ある朝スウプはのクチコミ・レビュー

クチコミ・レビューFilmarks

3.7

観た人
306

観たい人
620

投稿者:jonajona 2021年05月01日

宗教勧誘についての映画という事で
人に紹介を受けて鑑賞。
宗教について正面から描いた作品はあまりなくて最近だと『星の子』だろか。

本作は新興宗教らしきものにハマってしまっておかしくなった彼氏と、彼を何とかして引き止めようとする彼女(主人公)の姿を基本2人が同棲するアパート室内だけで限定的に活写することで、目に見えない外圧によって平穏な空間が揺らいでいく危うさ・逃げ場のない息苦しさを見事に描いてる。会話のリアリティと、相手の言葉を受けてのちょっとしたリアクションの機微で違和感を読み取らせる役者陣の演技も凄まじい。

触れ込み通り『100%純愛映画』。
多分身近に怪しげなものを感じた事がない人だと『そんな人、まだ結婚してる訳じゃないんだし別れたら?』と突き放してもよさそうな関係性の2人だが、彼女は彼を見捨てる事ができず次第に狂気に近くなっていく彼を部屋の中に食い止めようと必死になる。見ていて双方とも痛々しいし、時には彼女はついに手を挙げたり精神的に不安定な部分が彼から伝染してくる。
それでも一緒に居たいのは、共依存とも惰性とも未練とも言えるだろうが、ひとえに愛なのだ。人は基本的に自分個人の安定性を好む。自分が狂っても相手を引き留めたいという程の愛を他人に向けたことはあっただろうか?とこの映画を見て感じた。
別れる時に『貴方といると何となくダメになりそう』という風に振られがちな自分には胸を突くような話で、しかしカップルが上手くいかなくて別れる時の雰囲気の典型的パターンの一つを踏襲しながら、そこにも愛があったんじゃないかと模索する監督の姿勢が嫌いになれない。

この映画の素晴らしい所は、アパート外部をほとんど描かずに社会の外圧を匂い立たせてることだ。彼は会社でパニック障害を患い退職した所から物語が始まるし、やがて彼女も精神が不安定になりが出勤する人々と電車を遠巻きに見て恐るカットが挿入される。意地が悪くも誠実なのが、その後で彼女は彼に虐待めいた事をするのだ。彼女が彼と別れたくないのは自分自身の為でもあるという共依存を示してる。
新興宗教は新たな共依存先として、これほど無いほど適任なんだろうなー。教義を理解すれば、自分は否定されないし居場所を与えられる。相手に迷惑をかける事もない。宗教の影はそうした隙間を拾い上げる。

終わりのセリフには悲痛さが漂うが、たとえ心が離別になったとしてもトイレに引きこもった彼をアパート外の窓側から箒で突き無理やり対話を試みたこの映画の白眉となるシーンの凄みは、共依存という世間的には否定的に捉えられがちな関係性すらも愛の一形態だったのではないかと思わせるような切実さがあった。


※明日ツタヤ 行くのでメモします笑
○禁断の惑星○アメリカの友人○FAKE
○デクスター○極道恐怖物語 牛頭○ダウンバイロー○コラテラル○GF※BF○アマデウス

投稿者:きょこ 2021年04月27日

変えたい人と同じくらい、変えたくない人は狂気じみている。
その両者はともに、固執しているのである。
何に?

投稿者:とむら 2021年02月06日

別に好きじゃなかったけど、制作費3万はすごい。
ほぼアパートの一室のシーンしかないのに、90分見ていられるのもすごい。

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病人と病んだ人

投稿者:まみもぉ 2012年01月26日

「キタガワくん」。彼のことをこう呼ぶふたりの関係がしっくりしないまま、お話しが進んでいきました。
今では、ひた隠すひとが減ったせいか不気味でなくなった精神疾患。
様々なお洒落な細かな名前で分類され、アクセサリーのように身にまとった姿に、異種感もなくなりました。
彼女は”昔”のキタガワくんに戻ってほしくて献身的に懸命に、彼を治療しようとします。
愛情からではなく、義務感からといった感じがして、それが痛々しくてよかったです。
彼女にとって昔のキタガワくんは正常であって、今はそうではない。
でも彼はそうではない。当然、噛み合わない。
この食い違いの映し方、面白かったです。
聞き取りにくい台詞や差し込む光や陽射し、季節を追っての水の使い方が新鮮でした。

「液体になりたいんだ」 キタガワくんに見事に呟かれてしまいました。
そっか… 液体になりたかったのね。
ひょんなところで、答えを頂けました。
なら、カンタン。あなたが入っている器を壊せばいい。
そうすれば流れ出し、念願の液体になれる。あとは…あなたのお好きに。液体に手出しはできないから。

冒頭とラストの朝食シーンにすくいあげられたその”液体”。
それを飲み干した彼女と、その中で精神疾患の浮きを隠し溺れたふりして逃げ溶けていった彼。
水質の違う水は混ざり合えない程度の単純な別離。
同棲中の恋人同士と思うのですが、それらしいシーンはなく、姉弟のようであり、
幼馴染の親友同士のようにも、主従関係母子のようにも見えました。
病人と病んだ人、どちらがどちらでもありえたような他人同士という後腐れないラスト。
生活観のある光でうやむやに奇麗な誤魔化し撮り、演じる事もできる監督さんでもあることの強みが感じられました。

病人には安静と思いやりが、病んだ人には管理と愛情が、
そして看る側には、水のような忍耐が必要なんだろうなと思いました。
が、それは、看る側が健常者限定でしょうね。

廣末哲万と並木愛枝。『14歳』でもそうでしたが、とても相性のよいおふたり。
表情が似ているようで、微妙なところが細かく違う。
あわせるとぴたっと完成しそうな凹凸複雑なジグゾーパズルのよう。
ふたりでひとりが心地よい俳優さんでした。


★★★★

投稿者:おかえりんご 2009年10月22日

北川君と志津の関係のバランスがうまく描かれている。
このテの映画好き。

人はわかりあえないのか

投稿者:レインシンガー 2008年10月24日

 世評高い「ある朝スウプ」をようやく見ることができた。全篇、ある意味実に淡々とした描写の連続だし、カメラもほとんどアパートの一室から出ないのだが、それだからこそ、主人公カップルのいたわり合いと、心の中のせめぎ合いと、そして、なによりも理解し合うこと、支え合うことの不可能性がジワジワと突きつけられ、心を締めつける。それでも、作り手が、二人を突き放し投げ捨てているのではなく、二人の行く末に「幸あれ」と告げているかすかな淡い光のような希望が胸にしみる。歴史に残る大傑作というわけではないが、映画好きなら、間違いなく要チェックの秀作だろう。

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