバスの乗客を見ると高校時代にモテモテだったホリーが乗っているのを発見しました。その時は勢いのままに「同じ高校だったんだよ? 覚えてないかな?」と話してみるものの、ホリーは特に覚えていることもなく「じゃあここの駅だから~」とスッとバスを降りて行ってしまうのでした。

諦められないセスは、なんとかホリーと仲良くなりたいという一心で彼女のSNSの投稿を1つ1つ振り返って何が好きで何が嫌いか?どうやって話しかけたら彼女の興味を引くことができるかを分析して一人で誘い方の練習をします。この完全なストーカー行為ですが、やり方が現代的でかなりリアルです。どこに行っているかの位置情報は本人が写真につけていたり、何が好きかは投稿の内容を見ていれば分かってしまいます。この映画で学べることの1つはSNSの使い方は気をつけましょうということですね。

彼女の後をつけて家の場所を特定したり、仕事先にバラの花束と「BE MINE」(俺のものになれ)というメッセージを送ったりとストーキングレベル100くらいのことを次々とやってのけるセス。ついには彼女の彼氏(喧嘩中で別れそう)の働いているバーにまで乗り込んで遠目から彼女との会話を聞いている始末。どこまでもすごいセス。これに気づいたホリーは「ついてきてるの?もうやめて!」とブチギレて追い返します。ごもっとも。

しかしここまで来てしまったセスはもう止められません。職場で動物の麻酔用に使っている薬を拝借して帰宅してきたホリーを待ち伏せ、プスッと刺して動物保護施設の地下スペースにある檻にぶち込んで監禁を始めます。

目が覚めたホリーは下着姿にされていて、状況が全く理解できていない様子。そこに現れたセスは「これは救いだから。君のためなんだ」と語り始めます。これがセスなりの愛情なんだと主張しますが、果たしてこれは一体どういうことなのか? 最後はどうなってしまうのか? 気になる展開は読めません…。

│何もかもがリアルすぎる描写

セスのストーキング行為のリアルさが恐ろしいことに加えて暴力シーンの表現、いわゆるゴア表現が凄い! というのもこの作品の特徴です。

監禁されたホリーが檻についた鍵を外そうとして爪が剥がれたり、檻に入ってきたネズミに驚いて踏み潰したり。中盤にはかなりグロテスクなシーンがあるのですが、どのシーンも目を覆いたくなるような鮮明さで「うっ」と声が出てしまいそうです。これも全て、計算されたように青っぽい画面がそうさせているように感じます。地下の檻があるシーンでは血の色が目立つように、あえて反対の青っぽい画面で統一することでそうした暴力シーンの力強さを強調しているのではないでしょうか。こうした画面作りが丁寧な作品は考察が止まらず観ていて楽しいですね。

話はだいぶ変わりますが、皆さんは何か悪いことをしてそれがバレそう…という夢を見たことはありませんか? 何かを壊したり、誰かを騙したり、殺したり? 私は以前に、夢で人を殺した後に警察の取り調べを受けるというストーリーがあったのですが、それに似たシーンがあってドキドキしていました。「バレるかも…? いや、うまくやればバレないかも」という絶妙なバランスが良かったです。

セス役の役者さん、ドミニク・モナハンはどこかで見たことがある_と思っていたら『ロード・オブ・ザ・リング』のメリー役の方でした。主人公のフロドと同じホビット族で仲良しのピピンと一緒に旅をしていたキャラクターです。あんなファンタジー大作映画に出ていた人がこんなギリギリのストーカー役するの!? という驚きはありつつ、サイコパスな表情や言動もさらっとやるさすがの役者さんでした。

監禁されたホリーと、自由なはずなのにどこか囚われているようなセスは毎日少しの食糧を渡す短い時間を通して交流を深めていきます。初めは最悪な誘拐犯と、その被害者のかわいそうな女性という感じで「ここから出してよ、私のこと殺すの?」「僕は君を救いたいんだ、必要があれば(殺すかもね)」というような会話をしています。ところが2人が話していると公式のあらすじにもある通り、監禁するヤバいやつだったセスが逆にいいやつかも…? と思わせることが起こってくるのです。

ここまでしているのにどこがいいやつなの、と気になった方はぜひ鑑賞してみてください!


ペット 檻の中の乙女

製作年:2016年
監督:カルレス・トレンス
出演:ドミニク・モナハン、クセニア・ソロ、ジェネット・マッカーディ ほか

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【Editor】septmersfilms

三度の飯よりホラー好き。ホラーがないと夏が始まらないと思っている。たまにおしゃれ映画・アニメーションも嗜むが、基本的にゾンビ映画をみることで心を癒している。Twitterでは映画以外にも本業のマーケティング関連記事もつぶやきます! ぜひチェックしてください!

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