ロバの皮をかぶった王女の素顔は愛を求めるしたたかファンシーガール!映画『ロバと王女』

(C)2015 Element Pictures, Scarlet Films, Faliro House Productions SA, Haut et Court, Lemming Film, The British Film Institute, Channel Four Television Corporation.

│ロバと王女

愛を見つけにいきます。

<あらすじ>
シャルル・ぺローの童話を元にした、メルヘン・ミュージカル。王様の求婚を退けるため、次々と難題を出す女性の物語。

│童話を元にした大人が楽しいミュージカル映画

日頃ゾンビやら幽霊やらを見ていると、目に優しいドレスや登場人物が出てくる映画がみたいな~という気持ちになってくる時があります。
大体2~3本ホラーをみて、違うジャンルの作品をみるようなサイクルなのですが、その中で今回はなんてガーリーでかわいい映画なんだ! とギャップに打ちのめされた作品をご紹介いたします。

1971年に上映された『ロバと王女』はフランスで制作された作品で、ポスターからしてもとてもファンタジーな印象が溢れます。50年以上経っているとは思えない色褪せないおしゃれさとかわいさが満載です。

あるところに民からも、女王からも愛されている国王がいました。豊かで平和な国を統べるこの世で一番幸せな国王です。しかしある日、女王が不治の病にかかってしまい帰らぬ人になってしまいます。
死ぬ間際に女王が「私たちには一人娘しかいません、世継ぎのためにも私が死んだら再婚してください。ただし、私より美しいと思う人にしてください」という誓いを望みます。悲しみに暮れる国王ですが、必ず妻と交わした誓いを守るべく国中から美女を探してこいと命令します。臣下たちは様々な女性の肖像画を持ってきますが、国王は何かとケチをつけて相手を決めることができません。そこに1つ絶世の美女の肖像画が…これがなんと自分の娘!
娘の美しさに気づいた国王はなんと妻より美しいという条件が当てはまるという理由だけで、娘と結婚をすることを決意。娘を呼び出し結婚するからなと宣言してしまいます。 娘は家族としてはもちろん父親を愛していますが、結婚…!? マジで言ってんのか!? という困惑の表情。なんとか父親を傷つけずに諦めさせたい…王女はリラの精という妖精に相談に行きます。

リラの精は「無茶振りなデザインのドレスを作らせて諦めさせましょ!」ということで「空色のドレス」を作ることを提案。王女はその通り、結婚の条件として空色のドレスがほしいと父親に伝えます。
「ふむ…」と受け取る父親、しかしさすが国王です。お付きの仕立て屋たちに命令をするとあっという間に空色のドレスを完成させてしまいます。
話と違いますけど!? と焦る王女、落ち着きなさいとなだめるリラの精。ここからさらに難しいドレスをオーダーしたりして何とか抵抗をするのですが、果たして王女の運命は…?

│フランス映画らしい愛のつまったストーリー

冒頭でも話しましたが、リラの精がアイディアを出して作らせるドレスが最高にかわいいので、ぜひこのドレスをみていただきたいです!
一番初めの空色のドレスは色も晴れたの空のような色で美しいのですが、なんとドレスの生地の上で雲が動いてるのです。撮影技法的には雲の映像を当てて、空色のドレスに写しているんだと思うのですがこれがすごくリアルでまさしく空のドレス! うっとりしてしまいます。
続く月のドレス、太陽のドレスも絶妙な色合いとピカピカと輝く装飾が眩しいです。(王女の周りもティンカーベルのフェアリーダストのようにピカピカと輝いています、素敵!)

ドレスというアイテムはなんとも心を躍らせますよね、ではケーキはどうでしょう?
ストーリーの後半で、王女は「愛のケーキ」と呼ばれるケーキを手作りしています。レシピを歌いながら作ってくれているのでこの愛のケーキは実際に作れるのです! 調べてみるとフランスでは多くの人が作っているようで、文字に起こしたレシピがいくつも見つかりました。
映画の中で王女はかなり適当に材料を使っていて、そのままの分量で作ると失敗しそうなので、作ってみたい方はぜひ調べてみてくださいね!

こうしたファンシーな甘いアイテムの中にもスパイスが効いたキャラクターが登場します。
私の中でトップオブパンチが強いキャラクターは、話している途中に唾を吐くようにカエルを吐き出すおばちゃま。「分かったかい!?ペッ」といいながら小さなカエルがピョンと飛び出すというクセの持ち主なのですが意味が分からなくて最高です。

女王役であるカトリーヌ・ドヌーブとジャックドゥミ監督がタッグを組んだ作品は他にも『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』など大ヒットしたものばかり。どの作品もファッションやキャラクターなどファンシーな魅力あふれるミュージカルでありながらストーリー自体はそこまで軽くない、むしろ重いという特徴があります。
今作はその中でも童話をもとにして作っているだけあってライトなストーリーですので、このコンビの作品を初めてみてみたい! という方にはとってもおすすめです。ぜひご覧ください!


ロバと王女

製作年:1970年
監督:ジャック・ドゥミ
出演者:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン・マレー、ジャック・ペラン ほか

septmersfilms

【Editor】septmersfilms

三度の飯よりホラー好き。ホラーがないと夏が始まらないと思っている。たまにおしゃれ映画・アニメーションも嗜むが、基本的にゾンビ映画をみることで心を癒している。Twitterでは映画以外にも本業のマーケティング関連記事もつぶやきます! ぜひチェックしてください!

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