イル・ディーヴォ -魔王と呼ばれた男-のクチコミ・レビュー

クチコミ・レビューFilmarks

3.5

観た人
214

観たい人
244

投稿者:いち麦 2021年02月21日

胡散臭い歴史上の大物を、神経質で陰鬱な顔で見せ、シニカルな台詞で聞かせる。シンメトリックな構図のカットが、静的で逆に嫌悪感を与える…巧いね。でも字幕で伝えられる限界を感じた。堪能しきれてない。

投稿者:yonemako 2020年12月28日

イタリアの現代政治の闇を描いた「イル・ディーヴォ、魔王と呼ばれた男」。7期も首相を務め、終身議員で94歳で没したジュリオ・アンドレオッティを描いた作品(映画の公開当時は存命)。彼の秘密を知りすぎた人間はみな消され、一人サバイバル。27の罪状で裁判にかけられながら、すべて「記憶にありません」で逆転無罪などと。面白すぎ、闇が深すぎて眩暈がしました。しかし50年にわたって与党の座にあった所属政党・キリスト教民主義は解体。映画の中でも度々名前が出てくる協力関係にあった社会党のクラクシ書記長は、裁判を逃れてチュニジアに亡命し、そのまま客死。

赤い旅団の名前は知っていたけど、右派のロッジP2(フリーメイソン系、ベルルスコーニもメンバーだった)は知らなかった。自らの政治生命を守るために右派組織を利用して共産勢力の仕業に見せかけ(ボローニャ駅爆破事件では85人が死亡)、マフィアを利用して、またバチカンの銀行を利用してローンダリング(銀行家ロベルト・カルヴィの変死)など、すべての犯罪がつながっている世界。闇が深すぎ、真っ黒すぎる。

赤い旅団がモロ首相を誘拐して殺害したのは有名だけど、この映画の中では、モロ首相が理想や真実を信じる「小者」であり、左派勢力に拘束され、政府と交渉の中でアンドレオッティが彼を見捨てたためと説明される。イタリアの現代史について興味がある人には必見の作品。

投稿者:ルネ 2020年12月21日

2008年の作品で、日本公開は2012年。 

『グレート・ビューティー』(2013年)というフェリーニっぽい傑作を手掛けた、パオロ・ソレンティーノ監督作品。

権力を利用して数々の犯罪に手を染めながら、長期間にわたってイタリアの首相を務めたジュリオ・アンドレオッティの実像を描いている。

1989年に公開されたイタリア系マフィアとイタリア政界、さらにバチカンとの癒着(とカルヴィ暗殺事件及びヨハネ・パウロ1世の「暗殺」)を扱ったアメリカ映画『ゴッドファーザーPARTIII』では、マフィアとバチカンと親密な関係がある政治家「ドン・ルケージ」の原型となった。

地味で猫背な大人しそうなおじさんで、とても淡々としていて激することもない。そんな男が暗殺し放題な現実の恐ろしさ。スタイリシュでなめらかな映像がとても美しい。

登場人物が多くて時間軸も前後するので最初混乱するが、そのカオス感がまた良かった。

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クチコミ・レビューTSUTAYA DISCAS

都知事選挙を目前に控えて

投稿者:忙中有閑 2014年01月28日

「マーガレット・サッチャー、鉄の女の涙」(2011年)、「リンカーン」(2012年)、に続いて本作はイタリアのジュリオ・アンドレオッティ。英、米、伊3国の実在した(アンドレオッティは本作製作時にはまだ御存命でしたが昨年5月に94歳で逝去)有名政治家の伝記を鑑賞したワケですが、各人の個性の違い、作家(監督、脚本家)の制作姿勢の違いもありますが「国民性」(国家としての歴史、文化、民族性)の違いが大きいんでしょう、それぞれ全く「似ても似つかない」映画になってますね。特に「イギリス」「アメリカ」に比べこの「イタリア」の突出した「異様さ」には、ある程度はそれを「期待して」鑑賞した私も仰天させられました。
イタリアの「政治家」ではローマ帝国時代のシーザー、ネロなどの著名政治家の他に名前がすぐ出て来るのは、第二次大戦時のファシスト党首ムッソリーニと、小政党割拠の不安定政局のさなかに首相を3期9年勤め、つい最近は日本サッカーのホープ本田圭佑入団で話題になったACミランのオーナーでもあり、、数々の派手な公私スキャンダルで印象の濃いベルルスコーニくらいで、本作主人公アンドレオッティは7期も首相を務めて新聞にスキャンダル絡みの記事が絶えず出てたけど、地味でネクラなイメージが強くてすぐ名前を忘れる。ショップの「新作」コーナーで見つけた本作を(ちっとも面白そうじゃなかったのに)借りる気になったのは、猪瀬直樹の都知事辞任の顛末と細川、小泉の2大老獪が引っ掻き回してる都知事選騒ぎで、久々に「政治(家)の裏側」についてちょっと考えさせられてた矢先だったからでした。
しかし予想通り,と言うか予想を遥かに超えてイタリアの政治は「得体が知れない」と思い知りました。日本のアマチュア都知事の辞任やその後釜をめぐる選挙騒ぎを考えるに当たって「何の参考にもならない」(笑)。映画自体も「コトの真相に迫る」ことなんか最初から諦めて、ただアンドレオッティという政治家の得体の知れない「不気味さ」を描くことに終始している。それがまるで「世界で最も古い『民主政治』の歴史を持つ」イタリアの「矜持」であるかのように思われ、イギリスやアメリカ、まして日本との「隔たり」を感じずにいられませんでした。「民主主義は最悪の政治制度だが、歴史上これ以上の政治制度が存在したことは無い」、というチャーチルの言葉をあらためて思い出しました。


