ファストフードだけではなく、スローフードを取り入れた生活はいかが? 韓国リメイク版・映画『リトルフォレスト 春夏秋冬』

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│リトルフォレスト 春夏秋冬

<あらすじ>
恋愛、就職と何一つ思いどおりにいかない日常から抜け出し故郷に戻ってきたヘウォンは、旧友であるジェハとウンスクに再会する。他人とは違う自分だけの人生を生きるために故郷に戻ってきたジェハ、平凡な日常からの逸脱を夢見るウンスクと共に自ら育てた農作物で一食一食を作っては食べ冬から春、そして夏、秋を経て再び冬を迎えることになったヘウォン。こうして特別な四季を送りながら、故郷に戻ってきた真の理由を悟ったヘウォンは新たな春を迎えるための第一歩を踏み出すが…。

│都会を離れたスローライフの魅力

日々仕事をする中で、在宅勤務もあればオフィスに出社もして慌ただしく過ぎる毎日。ホラー映画でストレス発散もいいですが、たまにはのんびりのほほんとする映画で心を癒すのはいかがですか?
今回ご紹介するのは、五十嵐大介さんが2002年12月から2005年7月にかけて月刊アフタヌーンに連載されていた漫画『リトル・フォレスト』を原作とした韓国リメイク版・映画『リトルフォレスト 春夏秋冬』です。日本でも橋本愛さん主演で映画化され、そして韓国で新たに映画化されましたが、日本版と韓国版の違いについて触れていきたいと思います。

五十嵐大介さん原作漫画『リトル・フォレスト』
漫画版ではカラーと白黒両方で描かれており、野菜を育てたり、道にある栗やグミの木で採れたものでお料理をしたりと原点とも言える田舎暮らしの様子を淡々と語っています。

日本版・映画『リトル・フォレスト 冬・春』と『リトル・フォレスト 夏・秋』
日本版では、その淡々とした語り口は変わらないものの、実写ならではの村の人との空気感やお料理中の間などが心地よく映されていました。原作者の五十嵐大介さんもおっしゃっていましたが、漫画では描けない「音」が映画にはあるので注目してほしいとのことでした。

韓国リメイク版・映画『リトル・フォレスト 春夏秋冬』
その後、韓国リメイク版は2019年の5月に公開されました。コロナ前の年と考えるととっても最近の作品ですね! あらすじとしては主人公の女の子へウォンが、大学の入試に失敗したことで彼氏との関係がギクシャクしてしまい、都会のソウルから離れて生まれ故郷に戻り、お料理と旧友との関係を通して自分を見つめ直します。

日本版ではここまで故郷に帰ってきた原因をはっきりと描写はしていないので、韓国版の方がよりドラマっぽい仕上がりとなっています。他にも登場人物の恋愛模様も韓国版ではかなり細かく描かれてるのも印象的でした。しかし小さい頃から仲良しであった友達のジェハとの関係は日本版にも通ずる部分が多く、喧嘩をしたり、そうかと思えば仲良く一緒に料理を作ったりと、この微笑ましいシーンは日本版も韓国版も変わらずあります。

私は日本版ですが、イチコとキッコが2人でソリで雪を滑っているシーンが最高に好きです。いくつになってもああやって子どもみたいに遊べる友達がいることって、とても幸せなことですよね。

どちらも都会を離れて自然豊かな場所で暮らす様子をメインに描いていますが、韓国版では伝統料理から日常的に楽しむ料理まで登場していて、こうゆう韓国料理もあるんだあと知れる点もとても興味深い映画でした!お料理については次に詳しくまとめてみます。

│自分で作ったものが食べたくなる!

主人公のお母さんが言った台詞にこんなものがあります。「集中しなさい。料理は心を映す鏡よ。」何か考え事をしながら作った料理ってどこかぼんやりした味になりますよね。こういうことだったのか。

作中では、春夏秋冬の季節の食材を使った様々な料理が登場します。
例えばお米とお水、米麹などで作るマッコリは冬から春にかけて造っていました。シッケと呼ばれる日本の甘酒のようなものとは違い、麹を変えることで大人が飲むマッコリに変身をする描写がありました。お友達と一緒にお酒を飲む姿はとてもいいですね。

その他にもお母さんに作ってもらった思い出と一緒に紹介されていたキャベツのチヂミ!ソースとマヨネーズをつけて食べているシーンがあって、日本でも粉物料理を食べるときにこんな食べ方があるなあ、と感じながら観れるのも面白いです。

韓国ならではのものとしては緑色と黄色、白と小豆色の層が段々になったお餅のケーキのようなものも登場しています。これはシルトックといって韓国では何か大きな出来事がある時に食べる一般的なものらしく、へウォンは米をミキサーで粉砕して米粉から作っていました。せいろに色のついた米粉の層と、最後に煮てボソボソになった小豆を敷き詰めて蒸すことでモチモチのケーキが出来上がるのです。甘味だけでなく塩味もあるらしく、一度食べてみたい!と思いました。

また、とても目を引くのはお花の天ぷらのシーン!調べてみると韓国の一部の地域ではアカシアのお花を天ぷらにして食べるようで、それを再現したものになっているようです。白いお花が連なったまま油の中で揺れるシーンは、目にも耳にも心地よい瞬間でした。他にもパスタに食用のお花を入れてたりと、お花を食べるお料理が多いのが春から夏にかけて印象的です。

秋になるとやっぱり出てくるのが栗ですね。この栗のシーンは日本版の本家とお揃いで、甘く煮て食べるやり方を紹介していました。日本版では、村のおじさんたちが暇つぶしに甘煮を作ったら村中がはまって、みんな栗の甘煮を作って周りの人に「うちのはウイスキーを入れてみたの〜」と食べさせていて微笑ましかったです。

お料理ももちろんですが、私が素敵だな〜と感じたポイントとして冬でも夏でも窓を開けてご飯を食べているというところです。「寒いから閉めてよ〜」と言われながらも「寒い中で食べるのが/飲むのがいいんじゃん!」という台詞がありましたが、四季を味わうとはそういうことですよね。
季節の食材でおいしい料理を作り、ちょっとでも窓を開けて外の空気を吸いながら食べる。時間のない日々ではこうした時間は取りづらいかもしれないですが、この作品を観ると「次の休みはお料理をしてのんびり食べるのもいいかな」なんて思えます。
お料理好きな方にも楽しんでいただけると思いますので、ぜひご覧ください!


リトル・フォレスト 春夏秋冬

製作年:2018年
監督:イム・スルレ
出演者:キム・テリ、リュ・ジュンヨル、ムン・ソリ ほか

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【Editor】septmersfilms

三度の飯よりホラー好き。ホラーがないと夏が始まらないと思っている。たまにおしゃれ映画・アニメーションも嗜むが、基本的にゾンビ映画をみることで心を癒している。Twitterでは映画以外にも本業のマーケティング関連記事もつぶやきます! ぜひチェックしてください!

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