サイダーハウス・ルールのクチコミ・レビュー

クチコミ・レビューFilmarks

3.8

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投稿者:Daichi 2022年05月19日

重いテーマが根底にある。この作品には様々なルールがあり破られる。選択すれば何かが変わる。楽を得るために選択から逃げるのも一つ。自分次第。

投稿者:雨の樹 2022年05月14日

ラッセ・ハルストレムというこのスウェーデン人監督の作風には、『やかまし村の子どもたち』(1986年)から『ショコラ』(2000年)をつなぐような童話やファンタジーを美しく撮ったものもあれば、『ギルバート・グレイプ』(1993年)から本作を経て『シッピング・ニュース』(2001年)へと至るような、人間のなかに宿る祝福と呪いの両義性を深く描いたものもありますが、僕の趣味は圧倒的に後者に属しています。

この間の10年ほどのラッセ・ハルストレム作品は、例えばジャコ・ヴァン・ドルマルが、死の手前で記憶としての人生を再編成していくような水深を持つのに対して、同じ深みにまで潜りながら、いつでも生の最前線に立っているような素晴らしさがあるように思います。

人生における祝福と呪いは切り離されるものではなく、アナグラムのように編み替えられる性質を持つ。このことをたいへん深い説得力をもって描き出しているように感じられます。



本作を概略するなら、孤児のホーマー(トビー・マグワイア)と院長のラーチ(マイケル・ケイン)2人の代理的親子関係が、1周まわって強く結ばれるまでの物語となるかと思います。構造としては19世紀の教養小説のように螺旋(らせん)を描きながら、主人公が様々なことを経験するなかで認識を深め、自己形成していく姿を描いています。

20世紀も終わりに近い1985年に、ポストモダンへの反発と物語の復権を唱えたジョン・アーヴィングらしい原作小説だと思います。

サイダー(Cider)とはりんごジュースのことで、ホーマーが旅立った先のりんご園に立つ宿舎がサイダーハウス(Cider House)。その宿舎には文字の読めない労働者しかいないにも関わらず、何と言うこともないルール(Rules)の記された張り紙があり、そのことを1つの象徴として扱っています。

また堕胎(だたい)が重要なモチーフとなっており、1940年代当時は法的に禁じられていたなかで、望まれずに生まれた命を生きる苦しみや、望まずに生んだ命を育てる苦しみに対して、違法ながらも善意で堕胎手術を行う院長ラーチの姿が描かれます(それはやがてホーマーへと受け継がれていく)。

ですから「りんご」は、いわゆる「知恵の実」として機能しているはずです。

愛情あふれるラーチ院長というある種の楽園から旅立ったホーマーが、はじめて口にする「知恵の実」。その「知恵の実」を味わうことで、堕胎を禁じる神の掟(Rules)を自らの手で破り捨てることになる場所が、サイダーハウスということになります。

ホーマーの表情がほとんど動かないのは、そうした「知恵の実」の1つ1つをはじめて体験しているからのように見えます。また彼が思いを寄せるキャンディ(シャーリーズ・セロン)は、アダムを「知恵の実」へと誘うイブのようにも見えます。しかし彼女はホーマーにとってのイブではなかった。

そして黒人労働者のアーサー・ローズ(デルロイ・リンドー)とその娘ローズ・ローズ(エリカ・バドゥ)との間の近親相姦関係は、僕にとっては暗澹(あんたん)とした思いに沈まされるモチーフですが、父親の娘に対するこの最悪の裏切りを、倫理で裁くだけでは何も見えてこないようにも思います。またこの悲劇はホーマーを堕胎手術へと向かわせることになる。

そうした経験を積み、最終的には出発地点に戻るホーマー。けれどチャールズ・ディケンズを敬愛するジョン・アーヴィングによって描かれた彼は、螺旋階段を登るように1段高い場所に立つことになる。血縁を超えたより大きな親子関係に、彼は生きようとする。

