友達以上恋人未満、一歩を踏み出すきっかけは日常の端に転がっている…映画『マティアス&マキシム』 Tweet (C)2019 9375-5809 QUEBEC INC a subsidiary of SONS OF MANUAL │マティアス&マキシム その瞬間、恋に変わった。 <あらすじ>幼馴染のマティアスとマキシムは、友達の妹が撮る短編映画で、男性同士のキスシーンをお願いされる。その偶然のキスをきっかけに秘めていた互いへの気持ちに気付き始めるが、婚約者のいるマティアスは、思いもよらぬ相手へ芽生えた感情と衝動に戸惑いを隠せない。一方、マキシムはこれまでの友情が壊れてしまうことを恐れ、オーストラリアへと旅立つ準備をしていた。迫る別れの日を目前に、二人は本当の想いを確かめようとするのだがー。 │人の感情のぶつかり合いを撮るのが得意な監督 そろそろ暖かくなってきて春を感じる季節になりましたね。卒業式や期末のシーズンとなり別れの季節がやってきました。4月の新しい出会いを前に、今回は久しぶりにおしゃれカナダ映画ということで『マティアス&マキシム』をご紹介いたします。本作は19歳の時に『マイ・マザー』という監督デビュー作品で世界的に注目をされ、その後制作する作品が公開される度に話題になっている若き天才、グザヴィエ・ドラン監督の最新の作品です。どうしてこの作品を作ったのかというと、2018年に公開された『君の名前で僕を呼んで』に感銘を受けて制作したと公式のインタビューで語られていました。北イタリアで起こる一夏の恋愛模様を描いたこの作品をみて監督は「今まで自分が撮ってきたような自己愛をテーマにしたものではなく、他者との純粋な愛について描きたかった」と言います。たしかに監督の作品といえば、主人公と他者の関係性にフォーカスするものが多いが2人の関係というより、それによって主人公がどうなったか・感じたかを語っているものが多いような気がします。例えば『たかが世界の終わり』という作品では、家族とのケンカという重く辛いシーンが続きますがあくまでも目線は主人公で周りを映すような演出をしています。それが今作では、主人公と相手の男性どちらの目線でも描かれており、相互に感情を表現していることが分かります。今までの作品をみていると、こうした表現は今までしていなかったな~と感じとれるほどの変化があり別腹で楽しめます。 │同性だからなんだ、愛は全て愛だ さらに公式のインタビューでドラン監督は「この作品は同性愛を描いているのではなく、純愛をテーマとしている」とも言っています。序盤の映画を撮影するシーンで友達の妹エリカがこんなことを言っていました。「男同士でキスするなんて変じゃないか?」というマックスの問いに「たとえ外見的にヒゲや体毛があってもほんとの中身はわからない」と答えます。つまり外見が男だろうが女だろうが、そんなことは関係ない。この言葉がこの作品のテーマの全てを語っているのではないかと思います。(エリカがめちゃくちゃ周りから嫌われていますが、なかなか大事な役どころになっていて救われてよかった…)好きとか愛する気持ちは性別に関係なく、その人自身の中身に向けているんだから「おかしい」なんてことはないわけです。セーラムーンのウラヌスも言っていました、「男とか女とかそんなにたいせつなコト?」と。 この2人のその後のドギマギシーンもとっても素敵です。好きだから喧嘩をふっかけたり、言葉をうまく選べなくて何もうまくいかなかったり。セリフはないけど目線で語るシーンは、恋愛映画の金字塔である「ビフォアシリーズ」(ビフォア・サンライズ、ビフォア・サンセット、ビフォア・ミッドナイトの3部作で構成されるシリーズです)のような視線の交わりで互いの気持ちが溢れてしまっているドキドキ感がこちらにも伝わってくる場面です。視線が合いそうで合わない、そんな日常に溢れるシーンを美しく描いています。別れがあれば、新たな出会いもある。そんな4月を前におすすめの一作です。 マティアス&マキシム 製作年:2019年監督:グザヴィエ・ドラン出演者:ガブリエル・ダルメイダ・フレイタス、グザヴィエ・ドラン、ピア=リュック・ファンク ほか 商品検索 商品検索 作品詳細 【Editor】septmersfilms 三度の飯よりホラー好き。ホラーがないと夏が始まらないと思っている。たまにおしゃれ映画・アニメーションも嗜むが、基本的にゾンビ映画をみることで心を癒している。Twitterでは映画以外にも本業のマーケティング関連記事もつぶやきます! ぜひチェックしてください! Twitter(@septmersfilms)