日本漫画界の巨星・手塚治虫の初期の代表作のひとつとして読み継がれる動物ロマンの金字塔。今回はその二度目のTVアニメシリーズ化で、旧作の虫プロに代わって今回は手塚プロダクションが製作を担当している。アフリカの密林を統べ、動物たちを無為に殺戮する悪虐ハンターや原住民の手から守る、高い知性と勇気を備えた白いライオン・パンジャ。だが彼は人間の手におち、捕らわれた妻ライオンのエライザは、洋上でやはり白いライオンの息子レオを出産する。出会った日本人少年・ケン一とその叔父・俊作に養育されたレオは、やがて一年後アフリカの密林に帰された。父の故郷であるジャングルで、レオの長い苦闘の日々が始まろうとしていた。同年2月に他界した原作者が企画製作に関わった遺作のひとつで、レオたちのキャラクターデザインは現代アニメシーンを代表する実力派アニメーターの一人、川尻善昭が手塚の意向で担当した。新世代の監督・宇井孝司と年長プロデューサー・勝田稔男の意見の交換が熱気を呼んだ、シリアス度の強い秀作である。文化庁の《平成一年度・子供向けテレビ用優秀映画奨励作品》にも指定されている。