親になるということは、つまりはそういうことだろうと僕には思えます。単に子供が出来たから親になるのではなく、子として生き、巣立ち、やがて親として生きようとする意思のなかで、自身が子として生きた親子関係と対峙する。その対峙を支えるのは、さまざまな外界での「知恵の実」であり、それは楽園からの追放を意味しながらも、親として生きる親子関係の源泉となっていく。

自らが作ることになる親子関係は閉じられた血縁性に頼るのではなく、様々な関係性のなかで親となる意思のもとに、身を削るように1段ずつ踏みしていくしかない。血縁によって自然に愛が湧くことは、ほとんどないという実感が僕にはあります。この作品もまた堕胎というモチーフを通して、そのことをこそ描き出しているように思います。

ただ映画としては、19世紀的な教養小説に範を求めるジョン・アーヴィング原作の物語としての円環構造が強すぎて、やや息苦しくも感じられます。作者の掌(たなごころ)のなかで観せられている感覚があり、もっと広がりのある象徴性を僕は求めてしまいます。

投稿者:ころっぷ 2022年05月12日

はるか昔に観た作品だが、久し振りに観て、こんなに豊かな作品だったのかと驚いた。若かりし頃はこの作品の奥深さが理解出来なかったのかも知れない。とにかく人物が立体的に生き生きと描かれていて、流石ラッセ・ハルストレム監督だなと感心した。マイケル・ケインの演じた老医師の優しさと厳しさの表情が忘れられない。優しい人間は人よりも辛い思いを沢山して、強くなった人なんだなぁと感じた。本当に素晴らしい作品。ジョン・アーヴィングの原作も読んでみたい。

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クチコミ・レビューTSUTAYA DISCAS

この「ハウス」の「ルール」とは?

投稿者:ちゅく 2021年12月13日

「サイダーハウス・ルール」(1999、米国、カラー、131分)。
好みの分かれる映画と思います。
監督は、ラッセ・ハルストレム(1946、スウェーデン生)。
「サイダーハウス」は特殊な孤児院で、婚外子の堕胎もするが、なるべくは、ここで養って、子供が欲しい夫婦に斡旋をしたい。すぐに、もらわれていく子もいるが、ずっと「ハウス」に残って青年になった「ホーマー・ウェルズ」(トビー・マグワイア)は、院長・医師「ウィルバー・ラーチ」(マイケル・ケイン)の仕事を助けていた。子供たちの就眠前の読み聞かせをしている。彼は医師として正式の資格を得、「ハウス」から独立したいと思っていた。「ラーチ」も、彼の将来のため、それを願っていた。1944年のある日、若い陸軍中尉「ウォリー・ワージントン」(ポール・ラッド)が愛人「キャンディ・ケンドール」(シャーリーズ・セロン)を連れて「サイダーハウス」を訪れる。中尉は中絶させたいが、「キャンディ」は産んで育てたい……。残酷で理不尽な状況。
「ホーマー」は、「ケンドール」の車に乗って「ハウス」を出て、外の世界を初めて見た。「ケンドール」の実家のリンゴ農場で働くことになった。先輩労働者「アーサー」(デルロイ・リンド)から仕事のコツを学ぶ。
運命の変転があるドラマ。「ホーマー」は年上の「キャンディ」と愛し合うようになっていた。「ホーマー」は農場のアフリカ系の貧しい農民のために、死んだ「ラーチ」医師の道具を使って、堕胎を行うのだった。このあと、「ホーマー」と「キャンディ」が共に生き、子を成したか……別れてしまったのか、ということは、終盤で明らかになります。「ホーマー」が正式の医師になったかも。
マイケル・ケイン、トビー・マクガイア、シャーリーズ・セロンが、三様の名演を見せてくれる作品です。好みは分かれると思います。

帰るべき場所がある

投稿者:hinakksk 2021年05月16日

 20世紀中葉、ニューイングランドの美しい四季の自然を背景にして、孤児院で生まれ育った薄幸の青年の、自分の運命を受け入れていくまでの心の成長を、情緒豊かに、とても繊細に描いている。

