鏡に映る姿は自分?それとも…。細かな伏線と出演者の演技力に翻弄されるサイコスリラー映画!『アス』

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│『アス』

―“わたしたち”がやってくる―

<あらすじ>
アデレードは夫のゲイブ、娘のゾーラ、息子のジェイソンと共に夏休みを過ごす為、幼少期に住んでいた、カリフォルニア州サンタクルーズの家を訪れる。早速、友人達と一緒にビーチへ行くが、不気味な偶然に見舞われた事で、過去の原因不明で未解決なトラウマがフラッシュバックする。やがて、家族の身に恐ろしい事が起こるという妄想を強めていくアデレード。その夜、家の前に自分達とそっくりな“わたしたち”がやってくる…。

│楽しい雰囲気に紛れ込む二重の存在

始まりは海辺の遊園地から。
アメリカ映画をよくみる人には想像に難くない、ロサンゼルスのサンタモニカ・ビーチやカリフォルニアのパシフィックパークのような大人も子どもも遊べる場所です。

私はホラーの中でも、楽しげな雰囲気なのにどこかおかしい…何か変…パターンが大好物なので、始まってすぐこの雰囲気にやられました。
(ピエロのような笑いながら不気味に近づいてくる存在がたまりません)

みんなが楽しく遊ぶ中、鏡張りのアトラクションに迷い込んだ少女のアデレード。
進んでいくと鏡張りの中に自分の後ろ姿があるが、どうもおかしい。自分は動いているのに鏡の自分は動かない…。

子どもの頃のこのトラウマ的思い出から海辺の遊園地が苦手になったアデレードですが、自分に子どもができたこともあり家族旅行で久しぶりに近くのコテージまで遊びに来たのです。

家でくつろぐアデレードと旦那さん、娘、息子の4人でしたが、窓の外に人影が。
よく見ると自分たちとそっくりな4人組が手を繋いで立っています。ここから一気にお話が恐ろしく、且つ面白くなっていく展開は感動ものです。

│役者一人一人の演技力が最高の完成度を構成する最重要ポイント

ストーリーがいい、演出がいいという映画は数多あれど、特にホラー映画では役者の演技力があって初めて、完璧な不自然が完成するということが起こるのではないでしょうか。

前述の家の前で立っている人影ですが、これがただ立っているだけなのにどうしようもなく怖い。
何を言っても動かない。声も発さない。ただ居るだけなのに恐怖を感じさせる撮り方、立ち方にぞわぞわさせられます。

シリアス続きかと思いきや、ところどころでクスッと笑える要素があり緩急が心地よいです。
今の子どもたちはホームアローンを知らないのか…とちょっと悲しくなったりもしましたが。
家族同士の会話のテンポも良く、怖い中にもホッとする瞬間があります。

│伏線に次ぐ伏線。伏線回収が好きな人には特にオススメ!

テーマが「二重」ということもあり、作中「2つの存在」がいたるところに散りばめられています。
分かりやすいものは鏡写しのシーンが多いことや、丸いものが2つ重なっているところに注目するシーンなどがありますが、さらに深読みするとポスターにもあるようにハサミがよく登場します。
ハサミは2つの刃が合わさって初めて、ハサミとして使えるものです。こうした2つの存在が1つになること、その意味のようなものが見つければ見つけるほど面白さを引き立たせます。

今回ご紹介した意外にも言葉や道具の伏線など盛りだくさんなので、細かくシーンを見て伏線を探すのが好き! という方にはこれ以上なくオススメな作品です。


アス

製作年:2019年
監督:ジョーダン・ピール
出演者:ルピタ・ニョンゴ、ウィンストン・デューク、エリザベス・モスティム・ハイデッカー 他

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【Editor】septmersfilms

三度の飯よりホラー好き。ホラーがないと夏が始まらないと思っている。たまにおしゃれ映画・アニメーションも嗜むが、基本的にゾンビ映画をみることで心を癒している。Twitterでは映画以外にも本業のマーケティング関連記事もつぶやきます! ぜひチェックしてください!

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