サラヴァの10年のクチコミ・レビュー

クチコミ・レビューTSUTAYA DISCAS

「在りし日の」フランス音楽。

投稿者:MIGHTY MOE AND JOE 2016年01月11日

いつか聴くだろうと思って放っておいたら、CDはいつの間にか廃盤、
でもアナログ原盤に手を出すほどでもないか、と諦めかけていた折、偶然こちらで発見。
こんなものまで揃えておられるとは。ツタヤさん、ありがとうございます。

さすがはサラヴァ、内容は2枚組の端から端まで素晴らしいの一言。
レーベル・カラー通り、アーティストやジャンルは
シャンソン、フレンチ・ポップから民族音楽、ジャズ、ロック、現代音楽まで
多岐に亘りますが、すべてにサラヴァらしさというか、
「68年」以降のパリの街頭の空気をいっぱいにはらんだ
「自由でリベラルな」音楽の在り様を堪能できます
(今やそれも「懐古とともに」かもしれませんけど)。

個々のアーティストについてコメントしていくと大変なので、
以下、個人的に特に思い入れのある人たちについて箇条書きで。

●フォンテーヌ、アレスキ、イジュラン
間章を引き合いに出すまでもなく、やはりこの三者が絡み合って、
あるいは単独で生み出した音楽は、言わずもがなの素晴らしさ。
サラヴァの自由な精神を象徴する看板アーティストたちですね。
大里俊晴さんが生前残した、
アレスキの民族的な出自に光を当て「世界は寒い」の一行から始まる
フォンテーヌ=アレスキ「あなた達と私達」へのライナー・ノーツは、
間氏のユグナン「荒れた海辺」を引用した「ラジオのように」に対する賛辞と対を成すように
忘れがたいものでしたが、
宗教的・民族的・政治的な亀裂や矛盾が顕在化したフランスはじめ
ヨーロッパの現状を踏まえた今こそ、より一層心に沁みます。

●マージュン
こんなグループが一枚噛んでるのも、このレーベルの面白さ。
シンフォでもジャズロックでもなく、トラッドともレコメンとも言えない掴みどころの無さが、
かえって唯一無二のフランス臭さを体現している大好きなバンドです。
米英独いずれとも違うフランスならではの野暮ったさと、
ドタバタ感の裏にひそませた諧謔味と鋭さ。
1枚目の18曲目ではコシモンと共演してます
(いい年をして彼らのバッキングで歌うコシモンも凄い)。

●スティーブ・レイシー
先行世代のシャンソンなんかに比べると、サラヴァの音楽には
良い意味での「なんちゃって感」というか、
例えばフランス語で歌われるボサノバに象徴されるようなフェイク感が漂っていて、
それが「お洒落な」イメージにつながっているのかもしれないけれど、
そんな中にあってレイシーのジャズの「本物感」はちょっと異質
(とはいえ「一般的な」ジャズからもかなり外れたものだけど)。
レイシーがサラヴァをはじめ、フランスやイタリアで残した作品と足跡の偉大さについては、
ジャズ・ファンなら説明不要ですよね。
このオムニバスも、ラストが彼の演奏で締められているところに気骨を感じます。

他にも有名どころでは、レーベル創設者のピエール・バルーはもちろん(彼の歌ももっと聴きたかった)、
バルネ・ウイラン、ジョルジュ・アルヴァニタス、ナナ・ヴァスコンセロスなど。
普通に歌謡性のある曲もたくさん収められているので、
クセの強い音楽は苦手、という方も見本市のような感覚で楽しめます。
音響技術の素晴らしさも特筆もの。

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