 慈善団体によって運営されているその孤児院は、産科の病院に併設されていて、その病院で産まれ、親が育てられない子どもたちを養育している。また、院長のラーチ医師は、理事会には内緒で、望まない妊娠に困惑する女性のために、こっそり堕胎手術も行っている。しかし、心優しいラーチ医師は、そのような悲惨な状況に耐えられず、エーテルで心を紛らわし、エーテル依存症に陥っている。

 ホーマー・ウェルズと名付けられた男の子は、2度養子として引き取られるが、2度とも孤児院に返されるという不幸な経験をしている。ラーチ医師はホーマーを溺愛し、おそらく優秀だった彼を自分の後継者にすべく産科医として私的に教育し、正規の教育も受けないまま、彼は立派な産科医に育ってラーチ医師の手伝いをするまでになっている。それでもホーマーは、堕胎手術については頑として拒否する。

 資格もないのにこのまま惰性で医師を続けることに疑問を感じるようになったホーマーは、堕胎手術のために病院を訪れた若いカップル、ウォリーとキャンディの車に同乗して、孤児院を離れる決意をする。何の計画もなく外の世界へと飛び出したホーマーは、成り行きでウォリーの実家のりんご農園を手伝うことになり、黒人の季節労働者たちの住むサイダーハウスに彼らと一緒に暮らし、りんごの収穫作業に従事する。一見気楽で楽しい平穏な日々だったが、楽園とは程遠い厳しい現実がそこでもまた彼を待ち受けていて、というストーリー。

 様々な体験を通して自分自身の本当の居場所を見出し、自らの意志でホーマーは、自分が帰るべき場所へと戻っていくという感動的な結末になっている。しかし、100パーセントの幸せなんかあり得ないとでも言うように、一貫してつらぬかれている皮肉な視点に、心に棘が刺さったような気分になる映画。

 例えば、養子を求めて孤児院にやってきた人々は、まるで商品を選ぶかのように子どもたちを品定めする。子どもたちは、幼いながらも選ばれたくて必死に媚びを売る。泣かないからとか、逆に泣き過ぎるからとか、理不尽な理由で、返品でもするように養子に引き取った子を孤児院に返してしまう。友人だと言いながら、使用人となるや、世間知らずの青年を、当然のごとく平然と黒人労働者の住居に住まわせる。美人の若い女性は、堕胎から学ぼうともせず、恋人が戦場に行って寂しいからと、簡単に別の男性と付き合う。そして恋人は半身不随となって帰還する。また、季節労働者たちの立派なリーダーだと思われた男性は、決して許されない禁忌を犯している。理想的に思われた親子関係は偽りでしかない、等々。

 温かく感動的な物語に潜む棘の数々がチクチクと心に突き刺さる。  

良い映画です

投稿者:mn 2016年09月22日

原作は「ガープの世界」の作者ですか。まだ見たことない人にはこちらもお勧めです。かなり、きついお話の大人の映画ですが。さて、この映画、こういった映画は人生経験を豊かにしてくれます。景色もきれいだし、子供たちもけな気、マイケルケインも渋い。心が洗われます。

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クチコミ・レビューTSUTAYA

いい

投稿者:ヒロ 2011年12月26日

孤児達が前向きに生きる様子が勇気をもらえます

どこか物足りない

投稿者:大人アレルキ゛ー 2010年07月26日

俳優陣の芝居は良かった。 中盤に余計なシーンが多かったので、もっとコンハ゜クトに纏めて欲しかった。

ラッセさん

投稿者:hilary 2004年07月02日

私の心に残る名作に入る映画だと思いました。ラッセ・ハルストレム監督が思わず好きになりました。孤児院での子供たちの表情や言動などからすごく感動して涙ボロボロでました。
マイケル・ケインさんの演技もすばらしかった!絶対オススメ☆

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