巨悪は歴史そのものか

投稿者:ちゅく 2013年05月06日

前レヴューを参考に、借りたのですが、印象は、全くその通りです。
名作とは言い難いですが、現代史の一書物として、観ておくべき映画です。不気味で、静かな映画です。
世界には、ぼくらの想像以上の巨悪が存在することは、なんとなく知っていました。
そして、それは、世界そのものと言ってよいのでしょう。
政界などは、財界、宗教界、裏社会の手先にすぎないのでしょう、多分、この四つを従えた、さらに広く深い複合体があるのかもしれません。
それは、一人の王に象徴されるものではなく、「魔王と呼ばれた男」は、その優秀な壱枚の看板にすぎません。
おそろしいことですが、看板は、一人の人間でった時代は終わったと思いました。この映画に直接関連のある映画がたくさんあります。
たぶん、DISCASの画面に出てくるでしょう。「夜よさようなら」「ロベルト・カルヴィ」など……。

権力と暗殺のコラージュ

投稿者:よふかし 2013年05月05日

原題は『ジュリオ・アンドレオッティのスペクタクルな人生』でしたか、やや皮肉な感じもします。
昨年映画館で観ましたが、情報量が多く、分からないところも多かったのでもう一度見直してみました。
映画を観る前は、60年代から90年代にイタリアで相次いだ政治家・司法関係者・実業家・記者の暗殺事件、マフィアへの大規模な訴追などについては、そういうことがあったくらいの記憶しかありませんでした。
政界・実業界・マフィアに闇の癒着があって、それを追及しようとした判事が爆殺されたり関係者がどんどん殺されたり、その数230人超と言いますから凄い話です。
この映画は、その疑惑の頂点にあった元首相ジュリオ・アンドレオッティを描いたものですが、事の経緯をドキュメンタルに描いたり、シリアスな政治スリラーにしたのではありません。
きわめて漫画的に誇張して描かれるイタリア政界の腐敗ぶり(七期目の政権樹立後の乱痴気騒ぎや露骨な多数派工作)、様々な虐殺事件の凝った映像での再現(ファルコーネ判事の爆殺や銀行家ロベルト・カルヴィ暗殺などは特に印象的です)などをミックスしながら、イル・ディーヴォ(魔物)と呼ばれたアンドレオッティのまさに魔物ぶりに迫ろうというものです。
アンドレオッティの描写やイタリア政界のあれこれがどこまで事実に即しているのかはわかりませんが、ほとんど映画で観てきたマフィアの世界と同じであることがよく分かります。
本質的に同じだから、癒着するのも当然なのかもしれません。
入り組んだ人間関係や事件を面白い使い方の字幕で処理しながら、カメラは多くの瞬間をアンドレオッティ(トニ・セルヴィッロ)その人の無表情、特徴的な耳(これはメイクのようですね)、猫背、ゆったりとした歩みを追いかけます。
彼のモノローグも多用され、赤い旅団によるモロ首相誘拐・暗殺事件に対する執着などが語られていきます。
様々な撮影上のテクニック(主観視点の移動撮影やアンドレオッティのかけている眼鏡越しにマスコミをとらえるショットなど)も駆使して、事実というよりも、イメージをコラージュすることでこのとらえきれない不可解な人物を描こうとしているように思えます。
結果、僕の眼には、アンドレオッティの抱えた底知れぬ闇が浮かび上がってきたように思えました。どういう人かは分かりませんが、恐ろしい人であるということは分かったように思います。
少なくとも孤独で、猜疑心が強く、権力欲が強い。しかしそれはどんな政治家でもそうかもしれませんね。
実在の人物に対するこの映画のような軽めの、作り手の恣意を前に出したアプローチは当然、賛否があるでしょう。
僕も映画を観ている間、どう判断すればいいのか迷っていました。
実はまだちょっと迷っていますが、二度目なのに二時間を引き込まれて観たということは面白い映画ということは確かでしょう。75点。

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